日本製薬工業協会は、11月18日、「第15回くすりと製薬産業に関する生活者意識調査結果」の分析資料をウェブサイ上に公開しました。
調査目的は、医療用医薬品や製薬産業(会社)に対する患者・生活者の理解や認識の実態を把握し、医薬品や製薬産業に対する理解・信頼感を高めるための広報活動の基礎資料とするものです。
調査地域は首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)と京阪神圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)、対象は満20歳以上の男女、標本数は2000人です。2021年7月20日~25日にインターネット調査により行われました。
第1章「処方薬の情報とイメージ」
(1)医療関係者から処方薬についての説明を受けた人の満足度は前回より微増。
・説明実施率:95.1%(0.1ポイント増)
・説明満足度:95.0%(0.5ポイント増)
(2)「薬価」に対する考え方
・「処方さ荒れた薬の値段」について意見にばらつき、無関心層も一程度存在
「高いと感じる」47%、「妥当な値段」27%、「意識したことはない」23%
20代30代では「妥当な値段」が30%を超え、高いと感じる層との差はまずか。
・「処方薬の価格決定方法」について
「知らない」68%、「公定価格である」23%、「OTC(大衆薬)と同じ決め方」8.6%
60代70代は他層と比べて「公定価格」の回答割合が多いが、それでも30%台。
・「高額薬剤の登場」の報道に接して「価格だけでは判断できない」が最多も、意見「希少疾患もあるので、価格だけでは何とも言えない」34%
(3)副作用経験率は前回と変わらず、副作用関心度は低下
・副作用経験率:34.0%(増減なし
・副作用関心度:54.4%(4.2ポイント減)
(4)処方された薬のメーカー名の認知意向率は増加、高認知率も増加。
・認知意向率:34.9%(4.6ポイント増)
・高認知率「全て知っている」+「大体知っている」:24.0%(0.7ポイント増)
(5)入手したい処方薬情報上位:「薬の効能・効果」「薬の副作用」「薬の種類・成分・特長」。
医療関係者からの説明上位:「薬の服用方法」「薬の効能・効果」「薬の飲み合わせの注意」。
患者側の情報ニーズとのギャップが大きいのは「薬の副作用」「薬の飲み合わせの注意」「薬のメーカー名」「薬の保管方法」
(6)医師・薬剤師以外での処方薬の情報源は、「インターネット(ウェブサイト)」が圧倒的に多い。「インターネット」での情報入手先は、「製薬会社」と「民間の情報サイト」がメイン。
(7)製薬会社の「くすり相談窓口」認知は20%。利用者満足層の割合は93.2%。
・認知経路:インターネット」64.5%(認知者ベース)
・利用率:10.9%(認知者ベース)
・利用理由:「くすりに関しては製薬会社が十分情報を持っている」65.9%(利用者ベース)
・問い合わせ内容上位:「効能・効果」「飲み合わせの注意」(利用者ベース)
・対応満足度:「とても満足」43.2%、「まあ満足」50.0%(利用者ベース)
(8)「新薬」と「ジェネリック医薬品」の認知:93.3%(0.6ポイント減)
服用薬が新薬かジェネリック医薬品かの認知:85.1
選択意向:「ジェネリック医薬品」51.5%(2.8ポイント減)、「医師に任せる」32.7%(2.0ポイント増)、「新薬」12.6%(1.9ポイント減)
選択理由:「新薬」=「品質」76.5%、「信頼」73.0%、「ジェネリック医薬品」=「価格」87.5%
(9)処方薬への信頼層は86.0%、「安心」「よく効く」「総合的に信頼できる」などのイメージが定着している
・処方薬のイメージ:「医師が処方してくれるので安心」=89.4%(2.0ポイント減)、「市販の薬よりよく効く」=88.6%(1.9 ポイント減)
(10)医薬品の適正使用
◆ポリファーマシー(多剤併用)
認知度:「知っている」4.1%、「見聞きしたことはある」20.1%、合計認知率27.9%
問題意識:「身近な問題として認識」30.2%、「身近な問題と感じない」14.7%、「知らなかったが重要な問題だと思う」29.7%
◆AMR(薬剤耐性)
認知度:「知っている」8.1%、「見聞きしたことはある」19.9%、合計認知率24.2%
問題意識:「身近な問題として認識」21.2%、「身近な問題と感じない」10.3%、「知らなかったが重要な問題だと思う」41.3%
◆残薬問題
認知度:「知っている」13.0%、「見聞きしたことはある24.8%、合計認知率37.7%
問題意識:「身近な問題として認識」30.2%、「身近な問題と感じない」14.7%、「知らなかったが重要な問題だと思う」29.7%
第2章「製薬産業のイメージと期待」
(1)製薬産業への信頼度は前回より1.5ポイント減少
・製薬産業に対する信頼感:85.7%(1.5ポイント減)
・イメージ上位:「社会的に必要性が高い産業」92.5%(0.7ポイント減)、「技術力が高い産業」92.5%(0.1ポイント増)、「研究開発に熱心な産業」88.4%(1.0ポイント減)
(2)ポジティブイメージ(信頼性)に影響を与える要因
「自分が服用している医師から処方された薬の印象」:41.5%(3.2ポイント減)
「製薬産業に関するニュース」:28.9%(3.9ポイント増)
「普段利用する薬局・薬店で購入している薬の印象」:25.7%(0.1ポイント減)
「ネットの掲示板、口コミサイトからの情報」:7.0%(2.0ポイント増)
(3)製薬産業や製薬会社を知る情報源の上位:「テレビ、ラジオのニュースや番組」39.2%(3.2ポイント増)、「インターネット(ウェブサイト)」39.1%(0.5ポイント減)、「新 聞の記事」26.1%(2.0ポイント増)
(4)製薬会社からの情報入手意向:72.4%(0.3ポイント増)
(5)新薬開発:「長い年月や莫大な費用をかけても新薬開発は必要」91.3%(1.3ポイント減)、「製薬会社は新薬開発についての内容を知らせるべき」81.4%(1.0ポイント減)、「欧米等が進んでいるので、日本がやることはない」に対する否定74.9%(2.1ポイント増)、「十分な治療薬がない疾患への治療薬を開発することは社会的に有意義」88.6%(3.9ポイント減)、「資源が少ない日本にとって新薬の開発はこれからも必要である」90.7%(1.4ポイント減)
(6)新薬創出時の業務連携先への支払い:「支払いについての認知率」41.4%、「支払いを公開していることの認知率」19.7%、「支払い情報公開についての認知率」66.8%
(7)「治験」:「ある程度知っている」「治験という言葉は知っている」の双方を合わせた認知層の割合87.3%(0.4ポイント減)
(8)「治験に対する考え方」:「新薬開発にとって必要不可欠である」68.8%(0.2ポイント増)、「開発中の薬を投与するので不安がある」35.7%(2.1ポイント増)、「医療機関や製薬会社から治験に関する情報がもっとあるとよい」27.2%(0.3ポイント増)、「治験に関心を持っている」22.4%(増減なし)
(9)「治験」への参加意向30.7%(0.6ポイント増)
理由:「社会の役に立つ」65.4%(2.2ポイント減)、「新しい薬を試すことができる」481.%(3.4ポイント増)
参加したくない理由(新規項目):「副作用等のリスクが怖い」64.5%
第3章「生活者の健康と薬・医療とのかかわり」
(1)「入院」及び「通院」したことがある受診経験率:72.7%(0.8ポイント減)
(2)処方薬の服用経験率:86.5%(0.6ポイント減)
(3)かかりつけの薬局のある人:39.4%(2.9ポイント増)
(4)「患者参加型医療」に対する認知:「知っている」+「ある程度知っている」+「言葉は知っている」=24.0%(0.8ポイント減)
(5)「患者参加型医療」に必要なこと:①「セカンドオピニオンを受けやすくする」42.3%、②「医師、薬剤師が疾患や治療法の情報を説明し患者側が選択する」41.6%、③「インフォームド・コンセントを徹底する」38.9%、④{医師、薬剤師、製薬会社が医薬品や副作用の情報を提供する」37.9%、⑤「診療(カルテ)情報を患者に開示する」37.6%
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