社会保障・税一体改革成案(案)で日本医師会・歯科医師会・薬剤師会が意見書
日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会は、6月17日、政府・与党社会保障改革検討本部の「社会保障・税一体改革成案(案)」について意見書(見解と社会保障改革にむけての要望)を提出しました。
内容は次の通りで、詳細は日本医師会、日本薬剤師会などのホームページで確認できます。
2011年6月17日、政府・与党社会保障改革検討本部・第4回成案決定会合に「社会保障・税一体改革成案(案)」が提出された。この政府案は、社会保障の強化にむけ、医療、介護に相当の資源(費用、マンパワー)を投入する方向性を打ち出しており、このことは評価できる。
しかし、財源を確保するため、受診時定額負担や高齢者(70~74歳)の患者一部負担割合の引き上げなど、さらなる患者の経済的負担を求めていることは問題である。日本の患者一部負担割合は先進諸国と比べて高く、すでに公的医療保険制度と呼べる水準ではない。財源は、患者(利用者)負担に求めるのではなく、保険料や税財源に求めるべきである。
2006年6月の健康保険法等の一部を改正する法律案決議にも「平成14年の健康保険法等の一部を改正する法律附則第2条第1項に明記された『医療保険各法に規定する被保険者及び被扶養者の医療に係る給付については、将来にわたり百分の七十を維持するものとする。』ことを始めとして、安易に公的医療保険の範囲の縮小を行わず、現行の公的医療保険の範囲の堅持に努めること」と記されている。
また、政府案はさらなる急性期医療の強化を通じた平均在院日数の短縮化などを打ち出している。しかし、患者負担および医療の安心・安全面から、平均在院日数の短縮化はもはや限界である。
日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会は、国民がさまざまな格差に苦しむことなく必要な医療・介護を受けることができる社会を持続させるため、以下の要望を行う。
1. 医療・介護については、地域(特に地方)や個々の家族の事情を踏まえて多様なあり方を認め、そのために、全体的かつ幅広く資源を投入すること。
2. 日本は、先進諸国に比べ平均在院日数が長く、受診回数が多いと指摘されている。しかし、国民医療費が低く抑えられている中、日本国民の健康度がきわめて高いことも事実である。今後は国民医療費を引き上げ、これまでの日本の医療のあり方を尊重しつつ、強化すること。
3. 財源は、保険料の見直し、さまざまな税制改革等によって確保すること。あらたな患者負担は求めないこと。また、消費税率を見直す場合には、あらかじめ控除対象外消費税を解決すること。