厚生労働省は、9月27日、「平成22年度国民医療費の概況」を発表しました。
「国民医療費」とは、その年度内に医療機関などを受診し、保険診療の対象となる傷病の治療に要した費用の推計です。費用とは、医療保険などによる支払いのほか、公費負担、患者負担によって支払われた医療費を合算したものです。
「国民医療費」には、診療費、調剤費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費などは含みますが、保険診療の対象とはならない費用や、正常な妊娠・分娩、健康診断・予防接種など、傷病の治療以外の費用は含みません。
1 国民医療費の状況
平成22年度の国民医療費は37兆4202億円、前年度の36兆67億円に比べ1兆4135億円、3.9%の増加となっている。
人口一人当たりの国民医療費は29万2200円、前年度の28万2400円に比べ3.5%増加している。
国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は7.81%(前年度7.60%)、国民所得(NI)に対する比率は10.71%(前年度10.51%)となっている。
2 制度区分別国民医療費
制度区分別にみると、医療保険等給付分は17兆8950億円(構成割合は47.8%)、後期高齢者医療給付分は11兆6876億円(31.2%)、公費負担医療給付分は2兆6353億円(7.0%)となっている。また、患者等負担分は5兆151億円(13.4%)、軽減特例措置は1872億円(0.5%)となっている。
対前年度増減率をみると、医療保険等給付分は3.2%の増加、後期高齢者医療給付分は6.0%の増加、公費負担医療給付分は7.1%の増加、患者等負担分は0.4%の増加、軽減特例措置は0.4%の増加となっている。
3 財源別国民医療費
財源別にみると、公費分は14兆2562億円(38.1%)、うち国庫は9兆7037億円(25.9%)、地方は4兆5525億円(12.2%)となっている。保険料分は18兆1319億円(48.5%)、うち事業主は7兆5380億円(20.1%)、被保険者は10兆5939億円(28.3%)となっている。また、その他は5兆322億円(13.4%)、うち患者負担は4兆7573億円(12.7%)となっている。
4 診療種類別国民医療費
診療種類別にみると、医科診療医療費は27兆2228億円(72.7%)、そのうち入院医療費は14兆908億円(37.7%)、入院外医療費は13兆1320億円(35.1%)となっている。また、歯科診療医療費は2兆6020億円(7.0%)、薬局調剤医療費は6兆1412億円(16.4%)、入院時食事・生活医療費は8297億円(2.2%)、療養費等は5505億円(1.5%)となっている。
対前年度増減率をみると、医科診療医療費は3.9%の増加、歯科診療医療費は1.7%の増加、薬局調剤医療費は5.5%の増加となっている。
5 年齢階級別国民医療費
年齢階級別にみると、0~14歳は2兆4176億円(6.5%)、15~44歳は4兆9959億円(13.4%)、45~64歳は9兆2891億円(24.8%)、65歳以上は20兆7176億円(55.4%)となっている。
人口一人当たり国民医療費をみると、65歳未満は16万9400円、65歳以上は70万2700円となっている。そのうち医科診療医療費では、65歳未満が11万8200円、65歳以上が52万8100円となっている。歯科診療医療費では、65歳未満が1万7300円、65歳以上が3万400円となっている。薬局調剤医療費では、65歳未満が2万8200円、65歳以上が11万4100円となっている。
6 性・年齢階級別国民医療費
国民医療費を性、年齢階級別でみると、0~14歳の男は1兆3302億円(7.4%)、女は1兆874億円(5.6%)、15~44歳の男は2兆2598億円(12.6%)、女は2兆7361億円(14.0%)、45~64歳の男は4兆9482億円(27.6%)、女は4兆3409億円(22.3%)、65歳以上の男は9兆4073億円(52.4%)、女は11兆3103億円(58.1%)となっている。
人口一人当たり国民医療費をみると、65歳未満の男は17万1600円、女は16万7300億円、65歳以上の男は74万8700円、女は66万8500円となっている。
7 傷病分類別医科診療医療費
医科診療医療費を主傷病による傷病分類別にみると、「循環器系の疾患」5兆6601億円(20.8%)が最も多く、次いで「新生物」3兆4750億円(12.8%)、「呼吸器系の疾患」2兆1140億円(7.8%)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」2兆263億円(7.4%)、「内分泌、栄養及び代謝疾患」1兆9828億円(7.3%)となっている。
65歳未満では、「新生物」1兆4605億円(12.5%)が最も多く、65歳以上では「循環器系の疾患」4兆2668億円(27.4%)が最も多くなっている。
また、男女別にみると、男では「循環器系の疾患」、「新生物」、「呼吸器系の疾患」が多く、女では「循環器系の疾患」、「新生物」、「筋骨格系及び結合組織の疾患」が多くなっている。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/10/index.html