厚生労働省は、6月30日、医政局研究開発振興課長名で各都道府県衛生主管部(局)長宛に、「治験等の効率化に関する報告書」について通知し、関係機関等に周知方を要請しました。なお、文部科学省、製薬企業団体、医療機器企業団体等にも通知されています。
我が国における治験・臨床研究の推進に向けて平成19年3月に策定された「新たな治験活性化5カ年計画」の中間見直しが行われ、平成22年1月に「『新たな治験活性化5カ年計画の中間見直しに関する検討会』報告」が取りまとめられ、その中で今後加速かつ強化すべき課題が指摘されました。
これらの課題のうち、治験等の効率化に係る事項について具体的な対応策等を取りまとめるため、平成22年9月に「治験等適正化作業班(座長:伊藤澄信独立行政法人国立病院機構本部総合研究センター臨床研究統括部部長)」が設置され、6回にわたり検討が行われ、報告書が取りまとめられました。
通知の内容は次の通りです。
1. 本報告は、中間見直し報告書の「2 重点的取組み事項(アクションプラン)の進捗」において、「今後、取組みをより加速かつ強化すべき課題」として挙げられた事項のうち、「治験にかかるコスト・スピード・質の適正化」、「症例集積性の向上」及び「治験・臨床研究の効率化」に係る以下の事項について取りまとめられたものであること。
① 治験コストの適正化について
② 共同治験審査委員会等について
③ 症例集積性向上の必要性及びその対応策について
④ 治験プロセスにおける効率化について
2. 中間見直し報告書の「3 今後の取組み」において、「中核病院・拠点医療機関においては『中核病院・拠点医療機関へ求める機能』に示された基盤整備を着実に進めるとともに、他の医療機関においてもこれを参考に我が国全体の治験・臨床研究の改善に向けて取り組むべきである」とされている。中核病院・拠点医療機関においては、中間見直し報告書の添付資料3「中核病院・拠点医療機関へ求める機能」として、治験依頼者から医療機関に対する研究費の支払いの適正化等、達成時期とともに具体的に整備をしなければならない体制が明記されていることから、かかる整備にあたり、本報告を十分活用されたいこと。
3. 上記2.について、中核病院・拠点医療機関以外の医療機関等においても、「中核病院・拠点医療機関へ求める機能」を参考に、5カ年計画の達成に向けて、本報告を活用しつつ、治験・臨床研究の改善に向けた協力をお願いしたいこと。
4. 中間見直し報告書の「2 重点的取組み事項(アクションプラン)の進捗」において、「今後、取組みをより加速かつ強化すべき課題」として挙げられた事項のうち、本報告で取り上げられなかった事項については、今後、必要に応じて別途検討する予定であること。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/index.html
2011/07/05(火) 14:17
ノバルティスファーマは、7月4日、気管支喘息の患者さんとそのご家族を含む一般の方を対象に、気管支喘息の疾患啓発・情報提供を行うウェブサイト「e-ぜんそく.com」の開設を発表しました。「24時間コールセンター」で喘息に関する身近な質問に対応します。
本ウェブサイトでは、自分の喘息の程度(重症度)を把握できる『ぜんそくセルフチェック』や、アレルギー反応を引き起こす物質(アレルゲン)に関するコラム『アレルゲンのいろいろ』、また成人喘息治療を専門とする最寄りの医療施設を検索できる『施設検索』など、患者さんとその家族が喘息や治療法について正しく理解し、喘息と上手に付き合うための様々なコンテンツを提供しています。
さらに、『24時間コールセンター』では、本ウェブサイトでは解決できない、喘息の症状や治療法などに関する、喘息患者さん、そしてそのご家族や周囲の方々の疑問に対し、看護師の有資格者が24時間対応し、お答えします。
本ウェブサイトでは、今後も、喘息患者さんとそのご家族の生活の質の向上のために、実用的で役立つ情報を順次提供していきます。
喘息の治療目標は、健常人と変わらない日常生活が送れることです。しかし、現実に喘息発作や症状のために日常生活が制限されているにも関わらず、この程度であればコントロールできていると思い込み、より良好なコントロール状態を諦めている患者さんも少なくありません。「e-ぜんそく.com」では、喘息の疾患啓発とともに、ご覧頂いていた方が、今一度ご自分の重症度を把握し、より積極的に喘息の治療目標を達成するための参考となることを望んでいます。
「e-ぜんそく.com」の主なコンテンツは下記の通りです。
1)ぜんそくセルフチェック
2)なぜ、ぜんそく発作をくり返すの?
3)治療薬の種類と特徴は?
4)24時間コールセンター
5)施設検索
6)アレルゲンいろいろ
7)連載マンガ・イゲコンの克服術
8)Web TV
http://www.novartis.co.jp/
2011/07/04(月) 17:09
厚生労働省は、6月29日、医薬食品局監視指導・麻薬対策課長名で、各都道府県衛生主管部(局)長宛に、「医療機関における医療用麻薬及び向精神薬の適正使用及び管理の徹底」について通知しました。
これは、近年、麻薬施用者免許を有さない医師による医療用麻薬の施用、麻薬小売業者による医療用麻薬の不正譲渡、医師・歯科医師による向精神薬不正譲渡等の麻薬及び向精神薬取締法違反事件が散見されることから、医療機関における医療用麻薬及び向精神薬の適正使用及び管理をめぐる違反事例とその対策例を示したもので、「これを参考として、違反の原因に応じた適切な対応をして頂きたい」とし、また、管下の麻薬管理者、麻薬施用者及び向精神薬取扱者等に対しては、改めて、医療用麻薬及び向精神薬の適正使用及び管理の徹底について指導方を要請しています。
平成22年度中に発生した医療用麻薬及び向精神薬の管理等に関する違反事例は次の通りです。指導や管理の徹底など対策例の詳細は厚生労働省のホームページで確認できます。
事例1 麻薬施用者による医療用麻薬の不正施用:病院に勤務する麻薬施用者が、患者に処方された麻薬(フェンタニル)を含有した注射剤を不正に入手し、自己に施用したもの。
事例2 麻薬施用者免許を有さない医師による医療用麻薬の施用・その1:主たる勤務先医療機関において麻薬施用者免許を有している医師が、従たる勤務先である他県の医療機関において、当該県の麻薬施用者免許を取得しないまま麻薬処方箋を交付したもの。
事例3 麻薬施用者免許を有さない医師による医療用麻薬の施用・その2:麻薬施用者でない医師が、麻薬施用者である他の医師の名前で麻薬処方箋を作成し患者に交付したもの。
事例4 麻薬小売業者による医療用麻薬の不正譲渡:麻薬小売業者が、麻薬施用者の免許番号が記載されていない麻薬処方箋を十分に確認せず、医療用麻薬を調剤し、患者に交付したが、実際には、処方医師が麻薬施用者免許を有していなかったことから、両者とも違反となったもの。
事例5 麻薬小売業者間における医療用麻薬の不正譲渡:麻薬小売業者間譲渡許可を取得していた麻薬小売業者が、同許可の期間満了による失効後に医療用麻薬を譲渡していたもの。
事例6 医師・歯科医師による向精神薬の不正譲渡:医師・歯科医師が、患者ではない者(知人等)に対して向精神薬を不正に譲渡していたもの。
事例7 医療機関職員による向精神薬盗取:病院に勤務する薬剤師が、勤務先から向精神薬を含有する製剤を長期間にわたり大量に盗取し続けていたものであり、当該薬剤師が多量服用で入院したことにより本件が発覚するまで、病院が長期間にわたって気付いていなかったもの。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/kanren-tuchi/mayaku/dl/H23-6.pdf
2011/07/04(月) 15:03
日本イーライリリーは、6月27日、ホームページに「薬物治療を受けている2型糖尿病患者を対象とした治療に関する意識調査」の結果を発表。「糖尿病コントロールにおいて意識している指標はHbA1c値と体重」、「血糖値と体重がコントロールできていると治療の満足度が高い傾向」という状況を明らかにしました。
同社は、2型糖尿病患者の薬物治療のコントロール指標と満足度の関係を把握するため、2011年5月13~14日に、現在通院し薬物治療をしている40歳以上の男女(全国)312名を対象とするインターネット調査を実施しました。治療群別内訳は、経口血糖降下薬130名、GLP-1受容体作動薬52名、インスリン製剤130名です。
今回の調査結果の概要は次の通りです。
・ 患者さんが最も意識している指標はHbA1c値であるが、体重の増減についての意識も高い。
・ GLP-1受容体作動薬を使用している患者さんは、より体重のコントロールを意識している。
・ 血糖値をコントロールできている患者さん、体重をコントロールできている患者さんは、いずれもできていない患者さんより、治療の継続状況がよく、治療満足度も高い。
・ GLP-1受容体作動薬を使用している患者さんは治療の効果を実感しており、継続した治療ができている。
○ 患者さんが糖尿病治療で気にかけていることはHbA1c値が8割とトップ。次いで「食事」「体重」が約半数。GLP-1受容体作動薬を使用している患者さんについては「体重」についての意識が高い。
○ 血糖値と体重のコントロールに成功している患者さんは、治療の満足度、継続率ともに高い結果に。特に体重減少は治療継続のモチベーションにつながっている。
○ GLP-1受容体作動薬を使用している患者さんは治療の効果を実感しており、継続した治療ができている。
https://www.lilly.co.jp/
2011/07/01(金) 17:54
社団法人全国腎臓病協議会とバイエル薬品株式会社は、雇用に関わる方々に透析についての理解を深めていただきながら、透析患者の就労につなげることを目的に、就労ハンドブック「雇用主の方に:透析患者が働くために知ってほしいこと」を発刊しました。B5判全22頁。
厚生労働省では、障害者の就労意欲の高まりに応じて、障害者雇用対策を推進しており、障害者雇用促進法において、全従業員数の1.8%から2.1%に相当する障害者を雇用することを事業主に対して義務付けています(障害者雇用率制度)。しかし、平成22年6月1日現在の調査では、年々雇用率は高まっているものの、法定雇用率を達成している民間企業の割合は47%にとどまっています。
日本の透析患者数は290,675人(日本透析医学会調査、2009年12月31現在)。日本の透析医療は世界的にみても高水準を誇り、透析治療を受けることで体力的に就労が可能となる透析患者が増えています。「働きたい」という強い意欲を持っているのもかかわらず、透析患者においても、事業主側の理解不足から、なかなか就労が実現しない現状があります。
全腎協とバイエル薬品は、この就労ハンドブックを、第1章:透析について、第2章:職場において理解してほしいポイント、第3章:Q&A透析患者を雇用するにあたって、第4章:さまざまな環境で働く透析患者(雇用事例)の4章に構成しました。透析についての基礎知識が紹介されている第1章の監修は、大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学稲葉雅章教授に依頼、第2章から第4章の監修は全腎協が担当しました。
全腎協及びバイエル薬品では、このハンドブックを雇用に関わる方々に配布し、透析に関する理解を深めていただきながら、透析患者の雇用促進につなげる活動を実施していきます。
http://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/index.php
2011/07/01(金) 12:13
厚生労働省は、6月30日、東京電力株式会社福島第一原子力発電所内の医療体制の強化について発表しました。
これは、東電福島第一原発内に、新たな医療設備の設置、医師の複数配置化により、医療体制が強化されることになったもので、現在、東電福島第一原発内においては、事故の収束に向け、多くの労働者が作業に従事していますが、第一原発に常時医師を配置する体制を整備する観点から、本年5月に、学校法人産業医科大学と独立行政法人労働者健康福祉機構(全国30ヶ所の労災病院を運営)に医師の派遣を要請しました。
このたび、東京電力が第一原発内に医療施設を新たに設置し、その施設に、7月1日より緊急被爆医療等の専門医を中心とする医療チームが新たに派遣されることになりました。
これにより、熱中症の多発が危惧される7月から9月の間、医師の複数配置が実現します。
内容は次の通りです。
1.新たな医療チームの派遣
(1) 派遣の要請等
・ 厚労省と文科省が連携し、国として派遣元に要請する。
・ 広島大学に「東電福島第一原発救急医療体制ネットワーク」を設置し派遣計画等の調整を行う。
(2) 活動の概要
・ 緊急被爆医療等の専門医、看護師(男性)、放射線管理の担当者からなるチームにより構成する。
・ 2泊48時間勤務で交代し、従来の医師派遣と併せて、複数の医師の24時間体制を実現する。
・ 被爆傷病者、熱中症、外傷、心疾患、脳血管疾患等の初期医療を担当する。
(3) 派遣事業の評価
・ ネットワークを中心に関係者が参集し、一定期間ごとに事業評価を行いながら改善を進めていく。
2.従来の医師派遣との役割分担
(1) 新たな医療チーム
・ 新たに設置された医療施設で、緊急的な対応を要する疾病等への初期医療
(2) 従来からの派遣医師(産業医大と労災病院からの派遣)
・ 免震重要棟で、一般的な疾病に対する医療や健診関連の業務。
※ 新たな医療施設は5,6号機サービス建屋の1階を改修し、治療用ベッドや救急医療用の器材を備える。
3.国の役割
引き続き、医師等の確保や搬送体制の強化について、関係機関への要請や調整を行っていく。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001he0m.html
2011/07/01(金) 10:43