武田薬品がスイスNycomed社を買収
武田薬品工業は、5月19日、スイスのチューリッヒに本社を置くNycomed A/Sを96億ユーロ(株式価値+純負債ベース)で買収することについて、同社の株式保有者と株式譲渡契約を締結し、発表しました。
発表の内容は次の通り(要旨)です。
Nycomed社の買収(子会社化)について―グローバルでのさらなる成長に向けて
当社は、本日、スイスのチューリッヒに本社を置くNycomed A/Sを96億ユーロ(株式価値+純負債ベース)で買収することについて、同社の株式保有者と株式譲渡契約を締結しました。本買収は、両社の取締役会において全会一致で承認されたものであり、今後、必要な規制当局の承認を受け、当社はNycomed社の株式100%を取得し、90日から120日の間に同社を子会社化する予定です。
本買収は、「11-13中期計画」における、持続的成長の実現に向けた当社の基本戦略を大きく前進させるものです。本買収によって、当社が高いプレゼンスを有する日本および米国の事業に、Nycomed社が広く自社販路を有する欧州および高い成長を続ける新興国の事業基盤が加わり、当社の開発力・販売力が強化され、当社の製品・パイプラインのポテンシャルが一段と高まることになります。さらに、当社は、将来の成長の源泉となり得るファーストインクラスの慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬「Roflumilast」(一般名、欧州製品名:Daxas)を獲得します。
Nycomed社は、業績を牽引するブランド品を中心とした医療用医薬品と、新興国でニーズが高い一般用医薬品を事業の柱に、各国・地域の市場環境や医療ニーズに合った多様な製品の提供を強みとして成功を収めています。同社の2010年の年間売上高は28億ユーロ(買収対象外である米国皮膚科事業を除く)であり、欧州での事業強化と新興国での事業拡大に加え、買収初年度から安定的なキャッシュフローを当社にもたらします。
当社は、Nycomed社のチャレンジ精神溢れる新しい企業文化を、創業以来200年以上の歴史の中で培ってきた当社の企業文化に融合することで、新たなタケダへと変革し、多様な人材が世界中でダイナミックに活躍する真のグローバル製薬企業として、引き続き、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」という経営理念の実現に向けて邁進してまいります。
◇ 買収による当社への貢献
● 当社の成長戦略(Growth)に大きく貢献
・欧州全域における事業基盤の強化
・医薬品市場の成長を牽引する新興国における事業拡大
・欧州および新興国における開発の専門性や販売力の強化による当社製品・パイプラインの価値向上
・COPD治療薬Daxas(欧州製品名)をドライバーとした力強い成長
● 当社の業績に買収直後から貢献
・年間売上高を30%強改善
・買収に伴う特殊要因除きの営業利益を40%強改善
・買収に伴う特殊要因除きのEPSを30%強改善
● グローバルでかつ多様な人材が加わることによる企業文化の変革推進