日本薬剤師会が一般薬インターネット販売等規制緩和反対署名提出
日本薬剤師会は、6月15日、全国薬害被害者団体連絡協議会、全国消費者団体連絡会とともに、政府の行政刷新会議の「規制・制度改革に関する分科会」が提言する「一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和」に反対する署名(署名数:540,278筆)の結果を、菅直人内閣総理大臣、細川律夫厚生労働大臣、蓮舫特命担当大臣(行政刷新・消費者担当)、及び民主党の「安心・安全な薬とサプリメントを考える議員連盟」(会長:楢床伸二衆議院議員)へ提出し、規制緩和を行わないよう改めて要望しました。
「安全性より利便性を優先させる一般用医薬品のインターネット等販売規制緩和に反対します」と題する要望文は次の通りです。
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私達は、一般用医薬品のインターネット販売を現在容認されている第3類の販売から、重篤な副作用がある、よりリスクの高い分類品目まで拡大する規制緩和に反対します。
2009年(平成21年)6月の「改正薬事法」施行に伴い省令により、一般用医薬品について、第3類医薬品を除き、インターネット販売等が禁止されました。
「改正薬事法」の基本的理念は、専門家による実効性のある情報提供と相談対応によって、一般用医薬品の適切で安全な使用を実現しようとする点にあります。
一般用医薬品による健康被害救済の内訳をみると、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性皮膚壊死症など重篤な副作用被害が最も多く死亡例も含まれています。
規制に反対するインターネット販売業者等は、高齢者や「障害者」、離島居住者など利便性が損なわれると主張していますが、むしろ、これらの方々に対してこそ、専門家の指導による適切な医薬品の使用が強く求められます。安全性を無視して、消費者が単に利便性を求めているとの主張は、結局のところ消費者をないがしろにする主張だと考えます。
我々各請願団体は、国民の安心、安全性確保の立場からインターネット販売の規制緩和を強く懸念し、本年2月~5月にかけて署名活動を行いましたところ、賛同された540,278人の署名が集まりました。
今般の東日本大震災で被災された方への支援活動においても、専門家による直接対面での医薬品の供給と、それに伴う情報提供や相談応需が必要とされたところです。
政府の行政刷新会議において検討されております「一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和」については、こうした国民の声を踏まえ、再考いただきますよう強く要望いたします。