医療機関における医療用麻薬及び向精神薬の適正使用・管理で通知 厚生労働省
厚生労働省は、6月29日、医薬食品局監視指導・麻薬対策課長名で、各都道府県衛生主管部(局)長宛に、「医療機関における医療用麻薬及び向精神薬の適正使用及び管理の徹底」について通知しました。
これは、近年、麻薬施用者免許を有さない医師による医療用麻薬の施用、麻薬小売業者による医療用麻薬の不正譲渡、医師・歯科医師による向精神薬不正譲渡等の麻薬及び向精神薬取締法違反事件が散見されることから、医療機関における医療用麻薬及び向精神薬の適正使用及び管理をめぐる違反事例とその対策例を示したもので、「これを参考として、違反の原因に応じた適切な対応をして頂きたい」とし、また、管下の麻薬管理者、麻薬施用者及び向精神薬取扱者等に対しては、改めて、医療用麻薬及び向精神薬の適正使用及び管理の徹底について指導方を要請しています。
平成22年度中に発生した医療用麻薬及び向精神薬の管理等に関する違反事例は次の通りです。指導や管理の徹底など対策例の詳細は厚生労働省のホームページで確認できます。
事例1 麻薬施用者による医療用麻薬の不正施用:病院に勤務する麻薬施用者が、患者に処方された麻薬(フェンタニル)を含有した注射剤を不正に入手し、自己に施用したもの。
事例2 麻薬施用者免許を有さない医師による医療用麻薬の施用・その1:主たる勤務先医療機関において麻薬施用者免許を有している医師が、従たる勤務先である他県の医療機関において、当該県の麻薬施用者免許を取得しないまま麻薬処方箋を交付したもの。
事例3 麻薬施用者免許を有さない医師による医療用麻薬の施用・その2:麻薬施用者でない医師が、麻薬施用者である他の医師の名前で麻薬処方箋を作成し患者に交付したもの。
事例4 麻薬小売業者による医療用麻薬の不正譲渡:麻薬小売業者が、麻薬施用者の免許番号が記載されていない麻薬処方箋を十分に確認せず、医療用麻薬を調剤し、患者に交付したが、実際には、処方医師が麻薬施用者免許を有していなかったことから、両者とも違反となったもの。
事例5 麻薬小売業者間における医療用麻薬の不正譲渡:麻薬小売業者間譲渡許可を取得していた麻薬小売業者が、同許可の期間満了による失効後に医療用麻薬を譲渡していたもの。
事例6 医師・歯科医師による向精神薬の不正譲渡:医師・歯科医師が、患者ではない者(知人等)に対して向精神薬を不正に譲渡していたもの。
事例7 医療機関職員による向精神薬盗取:病院に勤務する薬剤師が、勤務先から向精神薬を含有する製剤を長期間にわたり大量に盗取し続けていたものであり、当該薬剤師が多量服用で入院したことにより本件が発覚するまで、病院が長期間にわたって気付いていなかったもの。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/kanren-tuchi/mayaku/dl/H23-6.pdf