甲状腺ホルモン薬供給再開への取組等で発表 日本医師会
日本医師会は、ホームページで東日本大震災関連情報を随時更新していますが、5月17日、医薬品関連の情報を更新しました。
5月17日付の情報は、「甲状腺ホルモン薬供給再開への取組等について(第8報)」で、日本内分泌学会、日本甲状腺学会、日本内分泌外科学会、日本甲状腺外科学会、日本小児内分泌学会の関連5学会から、レボチロキシンナトリウム製剤(チラージンS錠等)の供給について、学会員、医療機関、患者家族に周知するものです。
内容は、1.レボチロキシンナトリウム製剤の在庫状況、2.新たな供給ルートの開発の進捗状況、3.長期処方の自粛の部分的解除のお願い、で、あすか製薬とサンドの社内在庫の合計は約2.25か月分となっていること、「有事」に際して承認品の国内生産だけで現時点で直ちにカバーすることはできないが、緊急輸入による供給も合わせれば、供給不足に陥らずにつないで行ける見通しになってきたことを明らかにして、次の通り「長期処方の自粛の部分的解除のお願い」を示しています。
◇長期処方の自粛の部分的解除のお願い
第7報(4月28日付)の時点よりも、2社の社内在庫量が約0.8か月分増加し、2.25か月分となりました。多くの方々のご協力により、さしあたりの供給不足は回避されましたので、3月中旬以来継続してお願いしてきた長期処方の自粛について、再検討すべき時期が来たと考えられます。
約2か月間にわたる長期処方の自粛の結果、患者宅の家庭内在庫は減少しています。また、受診間隔も短くなっていますので、今後の1か月間には多くの方が受診される予定であると推測されます。この状況で長期処方を全面的に解禁しますと、一挙に大量の処方が行われ、短期間に在庫が底をつく恐れがあります。これを回避するためには、段階的な解除が適切と考えられます。
すなわち、
【5月18日以降のレボチロキシンナトリウム製剤の処方に関するお願い】
学会員をはじめとする医療従事者は、被災地以外では2か月間(60日間)を限度として処方してくださいますよう、お願い申し上げます。
長期処方の自粛については、厚生労働省からの指導を受けて開始していますが、今回の自粛方法の変更について、当局においても了解をいただいています。
この先の見通しですが、1か月余り経過したのちに在庫が十分に確保されているようであれば、その時には長期処方の完全解除に進めると期待されます。
なお、これまで、「学会員をはじめとする医療従事者は、出来る限り必要最小限の最適な処方・調剤に努めて下さい」と繰り返しお願いしてきました。もし、必要量よりも少ない投与量の処方で維持して来られたケースがありましたら、最適な量に復帰していただくようにお願い申し上げます。