matsuda's blog

2011年6月

一般薬のインターネット等販売規制緩和反対署名が54万人に 日本薬剤師会

日本薬剤師会は、62日付けで、都道府県薬剤師会会長に対して、一般用医薬品のインターネット等販売規制緩和に反対する署名が540,259筆に達したことを通知し、9日の記者会見で、発表しました。

政府の行政刷新会議等で検討されています「一般薬のインターネット等販売規制緩和」については、日本薬剤師会において、関係者の理解を得ながら反対活動を展開しています。

当初、3月下旬に予定されていた規制・制度改革の方針について署名活動を実施していましたが、東日本大震災の影響により、当該案件の閣議決定が見送られているため、当初より署名の実施期間を延長し、531日としていました。

日本薬剤師会としては、署名名簿は、内閣総理大臣及び厚生労働大臣へ提出する予定としていますが、政府における検討状況に鑑み、提出時期等については、今後、他の署名請願団体等と調製することとしています。

2011/06/14(火) 14:12

薬剤師生涯教育推進事業実施法人公募 厚生労働省

厚生労働省は、平成23年度予算において、薬剤師生涯教育推進事業のための予算が措置されたことから、613日、「平成23年度薬剤師生涯教育推進事業実施法人の公募」を発表しました。

薬剤師生涯教育推進事業は、医療技術の高度化・専門分化が進展する中、より良い医療を患者に提供していくために、チーム医療・地域医療に貢献する薬剤師を養成することを目的とし、病院や薬局等の医療機関に勤務している薬剤師を対象として、チーム医療・地域医療に貢献するために必要な知識及び技能を習得させるため、医療現場等において医師や看護師等と協働した高度な医療に関する実務研修等を行うものです。

事業の実施に当たっては、チーム医療や地域医療における先行・先端的な取り組みを行っている薬局や医療機関との連携を図るものとし、国は、予算の範囲内で、薬剤師生涯教育推進事業に係る経費について別に定める基準(医療関係者養成確保対策費等補助金、医療関係者研修費等補助金及び臨床研修費等補助金交付要綱)により補助します。

応募の要件は、(1)薬剤師生涯教育事業を適切に実施できる能力を有する法人であること、(2)研修事業の実施及び運営について、幅広い知見と経験を有していること、(3)医療や薬学教育について、幅広い知見と経験を有していること、で、平成23年度予算予定額は21,054千円となっています。補助対象経費は、賃金、諸手当、社会保険料事業主負担、報償費(謝金)、旅費、需用費(会議費、印刷製本費)、通信運搬費、使用料及び賃貸料(会場借料)です。

事業の実施期間は、法人採択日から平成24331日まで。

法人の採択については、医薬食品局総務課において、応募要件に該当する旨を確認した後、申請内容等を審査しますが、審査に当たっては、厚生労働省に設置する薬剤師生涯教育推進事業実施法人選定審査委員会を組織し、審査委員会の意見を聴いて定めた審査基準に基づき実施します。

審査委員会は、申請者から提出された応募書等の内容について書類審査及び必要に応じヒアリング審査を行い、それらの評価結果を基に最も優秀と認められる応募法人を選定し、採択します。審査は非公開で行い、その経緯は通知しません。

審査の手順は、

       形式審査:提出された応募書類について、医薬食品局総務課において、応募要件への適合性について審査します。なお、応募の要件を満たしていないものについては、以降の審査の対象から除外されます。

       書類審査:審査委員会により、書類審査を実施します。

       ヒアリング審査:必要に応じて、審査委員会により、申請者(代理も可能)に対してヒアリング審査を実施します。

       最終審査:書類審査及びヒアリング審査における評価を踏まえ、審査委員会において最終審査を実施し、法人を採択します。

 審査の観点は、事務処理能力(業務遂行体制の妥当性)、知見(医療及び薬剤師の資質向上に関する知見の妥当性)、研修内容(研修プログラムの妥当性)で、審査の結果については、審査委員会における最終審査が終了次第、速やかに応募法人に対して通知する予定です。

 提出期間は613日から628日まで(必着)、審査は7月上旬で、採択・不採択の連絡は7月中旬~7月下旬に行われる予定です。

 

http://www.mhlw.go.jp/topics/2011/06/tp0610-2.html

 

2011/06/13(月) 16:35

東日本大震災に係る状況など報告 社会保障審議会医療部会

18回社会保障審議会医療部会は、68日に開催され、東日本大震災に係る状況などが報告されました。

 被災地における医療機関の現状については、病院の被害状況は、岩手県が94施設中、全壊4施設、一部損壊58施設、宮城県が147施設中、全壊5施設、一部損壊123施設、福島県が139施設中、全壊2施設、一部損壊108施設。診療所の被害状況は、医科については、岩手県が924施設中、全壊14施設、一部損壊57施設、宮城県が1,580施設中、全壊67施設、一部損壊316施設、福島県が1,468施設中、全壊0施設、一部損壊29施設、歯科については、岩手県が606施設中、全壊22施設、一部損壊32施設、宮城県が1,047施設中、全壊59施設、一部損壊325施設、福島県が1,468施設中、全壊5施設、一部損壊248施設です。

 医療関係者の派遣実績は、63日時点の累計で、DMAT(47全都道府県)が約1,500(340チーム)、国立病院機構医療チームが471(92チーム)、医療チーム(日本医師会のJMAT)10,354(2,178チーム)、薬剤師(日本薬剤師会及び日本病院薬剤師会等)1,619人、看護師(日本看護協会、日本精神科看護技術協会及び国立病院機構)1,217人、歯科医師等(日本歯科医師会等の関係団体)220人、理学療法士等(日本理学療法士協会、日本作業療法士協会及び日本言語聴覚士協会)60人、保健医療の有資格者等(公衆衛生医師、保健師、管理栄養士等)6,238(186チーム)、心のケアチーム2,093(52チーム)です。なお、医療チームで派遣された場合の看護師、薬剤師については、「看護師」「薬剤師」欄には計上されていません。また、被災地域の各職能団体で対応が行われたケースもあります。

 なお、今後の被災地の医療確保への対応に関しては、医療施設等の災害復旧等で、平成23年度第1次補正として70億円が予算化されており、被害を受けた医療施設等の災害復旧事業3,618百万円、被害を受けた病院の近代化整備事業3,245百万円、国立成育医療研究センターの災害復旧131百万円となっています。

 また、平成22年度補正では、被災3県に対して、地域医療再生臨時特例交付金の特例として、事業のスケジュール案に関係なく、交付額の上限である120億円を確保、このうち基礎額部分の15億円については、医療機能を回復するために緊急的に必要である場合は前倒しして交付することを可能としています。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ets7.html

 

2011/06/10(金) 17:29

厚生労働省が医療施設動態調査発表

厚生労働省は、69日、医療施設動態調査の3月末概数を発表しました。

発表されたのは、種類別にみた施設数及び病床数、開設者別にみた施設数及び病床数、都道府県別施設数及び病床数、病院病床数の推移、病院及び一般診療所の療養病床数総計の推移などです。総数は、176,900施設、1,725,144病床で、病院が8,650施設、1,590,704病床、一般診療所が99,805施設、134,333病床、歯科診療所が68,445施設、107病床です。

開設者別にみた施設数及び病床数を見ますと、

病院では、国の厚生労働省14施設6,340病床、独立行政法人国立病院機構144施設、55,996病床、国立大学法人48施設32,779病床、独立行政法人労働者健康福祉機構34施設13,225病床、国立高度専門医療研究センター8施設4,903病床、その他26施設3,926病床で、都道府県が233施設61,531病床、市町村が698施設151,184病床、地方独立行政法人が54施設23,179病床、日赤が92施設37,264病床、済生会が80施設22,200病床、北海道社会事業協会が7施設1,865病床、厚生連が111施設35,832病床、全国社会保険協会連合会が51施設14,082病床、厚生年金事業振興団が7施設2,800病床、船員保険会が3施設786病床、健康保険組合及びその連合会が13施設2,707病床、共済組合及びその連合会が46施設14,927病床、国民健康保険組合が1施設320病床、公益法人が391施設93,829病床、医療法人が5,721施設852,833病床、私立学校法人が108施設54,687病床、社会福祉法人が185施設33,078病床、医療生協が83施設14,142病床、会社が64施設13,158病床、その他の法人が35施設6,204病床、個人が393施設36,927病床です。

また一般診療所では、国のその他437施設2,278病床、都道府県が238施設131病床、市町村が3,096施設2,690病床、地方独立行政法人が10施設、日赤が208施設19病床、済生会が48施設10病床、厚生連が68施設79病床、全国社会保険協会連合会が2施設、厚生年金事業振興団が1施設、船員保険会が14施設10病床、健康保険組合及びその連合会が371施設10病床、共済組合及びその連合会が200施設10病床、国民健康保険組合が13施設、公益法人が900施設598病床、医療法人が36,367施設88,350病床、私立学校法人が178施設115病床、社会福祉法人が7,490施設352病床、医療生協が322施設280病床、会社が2,182施設36病床、その他の法人が428施設246病床、個人が47,066施設39,119病床となっています。

歯科診療所は、国立大学法人が2施設、その他が1施設、都道府県が11施設、市町村が273施設、健康保険組合及びその連合会が4施設、共済組合及びその連合会が8施設、公益法人が155施設、医療法人が10,851施設、私立学校法人が15施設、社会福祉法人が25施設、医療生協が46施設、会社が17施設、その他の法人が78施設、個人が56,959施設です。

 

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m11/is1103.html

2011/06/10(金) 12:26

加齢黄斑変性など眼疾患で意識調査 ノバルティスが実施

ノバルティスファーマは、20114月から5月にかけて、全国の50代から70代の男女3,300名に対し、「加齢黄斑変性」を中心とする眼疾患に関するインターネット調査を実施しました。

 調査は、413~59日に実施しましたが、その結果概要は次の通りです。

 

加齢黄斑変性とうい疾患名についての認知度は、2010年の調査時(40.6%)より3.6ポイント上昇し44.2%でした。一方、昨年調査時と同様に、加齢黄斑変性が「身体のどの部分の病気か」を確認したところ、「目の病気」と知っていた方は、疾患名を認知している方のうちの約6(63.8%)、調査回答者全体では28.2%3割に満たないことがわかりました。疾患名を知っていると回答した方でも、加齢黄斑変性を「皮膚の病気」と誤解している方(23.2%)や、「わからない」と回答する方(11.8%)もみられました。

 疾患名については、昨年実施した疾患啓発キャンペーンなどで知る機会が増えて可能性がありますが、加齢黄斑変性を正しく理解されている方はいまだ少ないことから、目の病気であることはもちろん、「見たい部分がゆがむ」、「薄暗く見える」といった特徴的な症状についても、さらなる啓発によって理解を深めていただくことの重要性が示唆されました。

 また、普段の生活では気付きにくい、加齢黄斑変性における見え方の異常を自己チェックできる「アムスラーチャート」の使用経験者は22.4%であることがわかりました。一方、調査対象者全員にこのチャートで片目ずつチェックしていただいたところ、加齢黄斑変性でよく見られる症状(見たい部分が「ゆがむ」、「欠ける」、「中心がぼやける」など)に気付いた方が5.3%(174)いました。加齢黄斑変性の早期発見のためには、アムスラーチャートでの定期的な自己チェックや、定期的な眼科受診が大切です。

 さらに、今回の調査対象である50代以上の方は加齢黄斑変性の罹患率が高くなる年齢ですが、目に何らかの症状がなくても定期的に眼科を受診している方は9.6%1割に満たず、過去1年間に1度も眼科を受診していない方が全体の約7割を占めることが明らかになりました。

 主な調査結果のサマリーは次の通りです。

     加齢黄斑変性を「目の病気」と認知していたのは、全体の3割未満

     アムスラーチャートのチェックで、5.3%(174)に加齢黄斑変性に見られる症状

     罹患リスク高まる年代でも、定期的に眼科を受診している方は1割に満たず

     過去1年間に眼科を受診したことがない方は約7割にのぼる

 

詳細はノバルティスのホームページで参照できます。

 

http://www.novartis.co.jp/

2011/06/09(木) 12:10

父の健康に関する娘の意識調査 ファイザーが実施

アステラス製薬とファイザーは、今回で5年目・第8弾となる動脈硬化性疾患啓発活動「コレステロール甘くみない!!!」を6月から開始しますが、その活動の一環として、ファイザーは、父の日を前に2011513~15日、15歳から34歳の女性800人を対象に、父親の健康に関する娘の意識調査をインターネットで実施しました。

 日本人の死因は、第1位がん、第2位心疾患(心筋梗塞など)、第3位脳血管疾患(脳梗塞など)で、日本人の約3分の1が"血管系疾患"で亡くなっています。その要因の一つが"悪玉(LDL)コレステロール"ですが、近年、中高年男性を中心に、悪玉(LDL)コレステロール値等の異常による"脂質異常症(高脂血症)"を患う人が増加しています。

こうした背景を受け、父の日という機会に、40歳以上の中高年の父親を持つ娘が、父親の健康に関してどのような意識を持っているのかを把握することを目的として調査を実施しました。

その結果、多くの女性が父親の健康に関心を持ち、注意を払っている一方、父親と娘の間では、父親の健康に対する認識にギャップがあることもわかりました。

主な点は次の通りです。

     娘は「父親想い」

     父親に望むこと1位は「健康で長生きして欲しい」83.3%

     81.2%が、父親の健康について心配しており、86.8%が「もっと気を遣ってほしい」と思っている。

     91.3%が、父親に健康診断を受けて欲しいと回答。実際、定期的に受けている父親は75.3%

     父娘間で健康意識に温度差!? 父親の健康を不安に思い注意する娘、その注意を受け流す父親

     4人に1人が父親の健康診断結果を見たことがある。

     父親の健康診断結果を見た娘の55.9%が不安を感じている。

     57.8%が、健康について父親へ注意したことがあると回答。しかし73.2%の父親は行動に変化なし。

     父親の悪玉(LDL)コレステロールに対する認識の甘さが浮き彫りに!

     56.4%の父親が「悪玉(LDL)コレステロールに気を遣っている」と回答。一方娘は、68.7%が「悪玉(LDL)コレステロールに気を遣っているとは思わない」と回答。

     悪玉(LDL)コレステロール値が正常だと思うと、父親自身は約4割が回答。対して、娘は約2割しか、父親の悪玉(LDL)コレステロール値が正常だと思っていない。

     健康診断を受けているにも関わらず、自分の悪玉(LDL)コレステロール値を知らない父親57.9%

 

 詳細はファーザーのホームページで確認できます。

 

http://www.pfizer.co.jp/pfizer/index.html

 

2011/06/09(木) 11:13

第18回医療経済実態調査実施へ 厚生労働省

厚生労働省は、67日、第18回医療経済実態調査の実施を発表しました。

医療経済実態調査(医療機関等調査)は、病院、一般診療所及び歯科診療所並びに保険薬局における医業経営等の実態を明らかにし、社会保険診療報酬に関する基礎資料を整備することを目的とし、中央社会保険医療協議会が2年に1度、実施しています。

本年は、東日本大震災のため、日本医師会などが518日の第190回中央社会保険医療協議会総会で実施の延期を要請していましたが、63日の第191回総会で実施が決定したため、本年も6月に調査を実施することとしたものです。

調査は、社会保険による診療・調剤を行っている全国の病院、一般診療所、歯科診療所及び1ヶ月間の調剤報酬明細書の取扱件数が300件以上の保険薬局を対象しています。ただし、開設者が医育機関(特定機能病院及び歯科大学病院は除く)であるもの、特定人のために開設されている閉鎖的なもの、感染症病床のみを有する病院、結核療養所、原爆病院、自衛隊病院等の特殊な病院並びに刑務所、船内等に設置される一般診療所及び歯科診療所は除外。また、歯科併設の一般診療所、臨床検査センター、夜間診療所、巡回診療所及び1ヶ月間の診療時間が100時間未満であると推定された医療機関は調査対象から除外します。

調査事項は、基本データ、損益、給与、資産・負債、租税公課等で、調査の時期は1)平成236月の1ヶ月間と、2)平成233月末までに終了した事業年(度)、3)平成223月末までに終了した直近の事業年(度)の3期間について実施します。

今回の調査に当たって、調査対象8,874(箇所数)施設を無作為に抽出していますが、中央社会保険医療協議会森田朗会長と厚生労働省保険局外口崇局長は連名で調査対象の開設者・管理者に対して調査への協力を要請、「この調査の結果は、社会保険診療報酬改定についての議論のための重要な基礎資料として活用されますので、施設の規模や開設主体にかかわらず、我が国の医療経営の実態がありのままに反映される必要があります。皆さま方のご回答が今後の診療報酬の"あるべき姿"へ向けた出発点となります。日々の診療などでお忙しいとは存じますが、ぜひとも、ご協力いただきますようお願い申し上げます。」と要望しています。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001euo3.html

 

 

2011/06/07(火) 12:27

日本薬剤師会が見解発表 政府の社会保障改革案に

日本薬剤師会は、63日、62日に政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」から公表された社会保障改革案について見解を発表しました。

 発表された見解の要約は次の通りです。

<要約>

 平成2362日、政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」から、これまでの議論の経過を踏まえて、社会保障改革案が公表されました。

 社会保障・税の一体改革に関し、本会は、本年422日に開催された「社会保障・税一体改革に関する意見交換会」のヒヤリングにおいて、医療・介護における医薬品の適正使用を担う薬剤師の視点からの意見を述べたところです。本会の意見に照らし、昨日公表された改革案については概ね妥当なものと受け止めています。

 しかしながら、受診時定額負担の新設及び医薬品の患者負担の見直しの部分については、具体的な内容は未だ定かではありませんが、必要な受診・必要な投薬の機会を抑制する恐れがあることから、受け入れることはできません。

 また、今回の改革案においては、医療提供体制の効率化・重点化と機能強化が盛り込まれています。本会としては、医薬分業の更なる推進と地域医療体制の中での薬局・薬剤師の活用、医療機関におけるチーム医療の中での薬剤師の活用を一層進めていくことが、医療機能の強化の観点からも重要であると考えます。

 また、後発医薬品の更なる使用促進については、本会としてこれまでも会員への指導を行ってきたところであり、引き続き協力してまいる所存です。

 

見解では、改革案に対しては理解を示しているものの、「個別具体的な事項やそれを進める行程表に記載されている改革の方向性を見てみると、問題と思われる部分がある」として、以下の通り指摘しています。

 

その一つは、社会保障の根幹をなす医療・介護等の分野で提言されている「医薬品の患者負担の見直し(医薬品に対する患者負担を、市販医薬品の価格水準も考慮して考え直す)」というものです。

 この文言からだけでは具体的な内容は定かではありませんが、仮に、医療保険において用いる医療用医薬品について市販の医薬品に類似のものがある場合には、医薬品に係る本人負担に格差を設けるということであれば、断じて賛成できる提案ではありません。

 患者の治療に必要な医療用医薬品について、類似する市販医薬品の価格を参考に医療保険での給付に格差を付けるという考え方は、改革案の基本手方針にも掲げられている「格差の是正」とは全く矛盾する考え方と言わざるを得ません。

 好んで病気になる人はいないにも拘らず、不幸にして罹患した疾病の違いと使う医薬品によって保険給付に差が出来るような仕組みでは、必要な医薬品が使われなくなることが懸念されます。とても社会舗装改革とは言い難い単なる財源上の辻褄合わせであり、強く反対するものです。

 

 また、二つ目は、高度・長期医療への対応(セーフティネット機能の強化)と給付の重点化策として、「高額療養費の見直しによる負担軽減と、その規模に応じた受診時定額負担等」が盛り込まれ、外来(初診・再診時)の一部負担金に100円を上乗せする案が示された点です。

 定率制の自己負担を支払った上に、仮に100円とはいえ付加的な負担を患者に求めることは、わが国が世界に誇る皆保険制度の下で確保されている「フリーアクセス」を阻害し、患者の受診抑制をも惹起し、また、患者の受診機会を損なうことにより結果的に重症化に直結する大きな問題と考えます。今後の国家財政の状況によっては、定額負担のさらなる増額も想定されることから、「混合診療導入へ向けた施策」ではとの懸念もあり、到底容認できるものではありません。

 上記2つの施策については、今後、慎重な検討を強く求めたいと思います。

 

http://www.nichiyaku.or.jp/

 

2011/06/06(月) 11:32

ジェネリック医薬品先進事例調査報告書公表 厚生労働省

厚生労働省医政局経済課は、62日、「ジェネリック医薬品の先進事例に関する調査報告書」を公表しました。

 厚生労働省医政局経済課では、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進のための業務の一環として、ジェネリック医薬品の使用促進に先進的に取り組んでいる都道府県、医療機関、薬局、関係団体及び保険者を対象としたインタビュー調査により、各機関が行っている使用促進の内容や効果等に関する調査研究を実施し、その報告書を纏めました。

 

 報告書では、

・県が医師会や薬剤師会との連携のもと、各種の啓発事業などジェネリック医薬品使用促進のための環境整備に取り組んだことにより、県民のジェネリック医薬品に対する認知度や普及率が上がったこと(福岡県)

・医療機関が処方せんを出す際に、銘柄名でなく一般名で記載することにより、近隣の保険薬局がジェネリック医薬品を調剤しやすくなり、また、薬剤師と患者とのコミュニケーションがより深まったこと(聖マリアンナ医科大学病院、川崎市薬剤師会)

といった取り組みを紹介しています。

また、提案や要望としては、

・ジェネリック医薬品に対する漠然とした品質上の不安については、県としても「医療関係者に対する普及啓発研修」を実施しているので、他県の医療関係者も積極的に受け入れたい(富山県)

・ジェネリック医薬品メーカーの不祥事が一度発生すると、全てのジェネリック医薬品メーカーが悪いかのように報道するマスメディアについても、報道のあり方を考えてほしい(久留米大学病院、白十字病院)

などが挙げられました。

 

調査研究の概要は、都道府県において、「後発医薬品安心使用促進協議会」などを通じたジェネリック医薬品使用促進に関する検討状況や具体的な取り組み内容・成果、運営面で工夫していること、関係者への要望などを聞いた。

また、その地域の薬剤師会や業界団体、保護者などからの、協議会の活動への評価や、普及促進に向けた各団体の活動内容と課題についても尋ねるとともに、ジェネリック医薬品の使用に積極的な医療機関や保険薬局で、使用を促進する上で有効な選択基準、調剤手順や在庫管理の工夫、ジェネリック医薬品使用による効果、今後の課題についても調べました。

調査機関は平成2212月~233月で、調査研究の対象は、ジェネリック医薬品の使用促進に積極的に取り組んでいる都道府県、医療機関、保険薬局、関係団体、保険者。対象地域の選定に際しては、地域的なバランスや特色を考慮し、次の通りとしています。

     都道府県として積極的に取り組んでいる地域・・北海道、富山県、広島県、福岡県

     病院と周辺の薬局が連携してジェネリック医薬品の使用に取り組んでいる地域・・川崎市

     市町村(国民健康保険)によるジェネリック医薬品の積極的な使用のための施策に取り組んでいる地域・・呉市

 

併せて、ジェネリック医薬品の使用促進に積極的な健康保険組合について、地域に関わりなく、調査対象として取り上げました。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001e0zg.html

 

2011/06/03(金) 11:01

日本医師会が民主党社会保障と税の抜本改革調査会に見解表明

日本医師会では、国の政策や様々な問題・事象に対する見解や、新たな行動指針・活動計画・成果報告などを紹介するため、役員が報道各社に対して定例記者会見を行っており、ホームページの「定例記者会見コーナー」で、会見の内容や提出した資料を紹介していますが、61日、①被災者健康支援連絡協議会の検討内容、②民主党社会保障と税の抜本改革調査会「あるべき社会保障の実現に向けて」に対する日医の見解を明らかにしました。

530日、社会保障改革に関する集中検討会議に、民主党・社会保障と税の抜本改革調査会「『あるべき社会保障』の実現に向けて」が提出されました。

日本医師会では、これに対する見解を纏めたもので、「総論的にみて、急性期医療と終末期医療、在宅医療に着目されており、急性期から慢性期まで一貫した医療が必要であること、社会保障が平時の国家安全保障ではなく、サービスとして捉えられていること等に問題があると考える」としています。

見解を示しているのは、

1.あるべき社会保障と目指す社会像

2.社会保障と経済の好循環

3.東日本大震災を受けて

4.社会保障と税の共通番号制度の導入

5.国民の理解を得られる生活保護への転換

6.安心できる医療・介護の実現

(1)病院・病床の機能分化と強化

(2)地域での暮らしを支える仕組みの強化

(3)ICT利活用

(4)精神科医療のあるべき姿

7.地域医療に必要な医療・介護従事者の確保と調製のスキーム、処遇の確保

(1)国民の期待する専門医療と診療科領域別の医師養成のあり方

(2)専門的医療従事者の職能分担の見直し、チーム医療・介護の推進

8.国民の願いに応える予防、認知症対策の強化

高額療養費制度と難治性疾患自己負担のあり方の連続性・整合性

9.若者や現役世代にも配慮した持続可能な医療・介護保険制度の構築

10.今後の進め方について

で、それぞれ民主党案を示し、それに対する日本医師会の見解を示しています。

 詳細はホームページで参照してください。

 

http://www.med.or.jp/

2011/06/02(木) 15:31