matsuda's blog

2020年6月

令和元年社会医療診療行為別統計の概要を公表 厚生労働省

厚生労働省は、624日、令和元年社会医療診療行為別統計の概要を公表しました。

結果の概要は、①診療行為・調剤行為の状況(医科診療・院外処方・歯科診療・薬局調剤)、②薬剤の使用状況について公表されています。

[院外処方]

◇院外処方率

医科の入院外における院外処方率は、総数で76.6%となっており、前年に比べ0.8ポイント上昇している。病院・診療所別にみると、病院79.5%、診療所75.7%となっており、前年に比べ病院は0.3ポイント、診療所は0.9ポイント上昇している。

院外処方率の年次推移(各年6月審査分)をみると201572.7%(病院76.3%、診療所71.6%)、201673.9%(病院77.5%、診療所72.8%)、201774.8%(病院78.2%、診療所73.8%)、201875.8%(病院79.2%、診療所74.8%)、201976.6%(病院79.5%、診療所75.7%)です。

[薬局調剤]

◇調剤行為の状況

薬局調剤の1件当たり点数は1,075.0点で、前年に比べ13.6点、1.3%増加している。受付1回当たり点数は889.8点で、前年に比べ32.6点、3.8%増加している。調剤行為別にみると、「薬剤料」656.2点(構成割合73.7%)が最も高く、次いで「調剤技術料」184.2点(同20.7%)となっている。1件当たり受付回数は1.21回で、前年に比べ0.03回減少している。

一般医療-後期医療・年齢階級別にみた調剤行為の状況

薬局調剤の1件当たり点数は、一般医療.946.5点、後期医療1,379.8となっている。受付1回当たり点数は、一般医療.799.6点、後期医療1,090.0点となっている。年齢階級別にみると、階級が高くなるにつれて受付1回当たり点数が高くなっている。1件当たり受付回数は、一般医療.1.18回、後期医療1.27回となっている。

「薬剤の使用状況」

[医科診療及び薬局調剤]

◇薬剤点数の状況

診療報酬明細書(医科入院外)及び調剤報酬明細書1件における使用薬剤の薬剤点数について、院内処方、院内処方別に薬剤点数階級別の件数の構成割合をみると、ともに「500点未満」が最も多く、それぞれ70.2%62.7%となっている。年齢階級別にみると、院内処方、院外処方ともに階級が高くなるにつれて500点以上の割合が高くなっている。

◇薬剤種類数の状況

診療報酬明細書(医科入院外)及び調剤報酬明細書1件における使用薬剤の薬剤種類数について、院内処方、院内処方別に薬剤種類数階級別の件数の構成割合をみると、ともに「1種類」「2種類」が多くなっている。年齢階級別にみると、院内処方、院外処方とも「75歳以上」で「7種類以上」の割合が高くなっている。1件当たり薬剤種類数は、院内処方で3.41種類、院外処方で3.76種類となっている。

◇薬効分類別にみた薬剤の使用状況

使用薬剤の薬剤点数について、入院、院内処方、院外処方別に薬効分類別の薬剤点数の構成割合をみると、入院では「腫瘍用薬」24.8%が最も多く、次いで「中枢神経系用薬」14.4%、「生物学的製剤」10.6%の順となっている。院内処方では「腫瘍用薬」19.9%が最も多く、次いで「その他の代謝性医薬品」14.5%、「循環器官用薬」10.9%、院外処方では「循環器官用薬」15.6%が最も多く、次いで「その他の代謝性医薬品」14.9%、「中枢神経系用薬」14.4%の順となっている。

◇後発医薬品の使用状況

入院、院内処方、院外処方別に薬剤点数に占める後発医薬品の点数の割合をみると、総数19.1%、入院14.4%、院内処方16.9%、院外処方19.7%となっている。また、薬剤種類数に占める後発医薬品の種類数の割合をみると、総数73.1%、入院69.3%、院内処方63.1%、院外処方75.8%となっており、前年に比べ総数3.6ポイント、入院3.5ポイント、院内処方2.7ポイント、院外処方3.7ポイント上昇している。後発医薬品の薬効分類別の薬剤点数について構成割合をみると、入院では「抗生物質製剤」22.6%、院内処方では「循環器官用薬」27.8%、院外処方では「循環器官用薬」28.9%が最も多くなっている。

◇薬剤料の比率

医科(薬局調剤分(医科分)を含む)における薬剤料の比率は、入院は9.7%で前年に比べ0.8ポイント増加、入院外は40.5%で前年に比べ0.6ポイント増加している。「投薬」「注射」についてみると、入院では「投薬」よりも「注射」の比率が高く、入院外では「注射」よりも「投薬」に比率が高くなっている。

 

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/sinryo/tyosa19/

 

2020/06/25(木) 11:31

抗原検査の使用方法の見直し 厚生労働省発表

厚生労働省は、616日、抗原検査の使用方法の見直しを発表しました。

新型コロナウイルス感染症の診断における抗原検査については、偽陰性が生じるリスクがあることから、陰性の場合には確定診断のために再度PCR検査が必要となっていますが、今般、発症2日目から9日以内の症例では、ウイルス量が多く、PCR検査と抗原検査の結果の一致率が高いとの研究結果が示されました。

この結果をもとに、16日、厚生科学審議会感染症部会に諮り、関係ガイドラインの改定を行い、「新型コロナウイルス感染症を疑う症状発症後2日目から9日目以内の者(発症日を1日目とする)については、本キットで陰性になった場合は追加の検査を必須としない」こととしました。抗原検査で陰性の場合も確定診断ができるようにするものです。

発症日別のウイルス量を踏まえた抗原検査の使用方法の研究は、川崎市健康安全研究所において、2020317日から526日に検査が実施された行政検査検体のうち、発症日が判明している検体(232検体)のRNA Copy(ウイルス量)の分布結果を調査した結果、発症日2日目から10日以内の症例では、おおむね8割以上の検体のRNA Copy数が1600Copy以上で、またおおむね9割以上の検体でRNA Copy数が400Copy以上でした。

抗原検査キット(エスプライン)の添付文書に記載されている臨床性能試験の概要では、RT-PCR法と抗原検査キットの陽性一致率は、1,600Copy以上の検体に対して一致率100%12/12症例)、400Copy以上の検体に対して一致率93%14/15例)です。

発症日2日目から10日以内の症例については十分なウイルス量を有することが確認できました。

また、発症日別のPCR検査と抗原検査の一致率に関する調査研究において、①新規検体(クラスターを対象とした積極的疫学調査の一環で実施した調査)で、東邦大学病院院内クラスター(有症状者)は発症から9日まではPCR検査と抗原検査の一致率が高かった、②保存検体を用いた調査として、国立国際医療研究センター入院患者の保存検体は発症から10日以内においては陽性一致率は高い傾向がある、自衛隊中央病院保存検体は咽頭ぬぐい検体を用いた抗原迅速検査とPCR検査との結果に高い一致度が認められた、としています。

 

https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000640451.pdf

 

2020/06/17(水) 15:24

新型コロナウイルス抗体保有調査の結果を発表 厚生労働省

 厚生労働省は、616日、新型コロナウイルスの抗体保有調査の結果を発表しました。

厚生労働省では、我が国の抗体保有状況の把握のため、東京都、大阪府、宮城県の3都府県について、それぞれ一般住民約3,000名を性・年齢区分別に無作為抽出し、6月第一週に血液検査を実施し、各自治体における抗体保有率が判明したため公表したものです。

調査は61~7日にかけて、3都府県において、各都府県により無作為抽出し、本調査への参加に同意した一般住民(東京都1,971名、大阪府2,970名、宮城県3,009名、計7,950名)を対象に抗体検査を実施しました。

調査では、陽性の判定をより正確に行うため、2種の検査試薬(ロシュ、アボット)の両方で陽性が確認されたものを「陽性」としました。

 各自治体の抗体保有率は、東京都0.10%1971名中2名)、大阪府0.17%2970名中5名)、宮城県0.03%3009名中1名)で、各自治体の累積感染者数と比較すると多いものの、依然として大半の人が抗体を保有していないという結果でした。

 厚生労働省は「本事業は国全体として過去に新型コロナウイルスに感染した人の割合を推定するものであり、個別に現在の感染を診断するものではない」としており、「現時点でこれらの抗体の性質(体内での持続期間や、2回目の感染から守る機能があるかどうか)は確定していない」としています。

 

https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000640184.pdf

2020/06/16(火) 16:02

令和2年度薬価調査の実施の見送りを要望 日本医師会・歯科医師会・薬剤師会

日本医師会・歯科医師会・薬剤師会は、610日に合同記者会見を行い、令和2年度薬価調査の実施の見送りについて要望しました。

                ◇

政府より発出された新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は、令和2525日に全都道府県で解除されましたが、この未知なる感染症は長期的な知応・対策が必要であるとともに、今後は「次なる波に備えた安全・安心のためのビジョン」の方向性にしたがって、早急に医療提供体制の確保や感染予防対策などの強化に取り組んでいかなければなりません。

このような中、来年度に実施予定の薬価改定のためには本年秋に薬価調査を行い、市場実勢価格を把握する必要がありますが、医薬品の販売側である医薬品メーカーと医薬品卸業者、ならびに、購入側である医療機関と薬局においては、新型コロナウイルス感染症の発生への対応を最優先に総力戦で対応しているところであります。

医薬品卸業者においては、本日の中医協薬価専門部会で意見表明があったように、感染防止のため通常とは異なる配送体制を組んでおり、昨年と同様の医薬品流通の状態にはありません。そのため、医療機関および薬局においては、医薬品購入に係る価格交渉ができていない状況です。そして、今後も当面の間、そのような状況は続くものと予想されます。

平成2812月に四大臣合意により「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」がとりまとめられ、市場実勢価格を薬価に反映して国民負担を抑制するために毎年薬価調査を行うこととなりました。しかしながら、現在の状況では、販売側・購入側とも薬価調査を実施できるような環境にあるとはいえず、仮に調査を実施しても、薬価改定に必要な適切な市場実勢価格を把握することは極めて困難です。また、新型コロナウイルス感染症への対応並びに感染拡大防止に医療現場全体で最大限取り組んでいるこの時期に、医薬品卸や医療機関・薬局に対し、調査に伴う事務作業負担を強いることはすべきではありません。

以上のような状況を踏まえ、来年度の薬価改定のための薬価調査につきましては、その実施を見送っていただくことを要望いたします。

2020/06/11(木) 15:55

会社・健保組合・労組が三位一体で禁煙を推進 田辺三菱製薬

田辺三菱製薬は、61日、会社・健康保険組合・労働組合が三位一体となって禁煙を推進し、喫煙ゼロを目指すことを発表しました。

同社は、2017年度より3カ年卒煙プログラムとして社内禁煙化を推進し、段階的に喫煙率を減らすことを目標に、営業車両の完全禁煙、健康保険組合との協働による禁煙支援、社内喫煙室の閉鎖、就業時間中禁煙を就業規則に明文化するなどに取り組んできました。

201912月には、労使共同による禁煙宣言を行っており、会社・健康保険組合・労働組合がそれぞれ役割を発揮し、三位一体となって禁煙推進に取り組んでいきます。

2020/06/05(金) 15:47

唾液を用いたPCR検査の導入を発表 厚生労働省

厚生労働省は、62日、唾液を用いたPCR検査の導入を発表しました。

新型コロナウイルス感染症の診断における鼻咽頭ぬぐい液及び唾液の有用性について、発症から9日以内であれば、両者で良好な一致率が認められるとの研究結果(厚生労働科学研究)が示され、この結果をもとに、「症状発症から9日以内の者については唾液PCR検査を可能」とすることとしたものです。当日付で、検査実施に係るマニュアルの改定やPCR検査キットの一部変更承認・保険適用を実施します。唾液を用いた検査は、鼻咽頭を拭う方法に比べて、検体採取に係る感染防御や人材確保の負担が軽減されます。

唾液を用いたPCR検査の主な対象者は、帰国者・接触者外来や地域外来・検査センターにおいては市中の有症状者、病院・診療所においては有症状者(患者、医療従事者等)です。

厚生労働科学研究は、COVID-19と診断され自衛隊中央病院に入院した患者の凍結唾液検体(発症後14日以内に採取された88症例)の分析を行い、鼻咽頭ぬぐい液を用いたPCR検査結果との一致率を検証し、発症から9日以内の症例では、PCR法及びLAMP法において、鼻咽頭ぬぐい液と唾液の検査結果に高い一致率が認められました。

2020/06/02(火) 14:37