大阪市は、4月26日、「在宅患者薬剤管理指導料の不正請求を行っていた薬局に対して戒告を行います」と発表しました。
大阪市では、市長をトップとする生活保護行政特別調査プロジェクトチームを設置し、生活保護制度の抜本的改革に向けた取組みなどを進めています。平成21年11月に適正化推進チームを設置して以降、悪質な不正事案に対し、警察や弁護士との連携のもと、刑事告訴も辞さない厳正な対応を行っています。また、複数の区にまたがって活動している「貧困ビジネス」事業や不正受給に関する情報を適正化推進チームに集約し、全区で情報を共有しています。さらに、近隣の都市や指定都市とも情報交換を行い、自治体間で連携して生活保護の適正化に取組んでいます。
この中で、通院が困難でない者に対して、薬局が在宅患者薬剤管理指導料の算定を行っていた不正請求に関する案件について、平成23年4月26日の第18回生活保護行政特別調査プロジェクトチーム委員会において、重大な過失により不当又は不正な診療報酬の請求を行っていたものと判断し、当該薬局に対し「戒告」を行うことを決定しました。また、在宅患者薬剤管理指導料として請求された208万円の返還も求めます。
なお、今回の事案について、指定薬局へ周知徹底を図るとともに、関係機関とも連携し再発防止に向けた啓発を行うこととしています。
発表資料によりますと、今回の事案の経緯は次の通りです。
(1) 保健福祉センターから、医療券未発行にも関わらずA医院及びその薬剤処方を受け持つB薬局から、Cアパートに入居する被保護者への訪問の算定があるレセプト請求が多数見つかり、実態を把握するために被保護者へのヒアリングを実施した。
(2) Cアパートに入居する被保護者へのヒアリングについて
ア 実施日:平成22年6月24日
イ 面談者数:入居者57名、面談者30名、不在等27名
ウ 面談結果(B薬局に関する事項)
・ Cアパートは6階建ての建物であるがエレベーターがなく階段も急であり、歩行に支障があるケースでは入居できない。面談でも通院困難と思われる被保護者は見受けられなかった。
・ 被保護者は「処方箋は医師から受取っていないが、薬局が薬をCアパートの管理人室に持ってきてくれ、それを自分で取りに行くか住人が配っている。薬剤師と会うことはほとんどない。」とのことだった。
この結果から、通院困難でない者に対し在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している診療報酬の不正請求の疑義が深まったため生活保護法54条に基づく検査を行った。
B薬局への立入検査は平成22年7月16日に実施。その結果、薬学管理料(在宅患者訪問薬剤管理指導料)の算定根拠からみて、①患者は通院が困難な者とは認めがたい、②薬学的管理指導計画及び薬剤管理指導記録は、策定されたものの内容は不十分、③患家に「訪問」し「薬の指導」をしていない、ということから、次の方針を決めています。
・薬局Bに対し、「生活保護法による医療扶助運営要領について」(昭和36年9月30日付け厚生省社会局長通知)における「重大な過失により不当又は不正な請求をおこなったもの」に該当することから、「戒告」を行う。
・経済的措置として、在宅患者訪問薬剤管理指導料の返還を求める。
平成21年2月~平成22年5月分 208万円
・今回の事案について指定薬局へ周知を図り、再発防止に向けた啓発を行う。
なお、A医院については大阪市外に所在しており、大阪市の生活保護指定医療機関ではなく処分は行えないが、大阪市より訪問診療関係分2800万円の返還請求を行っており、既に返還済みです。
http://www.city.osaka.lg.jp/kenkofukushi/page/0000086801.html