日本薬剤師会は、5月13日、ホームページに、プレスリリース「東日本大震災に係る薬剤師会の救援活動について」を掲載しました、
日本薬剤師会では、東日本大震災が発生した3月11日、直ちに児玉孝会長を本部長とする災害対策本部を立ち上げるとともに、都道府県薬剤師会との連携のもと、被災地における医薬品の安全・安心な供給と使用を確保するため、継続的に薬剤師の派遣等を行っています。今回は、第2報として、2ヶ月間の活動状況の概要を、5月11日現在でまとめ、発表したものです。
主な内容は次の通りです。
◇ 派遣した薬剤師数
(1) 派遣薬剤師数
① 岩手県:実人数220人、延べ人数 992人
② 宮城県:実人数843人、延べ人数3,450人
③ 福島県:実人数403人、延べ人数1,417人
④ 茨城県:実人数 4人、延べ人数 13人
合計 実人数1,470人、延べ人数5,872人
(2) 参加都道府県薬剤師会数
44都道府県(被災3県を除く)
(3) 派遣種類別の人数
① 薬剤師会の支援活動としての派遣(自県対応分を除く):実人数1,149人、延べ人数4,417人
② 都道府県医師会との連携に基づく派遣(JMATへの参加等):実人数124人、延べ人数521人
③ 都道府県等、自治体からの支援要請に基づく派遣:実人数137人、延べ人数675人
④ その他による派遣:実人数60人、延べ人数259人
この他に、日本病院薬剤師会にも5月7日現在で、228人の病院薬剤師から派遣協力申出があり、派遣先と活動開始の日程調整が済んだ者から順次、被災地の医療機関に向けて派遣されている。
また、日本チェーンドラッグストア協会および日本保険薬局協会等の関係団体からも、薬剤師派遣や医薬品・衛生用品等の提供がなされている。
◇ 派遣先での活動内容例
(1) 医薬品集積所等での医薬品の仕分け・管理、並びに救護所・避難所への払い出し業務
(2) 救護所・仮設診療所等における被災者に対する調剤および服薬説明
(3) 派遣された医療チームに同行して、処方支援・医薬品の識別・代替医薬品の選択、それに伴う服薬説明等を通じた安全・適正使用の確保
(4) 各避難所を巡回し、避難された被災者からの医薬品に関する相談・服薬説明に加えて、一般用医薬品(OTC薬)の適切な使用とその相談(OTC薬で対応が可能と考えられる被災者に対しては、救護所等での診察の前に薬剤師が症状等を聞き、適切なOTC薬を供給している。これにより、医療チームは多くの患者への対応の診察が可能になっている)
(5) 避難所等における衛生管理並びに防疫対策への協力(ノロウイルス対策としての手指消毒など)
(6) 避難所生活の長期化に伴う、栄養バランスの悪化に対する総合ビタミン剤の供給
◇ お薬手帳等の服薬情報の活用
今回、救護所で活動している薬剤師は、避難所等へ避難されている糖尿病や高血圧等の慢性疾患の被災者から被災前に使用していた薬を聞き取り、「お薬手帳」に薬剤名等を記載する取り組みを行っている。これにより、医療チームの医師は効率的な診察を行うことができ、多くの患者の診察が可能となっている。
また、医療チームの一員として派遣された薬剤師が、救護所で処方された薬剤名等を「お薬手帳」に記載して配付することで、被災者の方々は処方薬を自己管理し、間違うことなく服用でき、さらにその後別の避難先で診療を受けた場合にも、継続した薬物療法を受けることが可能となっている。
このように、今回の震災では「お薬手帳」の活用が医薬品の安全な使用に効果を挙げているが、こうした実績を踏まえ、日本薬剤師会に対しては厚生労働省より「お薬手帳の配付」について依頼がなされた。
日本薬剤師会では、これまで約1万冊の「お薬手帳」を被災地の救護所などへ提供した。また、都道府県薬剤師会からは約5万冊の「お薬手帳」が提供されており、派遣薬剤師が被災地へ「お薬手帳」を持参し、配布している。その他、日本病院薬剤師からも約7,000冊の「お薬手帳」が提供されている。
日本薬剤師会等では今後も、被災地のニーズに合わせ、継続的に「お薬手帳」を提供する予定である。
なお、発表では、今後の活動予定、被災地における機能的・総合的な医療・介護の復興の必要性も示されていますが、「今回の震災で、医療・介護における薬局・薬剤師の必要性が再認識されたものと認識している。したがって、そのスキームには、必ず薬局を組み込むことが不可欠である」と強調しています。
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