matsuda's blog

前年比2%の増加 平成20年度国民医療費の概況

厚生労働省は、1124日、平成20年度国民医療費の概況を発表し、ホームページにも公表しました。

それによりますと、医療費は総医療費、国民一人当たり医療費とも対前年比2.0%の伸びを示しています。また、所得に対する比率は0.88ポイントの上昇となっています。

「国民医療費」は、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものです。

保険診療の対象となりうる傷病の治療に要した費用は、実際に医療保険等によって支払われたもの(患者の一部負担を含む)、公費負担によって支払われたもの(患者の一部負担を含む)、全額自費によって支払われたものによって構成されます。保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む))、選定療養(入院時室料差額分、歯科差額分等)及び不妊治療における生殖補助医療などに要した費用は含んでいません。

また、傷病の治療費に限っているため、①正常な妊娠・分娩に要する費用、②健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、③固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含みません。

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<国民医療費の状況>

 

平成20年度の国民医療費は348084億円で、前年度の341360億円に比べて6725億円、2.0%の増加となっている。

人口一人当たりの国民医療費は272600円、前年度の267200円に比べて2.0%増加している。国民医療費の国民所得に対する比率は990%で、前年度の902%と比べて上昇している。

 

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2010/12/09(木) 00:00

在宅療養推進で大きな動き-日薬がアクションプログラム・全国組織も

日本薬剤師会は、先に、都道府県薬剤師会会長宛に「在宅療養推進アクションプログラムの策定と事業実施」について通知しました。

薬剤師会では、薬剤師の在宅(居宅)への訪問回数が年間延べ200万回と着実に伸びる一方、薬局からは「応需体制を整えているが、医師の訪問指示が来ない」との声があり、また、他職種からは「在宅訪問を応需できる薬局の情報がなく依頼が出来ない」という声が寄せられていることを示し、このようなミスマッチは、地域において在宅療養を推進する上での大きな問題であると指摘しています。

日本薬剤師会では、薬剤師の在宅(居宅)訪問薬剤管理指導業務の充実のため、「体調チェック・フローチャート」や「在宅服薬支援マニュアル」を作成等の方策を講じてきましたが、このほど、地域単位で在宅医療を推進するための環境を整備し、より多くの地域薬局に在宅医療チームの一員として活動することを目的として、「在宅療養推進アクションプログラム」を策定し、来年度末を目途として実施することとしました。

現在、医療・介護制度改革の一環として「地域包括ケアシステム」の拡充に向けた動きが加速しており、地域薬局においては、薬局・薬剤師の職能と専門性(薬局力)を生かして、地域(支部)における在宅療養連携の仕組みに参加することが求められている、としています。

 

一方、在宅療法支援で薬剤師の全国組織が設立されました。

 設立されたのは、全国薬剤師・在宅療法支援連絡会(Japan home care supporting pharmacist liaison meetingJ-HOPで、その設立総会が先に東京で開催されました。

 同会は、医療や介護のあらゆる場面において、調剤、医薬品及び医療材料等の情報提供と安定した供給体制の確立、薬物療法に対する支援のための環境整備は国民に対する薬剤師の責務であること、また、在宅医療においては、多職種による連携体制の確立が不可欠であり、その体制の中で薬剤師としての役割を担うことが求められることから、これらの責務と役割を果たすために、関係団体等と連携を図りながら、全国の薬剤師による在宅業務への取り組みを支援していくための組織として設立されたものです。

具体的には、◇在宅療養に必要な調剤、医薬品及び医療材料等の安定した供給体制の確立、◇在宅での療養を支援するために必要な知識・技能・態度を有する薬剤師の育成、◇在宅療養を円滑に進めるための薬局薬剤師、病院薬剤師、大学間の連携と情報共有の推進、◇在宅療養に関する他職種との協働及び各職能団体との連携・情報共有の推進、を目的として、事業・活動に取り組むこととしています。

会長には()メディカルグリーン代表取締役大澤光司氏、副会長に金井秀樹(なのはな調剤薬局)、萩田均司(薬局つばめファーマシー)、川添哲嗣(くろしお薬局)、宇田和夫(()ファーコス)の各氏が就任しています。

今後、日本薬剤師会と協調・連携を図ることはもちろん、医師の団体である全国在宅療養支援診療所連絡会、歯科医師等の団体である全国在宅歯科医療・口腔ケア連絡会、訪問看護師関連団体、日本介護支援専門員協会など在宅医療を推進する各種団体とも連携を図っていく計画です。

2010/12/02(木) 09:00

甘草(カンゾウ)の人工栽培に新たな展開

 甘草は数多い生薬の中でも最も繁用されるものの一つです。グリチルリチンなど甘味成分が含まれ、主に根部を乾燥させたものを生薬として用いますが、わが国では、全て輸入に依存しています。最近、その甘草の栽培をめぐる新しい動きがありました。

鹿島建設株式会社、独立行政法人医薬基盤研究所、国立大学法人千葉大学は共同で、甘草の水耕栽培に日本で初めて成功し、植物工場で残留農薬の危険のない均質な甘草を短期間、かつ安定的に生産できる栽培システムを開発したことをこのほど発表しました。

この水耕栽培システムにより、植物工場で均質な甘草を短期間に国内生産することができ、薬用植物の国内栽培普及に向けた新たな動きが加速するものと期待されます。生薬甘草の安定的な生産と品質の向上を目指して、実証データを蓄積しており、薬用植物は根部に薬効成分を蓄積していることが多いため、今後、他の業種に対してもこの栽培システムの適用、採算性の検証を進めていく計画です。

また、三菱樹脂株式会社は、先に、株式会社グリーンイノベーションと共同で、薬用植物の甘草(カンゾウ)の人工栽培の研究開発を10月から開始することを発表しました。

薬用植物は、主に漢方薬や食品、健康食品、化粧品などの幅広い分野で利用されています。しかし、一方で、薬用植物の生産国においては、野生品の乱獲が問題となり、薬用植物資源保護の観点から採取制限が実施される動きもあります。そのため、消費国ではこれらの安定確保が大きな課題となってきています。三菱樹脂とグリーンイノベーションは、予備調査の結果を踏まえて、10月から2年間、貴重な薬用植物である甘草の人工栽培の研究に取り組むこととしたものです。

薬用植物の中でも、多くの漢方薬に使われている甘草は、ほとんどが野生品で、しかも大半が海外からの輸入に頼っています。そのことから、日本国内での栽培が急務となってきていますが、気候風土や栽培技術の問題で日本国内での栽培は難しいと言われています。

甘草(カンゾウ)は、多くの種類がありますが、医薬品として使われるのはスペインカンゾウ(G.glabra)とウラルカンゾウ(G.uralensis)の2種類しかなく、日本国内の使用量はおおよそ1100トンで、全て中国からの輸入品です。しかも、生産国である中国では環境保護の観点だけでなく、市民の収入が上がり、経済状況が良くなっているため、消費が増えている上、一部保険が適用されるようになったことから、中国国内の需要が増えています。

一方、千葉のベンチャー企業も栽培方法を確立したと報じられており、佐賀県玄海町では、九州大学と共同で平成20年度から薬草の栽培研究開発事業に取り組み、農業や観光への波及効果も期待していますが、その中心的な薬草が甘草となっています。

甘草は医薬品だけでなく、食品の甘味料としても幅広く利用されており、これらの栽培事業の今後の発展が注目されます。

 

2010/11/25(木) 14:45

調剤におけるポイント問題で日本薬剤師会が見解

最近、薬局におけるポイント制について話題が沸騰しています。処方箋調剤にも適用することに関して、厚生労働省が「調剤の支払に対してポイントを付与することは制限されない」との見解を示したことが一部で報道され、大手チェーンでも導入の動きがありますが、日本薬剤師会では、1112日、この問題に対する見解を発表し、都道府県薬剤師会長宛に通知しました。また、厚生労働省関係の記者クラブにも配布しました。

薬局のポイントカード問題が起こったのは、今回が初めてではありません。平成16年夏の日本薬剤師会の代議員会で、福岡県薬剤師会より、県立病院の院外処方箋受け入れをめぐって、OTC(一般薬)と調剤を区別せずに合計してスタンプを押している薬局が出現したことから、「調剤の値引き扱いにならないか」という質問が出され、調剤報酬についてはポイントは認められないという見解が出された経緯があります。

今回は、一部業界誌が厚生労働省の見解とともに是認の報道をしたことから大きな問題となったわけです。

今回の日本薬剤師会の通知は次の通りです。(要旨)

 

<保険調剤におけるポイントカードについて>

 

保険診療及び保険調剤にかかる一部負担金につきましては、健康保険法第74条にて規定されている通り、定められた金額を過不足なく、患者は支払を行い、そして、保険医療機関・保険薬局はその支払を受けることになっています。

そのため、薬局で顧客サービスの一環としてポイントカードを発行・活用している場合において、一部負担金の支払時に同カードのポイントを当てて減免することは一切認められていません。

しかし最近、一部負担金の支払時にポイントを充てて減免は行わないものの、一部負担金の支払分をポイント付与の対象とすることについて制限する規定がないとの理由から、一部負担金の支払時にポイントを付与するケースが散見されます。これは、厚生労働省が業界誌からの取材に対し、保険調剤の支払に関して「ポイント付与について制限するものではない」と回答したと報じられたことによるものですが、一方、本会に対して厚生労働省からは、一部負担金の減免に当たると疑われるようなケースがあれば報告するよう求められています。

保険調剤の際のポイントカードの利用は、一部負担金の支払時に減免していないとはいえ、間接的もしくは結果的に減免となる可能性があるばかりでなく、かつて個別指導や共同指導などにおいて不適切であるとされてきた、過剰な景品類の提供という行為にも繋がりかねません。

そのため、従来から日本薬剤師会では、保険調剤に係る一部負担金の支払時にポイントを充てて減免することはもちろん、一部負担金の支払分をポイント付与の対象とすることは認められるものではないと理解しており、保険薬局の本来業務を考えれば不適切なサービス行為であると考えています。

本会としましては、保険調剤を対象としたポイント付与および利用は一部負担金の減免に当たるという立場から、今後も引き続き厚生労働省と協議していく予定であり、保険薬局における健康保険事業の健全な運営を損なうことのないよう対応に努めていく所存です。

2010/11/18(木) 11:02