大阪府は、6月16日、『大阪府地域医療再生計画「三次医療圏」(案)の策定』を発表しました。
大阪府では、平成20年3月に策定した「大阪府保健医療計画」に基づき、救急医療や周産期医療などを中心に、地域の実情に応じた効果的な医療提供体制を構築するため、取り組みを進めていますが、このたび、国の経済対策の一環として平成22年度補正予算で措置された「地域医療再生臨時特例交付金」を活用し、「三次医療圏(府全域)」における医療に係る課題を解決するため、『大阪府地域医療再生計画「三次医療圏」(案)』を策定し、16日付で厚生労働省に提出しました。
『地域医療再生計画「三次医療圏」』とは、三次医療圏(都道府県域)単位での広域的な医療提供体制の課題を解決するための施策について、都道府県が定める計画で、計画期間は平成23年度から25年度までです。
『大阪府地域医療再生計画「三次医療圏」(案)』は、府全域で解決することが求められる広域的な医療課題を解決するため、優先度の高い7分野(救急医療、周産期医療、がん対策、感染症対策、歯科医療、薬務対策、医師確保)において、これまでの取り組みの充実・強化を図るものです。
国の交付条件に基づき、15億円規模の『大阪府地域医療再生計画「三次医療圏」(案)基礎額計画』と、約42億円規模の『大阪府地域医療再生計画「三次医療圏」(案)加算額計画』を提出しました。今後、厚生労働省の有識者会議の評価を経て、交付金額が決定される予定です。
大阪府域には、高度専門的な特定領域の医療サービスを提供する役割を担う特定機能病院が7病院あり、また、総合病院や専門病院も数多く集積しています。医療機関数は、これら高度専門医療機関等を含め、病院539、診療所8,231で、一般病床64,980床を有しています。(平成21年医療施設調査) 地方部と異なり、私的病院が地域医療・政策医療の推進に大きな役割を果たしていることも特徴です。
今回の計画の中で、薬務対策は、「医療連携に係る服薬情報管理活用」で、内容は◇医療提供体制の構築における薬務の役割、◇服薬情報管理活用の現状、◇服薬情報管理活用の課題、◇服薬情報管理活用の目標、◇具体的な施策、で構成されています。
【医療提供体制の構築における薬務の役割】
○ 医療資源が限られている中で、より良い医療が効果的かつ効率的に提供されるためには、地域の医療機関とともに薬局が相互に連携を取って対応する体制の構築が重要である。
○ 中でも、病院・診療所・薬局間の患者情報、とりわけ服薬情報の共有化は重要なツールである。
【服薬情報管理活用の課題】
○ 高齢化の進展に伴い、種々の慢性疾患の既往がある患者が増加しており、重複投薬や薬剤の相互作用の確認が必要な場合が増えている。しかし、医療機関、薬局が、相互に速やかにかつ確実に服薬情報を共有できる仕組みが未整備である。
○ また、救急搬送や災害時においては、かかりつけでない、より高次の急性期対応医療機関等が緊急に正確な服薬情報を得て、速やかに適切な医療を提供できるようにする必要がある。
○ お薬手帳は服薬情報を簡便に確認できるツールであるが、常時身に着けているものではないため、十分活用されていない。
【服薬情報管理活用の目標】
○ 「お薬手帳」を普及させ、服薬情報の管理・共有・活用を推進するため、平成25年度末までに、府内の全薬局(約3,500件)で服薬情報等を提供できる体制を整備し、現在54.2%であるお薬手帳の普及率を80%まで、お薬手帳等を薬局へ持参する患者の割合を現在の39.4%から60%まで増加させる。
【具体的な施策】
近年、普及が著しく、常時携帯されることが習慣となっている携帯電話を活用した、服薬情報管理システムを構築する。
具体的には、服薬情報等を携帯電話に取り込み、いつでも携帯電話から確認できるようにするため、①患者の服薬情報等を携帯電話に登録するシステムの開発、②府内の薬局(約3,500件)へ、ICリーダライター(レセプトコンピューターからの情報を携帯電話に転送する装置)の設置、及び新システムの導入、③服薬情報電子化地域連携協議会の開催(薬剤師会・行政(府・政令市)・システム会社)、④府民等への普及啓発、を行うこととしています。総事業費は210,000千円(うち基金負担210,000千円)となっています。
http://www.pref.osaka.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=7262