matsuda's blog

日本赤十字社と田辺三菱製薬の血漿分画事業統合の検討開始

田辺三菱製薬と日本赤十字社は、617日、平成2441日を目途として、田辺三菱製薬の完全子会社で、血漿分画製剤の製造販売会社であるベネシスと日本赤十字社の血漿分各事業部門との統合に向けた検討を開始することに合意しました。

 

 我が国では、血液製剤の安全性の向上、安定供給の確保等によって、国民の保健衛生の向上に資することを目的として、平成157月に「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」(血液法)が施行されています。本法律では倫理性、国際的公平性の観点に立脚し、その基本理念の一つとして血液製剤の国内自給の確保と安定供給が求められています。さらに、世界保健機関が加盟国に対して国内自給の達成を目的とした国家的、効率的かつ持続可能な血液事業を求めるなど、国内自給達成が国際的な要請となっており、また、世界的な血液製剤の供給不足が生じた際に国民の生命身体を守るという安全保障の観点からも国内自給達成が不可欠です。

 しかし、現状では、我が国における血漿分画製剤の国内自給は達成されておらず、特にアルブミン製剤については58.7%(平成22)であり、国内製造が全く行われていない製剤もあります。その主な理由としては、国内各メーカーの生産規模が全世界を市場とする海外競合メーカーに比べて小さく、製造コストを含め事業の効率化にも限界があることが考えられます。

 このような状況の下、田辺三菱製薬と日本赤十字社は、日本国内における血漿分画事業の安定的継続という国民の負託に応えるためには、血漿分画事業の統合が大きな選択肢であることで一致し、その可能性を模索してきました。また、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会(平成2338日開催)にて審議・了承された「血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会 中間報告」における提言内容も、これまでの両社の協議の方向性と整合することから、新法人の設立に向けた具体的な検討を開始することで基本合意に達しました。

 なお、この法人設立は、スケールメリットを生かした経営によって生産段階および供給段階でのコストを低減し、事業の健全性を確保することによって、血液製剤の国内自給達成を目指すものです。

 新法人は、献血者の善意に基づき無償で得られた血液を原料とした血液製剤の国内自給の達成という公益性の高い目標のために取り組む、営利を目的としない法人とします。また、血漿分画製剤の国内必要原料を一括して処理できる能力を持つ大規模アルコール分画工場の新設を行い、効率的な生産体制によって血液製剤の国内製造における中核的役割を担うことを目指します。

 

http://www.mt-pharma.co.jp/

2011/06/22(水) 17:33