matsuda's blog

調剤におけるポイント問題で日本薬剤師会が見解

最近、薬局におけるポイント制について話題が沸騰しています。処方箋調剤にも適用することに関して、厚生労働省が「調剤の支払に対してポイントを付与することは制限されない」との見解を示したことが一部で報道され、大手チェーンでも導入の動きがありますが、日本薬剤師会では、1112日、この問題に対する見解を発表し、都道府県薬剤師会長宛に通知しました。また、厚生労働省関係の記者クラブにも配布しました。

薬局のポイントカード問題が起こったのは、今回が初めてではありません。平成16年夏の日本薬剤師会の代議員会で、福岡県薬剤師会より、県立病院の院外処方箋受け入れをめぐって、OTC(一般薬)と調剤を区別せずに合計してスタンプを押している薬局が出現したことから、「調剤の値引き扱いにならないか」という質問が出され、調剤報酬についてはポイントは認められないという見解が出された経緯があります。

今回は、一部業界誌が厚生労働省の見解とともに是認の報道をしたことから大きな問題となったわけです。

今回の日本薬剤師会の通知は次の通りです。(要旨)

 

<保険調剤におけるポイントカードについて>

 

保険診療及び保険調剤にかかる一部負担金につきましては、健康保険法第74条にて規定されている通り、定められた金額を過不足なく、患者は支払を行い、そして、保険医療機関・保険薬局はその支払を受けることになっています。

そのため、薬局で顧客サービスの一環としてポイントカードを発行・活用している場合において、一部負担金の支払時に同カードのポイントを当てて減免することは一切認められていません。

しかし最近、一部負担金の支払時にポイントを充てて減免は行わないものの、一部負担金の支払分をポイント付与の対象とすることについて制限する規定がないとの理由から、一部負担金の支払時にポイントを付与するケースが散見されます。これは、厚生労働省が業界誌からの取材に対し、保険調剤の支払に関して「ポイント付与について制限するものではない」と回答したと報じられたことによるものですが、一方、本会に対して厚生労働省からは、一部負担金の減免に当たると疑われるようなケースがあれば報告するよう求められています。

保険調剤の際のポイントカードの利用は、一部負担金の支払時に減免していないとはいえ、間接的もしくは結果的に減免となる可能性があるばかりでなく、かつて個別指導や共同指導などにおいて不適切であるとされてきた、過剰な景品類の提供という行為にも繋がりかねません。

そのため、従来から日本薬剤師会では、保険調剤に係る一部負担金の支払時にポイントを充てて減免することはもちろん、一部負担金の支払分をポイント付与の対象とすることは認められるものではないと理解しており、保険薬局の本来業務を考えれば不適切なサービス行為であると考えています。

本会としましては、保険調剤を対象としたポイント付与および利用は一部負担金の減免に当たるという立場から、今後も引き続き厚生労働省と協議していく予定であり、保険薬局における健康保険事業の健全な運営を損なうことのないよう対応に努めていく所存です。

2010/11/18(木) 11:02