日本は科学の歩みを止めない 東日本大震災で34学会が会長声明
日本化学会、日本薬学会など34学会(44万会員)は、東日本大震災について、4月27日、「日本は科学の歩みを止めない~学会は学生・若手と共に希望ある日本の未来を築く~」と題する会長声明を発表しました。
声明では、1.学生・若手研究者が勉学・研究の歩みを止めず未来に希望を持つための徹底的支援を行います、2.被災した大学施設、研究施設、大型科学研究室の早期復旧復興および教育研究体制の確立支援を行います、3.国内および国際的な原発災害風評被害を無くすため海外学会とも協力して正確な情報を発信します、と3つの提言を発表しています。
要旨は次の通りです。
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近代日本市場未曾有の東日本大震災とそれに続いた福島第一原子力発電所の事故により、今日の科学・技術の限界を痛感しております。しかし同時に、今こそ日本の復興・新生のために科学・技術による貢献が欠かせないと考え、我々、34学会(44万会員)は研究・技術コミュニティの総力を挙げて知恵と力を出す覚悟です。
大震災により、東北地方をはじめ東日本の大学および研究施設も大きなダメージを受けました。科学・技術は日本の根幹であり、資源に乏しい我が国においては高度な研究と人材が日本を支える礎です。この震災による大きな困難を克服し、さらに文化的で豊かな社会を創り出すためには、科学の前進は不可欠です。我々は、被災した大学施設や研究施設の早期復興および教育研究体制の確立支援を行い、科学・技術の歩みを続ける所存です。
とくに、これからの将来に夢膨らませ、日々努力を重ねていた大学生、大学院生、そして研究の道を歩み始めた若手研究者、とりわけ博士研究員(ポスドク)にとって、今回の震災は日常生活を奪うだけでなく勉学、研究の場を奪い、将来の夢までも失わせることになりかねません。我々、34学会会長は、日本の将来ある若者たちが日本を代表し世界の第一線で活躍することが、日本の復興及び持続ある社会の構築に欠かせないと考えます。我々は現状に鑑み、学生・博士研究員・若手研究者と共にある学会として、被災により勉学や研究活動に影響を受けた若者が勉学や研究の歩みを止めず、未来に希望を持ち活躍していくために、日本の全ての大学、研究施設のネットワークにより、学生・博士研究員・若手研究者への徹底的支援を行っていくことを表明します。既に私達は活動を始めていますが、こうした支援はなるべき早急にかつ継続的に行うことが必要であり、さらに強化し、国と協力しながら、被災した大学および研究室が1~2年間の間に勉学・研究を落ち着いてできる状態になるよう最大限の支援を行います。
福島第一原子力発電所放射性物質の漏出に対して、海外マスメディアの必ずしも正確でない報道にも影響されて国際的に放射性物質による汚染の風評被害が起きており、国民社会、研究・教育、産業等に様々な影響が出ております。多くの分野の専門家集団から構成される科学者コミュニティとしての各学会は一致協力して、これまでにも増して国内はもちろん各国学会とも協力し、海外の風評被害を抑えるための対応を図ることを表明します。
http://www.chemistry.or.jp/news/34seimei-201104.pdf