matsuda's blog

2010年12月

日本製薬工業協会が新卒者の採用活動で声明

 日本製薬工業協会は、1215日の理事会で新卒者の採用活動で会長声明を発表することになり、次の通り発表しました。

 日本製薬工業協会は、病院、診療所などの医療機関で使用される医療用医薬品の研究・開発を通じて世界の人々の健康・福祉に貢献することを目指す、研究開発志向型の製薬企業の団体として昭和43年(1968年)に設立されました。現在、加盟企業は68社。略称は製薬協です。

 

 長谷川閑史会長名の声明は次の通りです。

 

 企業の採用活動の早期化が学生の学習環境を阻害しているとの指摘があり、毎年のようにその改善が要望されてきているが、残念ながら、未だ根本的な是正が図られるには至っていない。なかでも製薬業界での採用が多い薬系については、教育内容の充実を図るための六年制移行から最初の卒業生が20123月に出ることとなっているが、慢性化した早期の採用活動により、薬学教育改革の実効が問われることにもなりかねない。

 

 日本製薬工業協会としては、日本経済団体連合会が制定している「大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」に基づき、「卒業・修了学年に達しない学生に対する選考活動の自粛」、「採用内定日を卒業・修了学年の101日以降とすること」等について改めて会員会社に周知徹底を要請することとした。

 

 具体的には以下の通りである。

①会社説明会などの採用広報活動は、学事日程への影響を最小化するため、比較的時間的な余裕がある春季休暇を最大限活用できるよう卒業・修了学年にはいる前の春季休暇(2~3月頃)から開始する。

②面接などの採用選考活動は卒業・修了学年の4月に開始する。これにより主に研究開発分野での採用対象となる薬系・理系が研究活動で多忙となる夏季休暇より前に、就職活動に対する時間的余裕もできるため、以降の学業・研究活動に専念できることとなる。

2013年度入社の新卒者採用活動から適用する。

 

もとよりこの採用活動の見直しは、全産業が一致して実施しなければ、学生をはじめ関係者の混乱を来たし、就職活動の長期化を招くこととなる。早急に関係団体の議論を経て、全産業界の総意として実施できるよう当協会としても日本経済団体連合会はもとより、大学並びに行政など関係機関の理解も求めていく所存であることを申し添える。

 

日本製薬工業協会のリンク先は下記の通りで、メディアのためのニュースリリースとして掲載されています。

 

http://www.jpma.or.jp/

 

 

2010/12/30(木) 00:00

長期処方のあり方で日本医師会が見解

日本医師会では、国の政策やさまざまな問題・事象に対する見解や、新たな行動指針・活動計画・成果報告などを紹介するため、役員が報道各社に対して定例記者会見を行っており、会見の内容や提出した資料をホームページで紹介していますが、「長期処方についてのアンケート調査」に基づき、128日に「長期処方のあり方に関する日医の見解」を発表しました。

アンケート調査は、北海道、茨城県、群馬県、千葉県、広島県、福岡県におけるパイロットスタディとして実施され、病院は、6道県医師会の協力を得て任意に抽出した病院の医師、診療所は日本医師会員から無作為で5分の1抽出(勤務医)を調査対象とし、慢性疾患等の患者に対する処方日数、比較的長期の処方の対象疾患・処方理由・問題事例などを調査しています。101日を調査基準日とし、930日から115日まで調査期間としています。

有効回答数及び有効回答率は、医師数では病院2,820(有効回答率35.5%)、診療所1,395人(同43.6%)、合計4,215人。このうち外来診療(処方)を行っている医師3,904人。施設数では病院99施設(うち大学病院5施設)、診療所1,389施設、合計1,488施設です。

発表では、結果のポイントを解説するとともに、具体的な内容を示した上で、長期処方のあり方に対する見解を示し、患者の安全は最優先されなければならないことから、日本医師会は、医師の責務として適切な処方期間を確保するよう自ら努めるとともに、中医協等において、あらためて処方期間のあり方を検討することを要望し、また病院の多忙さが長期処方を誘発する恐れがあるので、この面からも、病院(特に大病院)と診療所のあり方(機能)について議論を深める必要もあると指摘しています。

リンク先は下記の通りです。

 

http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20101208_1.pdf

2010/12/23(木) 00:00

ポイントカード政府答弁書で日本薬剤師会が見解

 日本薬剤師会は、123日、「保険調剤におけるポイントカードに関する政府答弁書」に対する見解をまとめ、都道府県薬剤師会会長宛に連絡しました。

 これは、藤井基之参議院議員(薬剤師)の質問主意書(1119日付)に対して、1130日に政府答弁書が出され、これについて日本薬剤師会が見解をまとめたものです。

 質問は、①一部の多店舗展開の保険薬局が、保険調剤の一部負担金の支払に対してポイントを提供していることを把握しているか、②保険薬局を利用してポイントを提供された者が、当該保険薬局又は関連保険薬局において保険調剤の一部負担金の支払に当たってポイントを充てて減額を求めることは認められないと考えるが政府見解を示せ、③保険調剤で一部負担金の支払額に応じてポイントを提供された者が、次回以降に保険調剤の一部負担金の支払以外にポイントを使用することは、患者にとって費用負担の減額の効果を与えることになり、結果として保険調剤の一部負担金の減額に当たると考えられるが政府見解を示せ、など健康保険法との関連や公的医療保険制度を含めて6項目にわたっています。

 これに対して、政府答弁書は、健康保険法にはポイント提供・使用を規制する規定はないが、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則において、健康保険法の規定による一部負担金等の支払いを受けるものとされ、減額は許されないことから、ポイントの提供・使用が一部負担金の減額に当たる場合は規定に違反することとしていますが、質問にある「保険医療の質の低下」を招いたり、「公的医療保険制度の根幹を揺るがすことに繋がる」とは考えにくい、と答弁しています。

 この問題に関して、日本薬剤師会では、従前から「保険調剤におけるポイントカードの利用については、一部負担金の支払時にポイントを充てて減免することはもちろん、ポイント付与(提供)の対象とすることは認められない」と表明しており、先に都道府県薬剤師会に通知していますが、今回の政府答弁に対しては「これまで厚生労働省が口頭で説明してきた考え方が改めて示されたもの」とする一方で、「国民皆保険制度は国民の税金や保険料等を財源として運用されるもので、一般的な商取引と同一視することは医療保険制度の根幹を揺るがしかねない」とし、一部負担金の支払時にクレジットカードの使用が認められていることから、今回のポイントカードとクレジットカード会社から提供されるポイントサービスが同様であるとの指摘があることも紹介し、「クレジットカード会社の提供するポイントサービスが、同会社と契約者(患者)との関係であることに対して、保険薬局のポイントカードを介して提供されるポイントサービスは、保険医療提供者と患者との関係であるという点で大きな違いがある」と指摘しています。

 そのうえで「保険調剤を対象とするポイントカードを介して行われるポイントの提供及び使用は、ともに一部負担金の減免に当たる認識としており、保険調剤に携わる者として保険薬局及び保険調剤は、保険調剤におけるポイントサービスの提供は厳に慎むべき行為である」と力説しています。

2010/12/16(木) 00:00

前年比2%の増加 平成20年度国民医療費の概況

厚生労働省は、1124日、平成20年度国民医療費の概況を発表し、ホームページにも公表しました。

それによりますと、医療費は総医療費、国民一人当たり医療費とも対前年比2.0%の伸びを示しています。また、所得に対する比率は0.88ポイントの上昇となっています。

「国民医療費」は、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものです。

保険診療の対象となりうる傷病の治療に要した費用は、実際に医療保険等によって支払われたもの(患者の一部負担を含む)、公費負担によって支払われたもの(患者の一部負担を含む)、全額自費によって支払われたものによって構成されます。保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む))、選定療養(入院時室料差額分、歯科差額分等)及び不妊治療における生殖補助医療などに要した費用は含んでいません。

また、傷病の治療費に限っているため、①正常な妊娠・分娩に要する費用、②健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、③固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含みません。

医療費1011[1].jpg 

 

<国民医療費の状況>

 

平成20年度の国民医療費は348084億円で、前年度の341360億円に比べて6725億円、2.0%の増加となっている。

人口一人当たりの国民医療費は272600円、前年度の267200円に比べて2.0%増加している。国民医療費の国民所得に対する比率は990%で、前年度の902%と比べて上昇している。

 

医療費2002[1].jpg 

2010/12/09(木) 00:00

在宅療養推進で大きな動き-日薬がアクションプログラム・全国組織も

日本薬剤師会は、先に、都道府県薬剤師会会長宛に「在宅療養推進アクションプログラムの策定と事業実施」について通知しました。

薬剤師会では、薬剤師の在宅(居宅)への訪問回数が年間延べ200万回と着実に伸びる一方、薬局からは「応需体制を整えているが、医師の訪問指示が来ない」との声があり、また、他職種からは「在宅訪問を応需できる薬局の情報がなく依頼が出来ない」という声が寄せられていることを示し、このようなミスマッチは、地域において在宅療養を推進する上での大きな問題であると指摘しています。

日本薬剤師会では、薬剤師の在宅(居宅)訪問薬剤管理指導業務の充実のため、「体調チェック・フローチャート」や「在宅服薬支援マニュアル」を作成等の方策を講じてきましたが、このほど、地域単位で在宅医療を推進するための環境を整備し、より多くの地域薬局に在宅医療チームの一員として活動することを目的として、「在宅療養推進アクションプログラム」を策定し、来年度末を目途として実施することとしました。

現在、医療・介護制度改革の一環として「地域包括ケアシステム」の拡充に向けた動きが加速しており、地域薬局においては、薬局・薬剤師の職能と専門性(薬局力)を生かして、地域(支部)における在宅療養連携の仕組みに参加することが求められている、としています。

 

一方、在宅療法支援で薬剤師の全国組織が設立されました。

 設立されたのは、全国薬剤師・在宅療法支援連絡会(Japan home care supporting pharmacist liaison meetingJ-HOPで、その設立総会が先に東京で開催されました。

 同会は、医療や介護のあらゆる場面において、調剤、医薬品及び医療材料等の情報提供と安定した供給体制の確立、薬物療法に対する支援のための環境整備は国民に対する薬剤師の責務であること、また、在宅医療においては、多職種による連携体制の確立が不可欠であり、その体制の中で薬剤師としての役割を担うことが求められることから、これらの責務と役割を果たすために、関係団体等と連携を図りながら、全国の薬剤師による在宅業務への取り組みを支援していくための組織として設立されたものです。

具体的には、◇在宅療養に必要な調剤、医薬品及び医療材料等の安定した供給体制の確立、◇在宅での療養を支援するために必要な知識・技能・態度を有する薬剤師の育成、◇在宅療養を円滑に進めるための薬局薬剤師、病院薬剤師、大学間の連携と情報共有の推進、◇在宅療養に関する他職種との協働及び各職能団体との連携・情報共有の推進、を目的として、事業・活動に取り組むこととしています。

会長には()メディカルグリーン代表取締役大澤光司氏、副会長に金井秀樹(なのはな調剤薬局)、萩田均司(薬局つばめファーマシー)、川添哲嗣(くろしお薬局)、宇田和夫(()ファーコス)の各氏が就任しています。

今後、日本薬剤師会と協調・連携を図ることはもちろん、医師の団体である全国在宅療養支援診療所連絡会、歯科医師等の団体である全国在宅歯科医療・口腔ケア連絡会、訪問看護師関連団体、日本介護支援専門員協会など在宅医療を推進する各種団体とも連携を図っていく計画です。

2010/12/02(木) 09:00