matsuda's blog

2011年1月

保険調剤のポイント提供で厚生労働省が通知

厚生労働省は、119日、保険局医療課長名で、地方厚生()局医療課長に対して、「保険調剤に係る一部負担金の支払におけるポイント提供」についての通知を発し、これを受けて、日本薬剤師会が21日に見解を都道府県薬剤師会に通知しました。

医療課長通知では、「保険調剤に係る一部負担金の支払いの際のポイントの提供又は支払いの際に得たポイントの使用自体を規制する規定はないが、提供又は使用が一部負担金の減額にあたる場合があれば、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第4条第1項等の規定に違反することになる旨の見解を示した」ことを明らかにするとともに、その例として、付与されたポイントを直接に一部負担金の支払いに当てることについてはその減免に当たると考えられること、保険調剤の際の支払いを他の商品の支払いと区別をして高い割合のポイントを提供することは、一部負担金の減免と取られる可能性があることを指摘し、その他類似事例を含め留意するよう要請しています。

また、「そもそも、患者が保険薬局を選択するに当たっては、保険調剤に係るポイントの提供やそれを強調した広告といった経済的付加価値によらず、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則に基づき、保険薬局が懇切丁寧に保険調剤を担当し、保険薬剤師が調剤、薬学的管理及び服薬指導の質を高めることによりなされるべきである」として、この点についても、管下の保険薬局へ周知を求めています。

日本薬剤師会では、今回の通知が「事実上のポイント提供に対する自粛要請となっている」としており、「保険調剤に従事する会員におかれましても、『健康保険事業の健全な運営を損なう行為を行うことのないように努めなければならない』(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第2条の32項、第9条の2)と規定されている意義を改めて認識した上で、今回の通知の趣旨を十分に踏まえ対応されるよう」求め、「国民の立場からも、いつでも、何処でも安心して公平に医療を受けることができる現在の国民皆保険制度維持の観点からも、ポイント提供は不適切である旨を厚生労働省はじめ関係方面へ引き続き要請していく」としています。

 

http://www.nichiyaku.or.jp/contents/kaiken/pdf/pr_110121.pdf

 

2011/01/31(月) 00:00

注目される携帯電話による服薬情報管理活用モデル事業

大阪府は、平成23年度当初予算(政策的経費)に携帯電話による服薬情報管理活用モデル事業を計画していました。予算総額は189615000円で全額国庫委託金です。今回は、利用を予定している国庫委託金が、国の行政刷新会議「事業仕分け」において、廃止と判定されているため、大阪府においてもゼロ査定となり、予算計上には至らないことから実現は困難となりました。しかし、興味深い内容であり、実現が期待されるものです。

 これは単年度事業ですが、薬局で渡される服薬情報を携帯電話に取り込み、いつでも携帯電話から服薬情報を確認できるシステムを構築することにより、医師・歯科医師・薬剤師が災害時や旅行時であっても常に患者の携帯電話から服用薬を正確に把握することができ、薬の飲み合わせなどの健康被害を未然に防止する等、府民の安心・安全を守ることを目的として取り組もうとするもので、薬局で提供しているお薬情報を携帯電話に散りこむシステムの開発のため、レセプトコンピュータソフト会社にソフトウェアの改修を依頼すると共に、各薬局への説明会の開催等の業務を大阪府薬剤師会に委託して実施するものです。

 携帯電話の普及は目覚しく、内閣府の20103月実施消費動向調査では世帯普及率は92.4%29歳以下では100%30~59歳で98.4%に達しており、60歳以上でも87.8%となっています。電気通信事業者協会の調査では、同時点の契約数は11218万台であり、 201010月末時点には11590万台に達しています。日本の総人口が12800万人弱ですので、まさに11台という状況です。もちろん若い世代は1人で2台も3台も保有しているケースもあることから、一概には言えませんが、携帯電話を活用した事業は大きな可能性を持っています。特に、携帯電話は高齢者の間にも普及していることから、医療面での活用が期待されます。

わが国でも、日本版PHR(Personal Health Record)システムの研究、携帯電話を利用した新薬臨床試験服薬管理システム、服薬履歴情報管理、携帯電話による処方情報と服薬情報を統合した服薬支援システムなど様々な研究が行われています。厚生労働省、総務省、経済産業省の連携による取り組みも進められていますが、実際に予算化となると、複数の省の間で事業を計画しており、予算編成の段階でこれらの整理が求められていることから実現は難しいようです。国及び地方自治体において財政状況が逼迫していることから、実現にはハードルは高いようですが、非常に興味深い事業であるため、地域を限定して実施するなどのトライアルに取り組むことも面白いものと思われます。

 

2011/01/27(木) 00:00

日本ジェネリック製薬協会が行動憲章など制定

日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は、1221日、「GE薬協行動憲章」および「GE薬協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン2010」を制定し、会長名にて会員各社に通知するとともに、24日にはホームページにも掲載しました。これは、会員各社が高い倫理観を持ち、法令順守を超えた社会的責任を果たすために制定したものです。

 GE薬協は、20103月に発生した会員企業による薬事法違反事例を契機として、4月には倫理委員会を設置、行動憲章、ガイドライン、「ジェネリック製薬企業行動基準モデル」(行動基準モデル)を制定することとし、同委員会の実務委員会で原案作成に当たり、外部専門家の参加も得て検討、成案を得たことから、倫理委員会と理事会の承認を得て会員に通知したものです。

 制定のポイントは次の通りで、現在、行動基準モデルの原案を作成・検討中であるため、完成次第会員に通知することとしています。詳細は下記リンク先へ。

(1)   単に法令順守のみならず、持続可能な社会の発展に向けて、社会や環境に与える影響に配慮し、「企業の社会的責任」(CSR:Corporate Social Responsibility)を果たすべきとの考え方が、近年、国際的に広がっていることから、この考え方を行動憲章およびガイドラインに取り入れた。

(2)   ガイドラインにおいては、GE薬協の取り組みとして、①行動憲章等の定期的な見直し、②会員会社のコンプライアンス担当役員・責任者との連携を図るための連絡会の設置、③研修会等の継続的な開催、④自己点検状況のモニタリングによる会員各社の取り組み状況の把握の4点を明記した。

(3)   また、会員各社への要請事項として、①コンプライアンス・プログラムの構築、②経営トップからのコンプライアンス徹底のメッセージの発信、③コンプライアンスの実行、④自己点検・研修等の実施、⑤GE薬協倫理委員会に設置される「コンプライアンス担当役員・責任者連絡会」への参画の5点をガイドラインに明記した。

 

 

http://www.jga.gr.jp/pdf/compliance_2010.pdf

 

2011/01/24(月) 00:00

厚生労働省が保険医療機関等の指導及び監査の実施状況公表

厚生労働省は、1222日、平成21年度における保険医療機関等の指導及び監査の実施状況について(概況)を発表し、ホームページ上に公表しました。

 指導・監査の実施件数は、個別指導が3,666(対前年度比256件増)、監査が85件(対前年度比16件増)で、取消等の状況は、保険医療機関等の指定取消11件(対前年度比22件減)、指定取消相当5件、保険医等の登録取消15(対前年度比26人減)、登録取消相当1人となっています。取消相当とは、本来、保険医療機関等の指定取消、保険医等の登録取消を行うべき事例について、保険医療機関等が廃止、または保険医等が登録の抹消をしている場合に行われる扱いですが、公表、再指定(再登録)については、指定取消(登録取消)と同等に扱われます。

 特徴等では、○保険医療機関等の指定取消処分(指定取消相当を含む)の原因(不正内容)を見ると、不正請求(架空請求、付増請求、振替請求、二重請求)がそのほとんどを占めている。○指定取消処分(指定取消相当を含む)に係る端緒として保険者、医療機関従事者等、医療費通知に基づく被保険者等からの通報が11件と取消(指定取消相当を含む)件数の半数以上を占めている。○保険薬局の指定取消(指定取消相当を含む)はなかった、としています。

 保険医療機関等から返還を求めた金額は、約304千万円(対前年度比約62千万円減)で、内訳は指導による返還分約212千万円、監査による返還分約92千万円となっています。

 具体的な内容は次の通りです。

 

 指導の実施状況(保険医療機関等の件数、保険医等の人数)は、個別指導では医科が1,227件、1,937人、歯科が1,337件、1,447人、薬局が1,102件、1,266人、合計3,666件、4,650人、新規指定個別指導では医科が2,387件、2,494人、歯科が1,357件、1,426人、薬局が1,955件、2,259人、合計5,699件、6,179人、集団的個別指導では医科が5,183件、歯科が4,713件、薬局が3,358件、合計13,254件です。

 監査の実施状況は、医科が39件、112人、歯科が35件、86人、薬局が11件、25人、合計85件、223人となっています。

 保険医療機関等の指定取消等及び保険医等の登録取消等の状況は、保険医療機関等の指定取消が医科2件、歯科9件、薬局0件、合計11件、指定取消相当が医科1件、歯科4件、薬局0件、合計5件、保険医等の登録取消が医科2人、歯科13人、薬局0人、合計15人、登録取消相当が医科0人、歯科1人、薬局0人、合計1人です。

 保険医療機関等の指定取消等に係る端緒は、保険者等からの通報11件(保険者、医療機関従事者等、医療費通知)、その他5件。

 返還金額の状況は、合計303,903万円で、内訳は指導による返還分212,360万円、監査による返還分91,543万円です。

 

 詳細は下記リンク先へ。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000z4fa.html
2011/01/20(木) 00:00

あれから16年、阪神・淡路大震災と薬剤師活動

平成7(1995)117日、未曾有の災害が神戸に起きました。「阪神・淡路大震災」です。正式には「平成7年兵庫県南部地震」(気象庁による正式名称)ですが、政府により災害名を「阪神・淡路大震災」と呼称することとなり、定着しました。「ホットニュース」というわけではありませんが、阪神・淡路大震災記念日に当たり、このテーマを採り上げたいと思います。

「阪神・淡路大震災」は6400名を超す死者、4万名を超える負傷者が出るという、まさに大惨事となりました。神戸の街を見た人は、戦後の瓦礫の町並みを思い浮かべた人も少なくないでしょう。それほど悲惨な状況でした。「神戸は甦るのか」と感じた人が大半であったと思います。あれから16年、神戸は見事に復興を遂げました。しかし、その影には、政府など公的なものだけではなく、民間ベースで全国から暖かい救援・支援があったことは特筆すべきことです。

薬業界においても、拠点である兵庫県薬剤師会館が倒壊したほか、多くの薬局薬店、製薬会社、卸業者、病院、薬科大学など広範囲に被害が出ました。亡くなられた薬業関係者もいました。兵庫県薬剤師会も会館が倒壊して全くその機能が停止し、交通・通信網の寸断破壊等により初期活動が不十分な時に、日本薬剤師会はいち早く支援体制を策定し、義援金という物的支援だけでなく、人的支援も行いました。大阪の290名に及ぶ薬剤師をはじめ、呼び掛けに応じて、121日以降、全国の薬剤師会から延1127名の薬剤師ボランティアが駆け付け、また県下会員の中にも自身の被災も顧みず、震災当日から自主的にボランティア活動に参加した薬剤師は延2500名近くに達しています。(兵庫県薬剤師会編集「阪神・淡路大震災における薬剤師ボランティア活動の記録」より)

県内外の多くの薬剤師が、厳しい寒さの中で、救援医薬品の集積・仕分け・配送作業や避難所、保健所、救護所等で物心両面にわたって活躍しました。また、個人的に救援・支援活動のために神戸に向かった薬剤師も少なくありませんでした。

その中には、株式会社育星会の社員(カイセイ薬局の薬剤師)の顔もありました。当時は、まだ10薬局でしたが、会社の薬局の被害状況を確認したうえで、「仕事に支障のない範囲」で支援活動に参加することとし、現社長の飯田彰をはじめ、薬剤師会の呼びかけで参加した薬剤師は、夜中に、そして交通網が寸断された中でタクシー等に乗って神戸まで駆けつけ、支援活動に携わりました。交通費は全て会社が負担しました。現顧問の目谷義夫も震災の翌日にはカブ(オートバイ)を運転して神戸に向かい、2度ほど転倒を経験。そのため、2度目は自動車に荷物を積んで連絡の取れない知人等を尋ねて回っており、当時の感激を熱く語る神戸の開局薬剤師もいます。瓦礫の中を歩き回り、被災者の支援に活躍した薬剤師の姿は、「日本は一つ」の感を強くしました。

平成7年は、兵庫県薬剤師会の当番により第28回日本薬剤師会学術大会を神戸で開催することになっていましたが、やむなく中止となり、急遽、宮城県薬剤師会が引き受けて仙台で大会を開きました。当時の吉矢佑日本薬剤師会長は、大会で神戸大会のポスターを掲げて挨拶したというエピソードが残っています。それから12年後の平成19(2007)に第40回学術大会を神戸で開催し、復興をアピールできたことは記憶に新しい出来事です。

阪神・淡路地区の薬局薬剤師は、被災者であると同時に支援者であるという2つの立場を持っていました。その活動には多くの困難がありましたが、被災者の立場を超えて支援者として活動したことは薬剤師が市民の健康を守るという公的な立場であることも浮き彫りにしました。

2011/01/17(月) 00:00

沢井製薬が患者・薬剤師対象にジェネリック医薬品の意識調査

ジェネリック医薬品大手の沢井製薬株式会社は、昨年115日から8日までの4日間、過去3ヶ月以内に薬を処方・調剤された患者さん400名、及び全国の薬剤師300名を対象にジェネリック医薬品に対する意識調査を実施し、その結果を1221日に発表、ホームページで公表しました。

この調査は、ジェネリック医薬品に関する意識、処方・調剤状況を定点観測として時系列で比較すること。また、20104月に実施された診療報酬改定を受けて、ジェネリック医薬品への接触頻度の変化や、市場環境の変化を探ることを目的として実施されたもので、首都圏1都3県、関西24県において、過去3ヶ月以内に医療機関で自分のために薬を処方・調剤してもらった30~60歳代の男女(歯科・眼科・小児科での処方・調剤は除く)を対象として、患者さん対象調査が115日から7日の3日間、薬剤師対象調査が114日から7日の4日間、インターネット調査により実施されています。

 

その概要は次の通りで、詳細は下記リンク先へ。

 

まず、ジェネリック医薬品に対する認知状況については、患者さんのジェネリック医薬品名称認知率は前年と同じく98.5%と高く、ジェネリック医薬品について調べた経験がある患者さんは62.9%(前年46.0%)と、昨年にも増して高い関心度が伺えました。しかし、ジェネリック医薬品の特徴認知については、「国全体の医療費節減につながる」ことを知っている患者さんは33.5%(前年35.0%)と、医療費増大への危機感とジェネリック医薬品の内容理解度には乖離があることがわかりました。

一方、薬剤師のジェネリック医薬品特徴認知は「医療費節減につながる」が93.7%(前年86.7%)、「日本ではまだ20%程度しか使用されていない」が83.6%(前年72.0%)と高水準になっており、医療費増大への危機感が高い人ほどジェネリック医薬品の活用に積極的であることがわかりました。

次に、保険薬局におけるジェネリック医薬品の活用状況については、「ジェネリック医薬品の積極活用を進めている」が薬剤師全体で37.3%(前年24.5%)、特に保険薬局では34.3%(前年15.7%)と、「患者さんの判断に委ねている」層が積極派へ転進する動きが見られました。しかし、患者さんがお薬をもらう際、「薬剤師からジェネリック医薬品について説明を受けた」という人は29.8%(前年18.5%)と増加しましたが、依然約7割の患者さんが「説明を受けなかった」と回答しています。

同社は、患者さんのジェネリック医薬品への理解促進を図ることができるようPR活動に取り組み、医療関係者へはより安心して、処方・調剤いただけるよう情報提供活動に努めていく、としています。

 

http://www.sawai.co.jp/press/2010/pdf/20101221.pdf
2011/01/13(木) 00:00

電子カルテ不具合による薬剤誤投与で注意喚起(厚生労働省)

厚生労働省は、1227日、医政局総務課と同局政策医療課の連名で、各都道府県、保健所設置市、特別区の衛生主管部()に対して、「診療システム(電子カルテ)不具合による薬剤誤投与について」の注意喚起の文書(事務連絡)を発しました。同時に日本医師会、歯科医師会、薬剤師会など関係団体にも文書を発しています。

これは、医療機関において、診療システム(電子カルテ)の不具合により、医師の意図とは異なる内容の処方指示が作成され、誤った投薬が行われた事例が発生したことから、地方自治体に対して下記の留意事項について管内の医療機関への注意喚起を求めたものです。

1.医療情報システムについて、導入時に入念な検証を行うとともに、定期的に内部監査を実施する等、当該機器が正常に動作するよう適切な管理を行うこと。

2.医療情報システムの誤作動を認めた場合は、速やかにシステム管理業者に連絡を行うこと。

 

なお、このシステムを提供している日本IBMでは「電子カルテシステムにおける注射オーダー処理に関するお知らせ」と題して、次の文書(要旨)を出しています。問い合わせ先は同社広報代表(03-3808-5120)

 

弊社が医療機関向けに提供しているクリニカルパス機能を備えた電子カルテシステム上で、注射オーダーに関してある限定的な操作が実行された場合、計画に従ったオーダーが発行されない事象が判明いたしました。

 

具体的には、クリニカルパスを適用して、注射オーダーに必要な一連の処理が極めて短時間のうちに操作された場合、システム内で患者の過去のオーダー歴から内容を引用し、意図しないオーダーが処理されるという事象です。なお、この事象は注射薬オーダー処理でのみ発生する場合があるもので、電子カルテシステム上の他の業務処理で起きることはないことを確認しております。

 

弊社では、当該事象が起こる可能性のある当該電子カルテシステムを導入されたすべての医療機関に対して通知を行うとともに、これら医療機関における過去の注射オーダー履歴を全件調査いたしました。この調査結果をもとに意図しないオーダーが処理された件数を特定し、これら医療機関のご協力を得て、緊密な連携のもと、適切な対応を行っております。また、同様のシステム動作が起きないようにプログラムを変更し、すべての導入済の当該電子カルテシステムへの適用を緊急で実施しております。

2011/01/10(月) 00:00

厚生労働省が医療マップ(医療費の地域差)を発表

厚生労働省は、1217日、平成20年度医療費マップを発表。ホームページに掲載しました(新着情報)。医療マップとは医療費の地域差で、都道府県や市町村別にみた医療費水準の地域差について、とりまとめたもので、「1人当たり実績医療費」と「地域差指数」を地域別(都道府県別等)にまとめ、地図として表したもので、「地域差指数」とは、医療費の水準の地域差に関する様々な要因のうち、年齢構成の相違による分を補正し、指数化(全国を1)したものです。

平成19年度までの地域差指数は、市町村国保財政に対応する一般被保険者に係る給付費及び老人保健拠出金ベース(給付費ベース)で作成されてきましたが、平成22年の制度改正で安定化計画が広域化支援方針等に見直されたことを踏まえ、平成20 年度の地域差指数については、医療費ベースで作成することとされました。

結果の概要は、「市町村国民健康保険」、「後期高齢者医療制度」、「市町村国民健康保険+後期高齢者医療制度」に分けて次の通り説明されています。

○市町村国民健康保険

1人当たり実績医療費は、診療種別計では広島県が最も高く339千円(全国比1.224)、沖縄県が最も低く231千円(全国比0.834)となっている。入院は鹿児島県が最も高く154千円(全国比1.447)、千葉県が最も低く86千円(全国比0.812)、入院外は広島県が最も高く183千円(全国比1.236)、沖縄県が最も低く110千円(全国比0.743)、歯科は大阪府が最も高く27千円(全国比1.198)、沖縄県が最も低く15千円(全国比0.678)となっている。

地域差指数については、診療種別計では長崎県が最も高く1.178、千葉県が最も低く0.889となっている。入院は鹿児島県が最も高く1.393、千葉県が最も低く0.820、入院外は広島県が最も高く1.157、長野県が最も低く0.914、歯科は大阪府が最も高く1.220、沖縄県が最も低く0.787となっている。地域差数の内訳をみると、診療種別では入院の寄与度が比較的大きく、年齢階級別では、60歳以上の寄与度が比較的大きい。

○後期高齢者医療制度

1人当たり実績医療費は、診療種別計では福岡県が最も高く1077千円(全国比1.264)、新潟県が最も低く704千円(全国比0.826)となっている。入院は高知県が最も高く624千円(全国比1.448)、静岡県が最も低く326千円(全国比0.756)、入院外は広島県が最も高く468千円(全国比1.185)、富山県が最も低く336千円(全国比0.851)、歯科は大阪府が最も高く42千円(全国比1.574)、青森県が最も低く16千円(全国比0.596)となっている。

地域差指数については、診療種別計では福岡県が最も高く1.238、長野県が最も低く0.831となっている。入院は高知県が最も高く1.430、静岡県が最も低く0.758、入院外は広島県が最も高く1.187、富山県が最も低く0.835、歯科は大阪府が最も高く1.561、青森県が最も低く0.585となっている。地域差数の内訳をみると、診療種別では入院の寄与度が比較的大きく、年齢階級別では、75歳以上89歳以下の寄与度が比較的大きい。

○市町村国民健康保険+後期高齢者医療制度

1人当たり実績医療費は、診療種別計では高知県が最も高く550千円(全国比1.278)、千葉県が最も低く350千円(全国比0.814)となっている。入院は高知県が最も高く302千円(全国比1.563)、千葉県が最も低く143千円(全国比0.740)、入院外は広島県が最も高く272千円(全国比1.271)、沖縄県が最も低く149千円(全国比0.696)、歯科は大阪府が最も高く30千円(全国比1.279)、沖縄県が最も低く15千円(全国比0.652)となっている。

地域差指数については、診療種別計では福岡県が最も高く1.212、長野県が最も低く0.868となっている。入院は高知県が最も高く1.393、静岡県が最も低く0.786、入院外は広島県が最も高く1.176、富山県が最も低く0.891、歯科は大阪府が最も高く1.306、青森県が最も低く0.739となっている。地域差数の内訳をみると、診療種別では入院の寄与度が比較的大きく、年齢階級別では、70歳以上89歳以下の寄与度が比較的大きい。

 

リンク先は厚生労働省で次の通り。

 

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/hoken/iryomap/index.html

2011/01/06(木) 00:00