日本製薬工業協会は、10月18日、「第12回くすりと製薬産業に関する生活者意識調査」を公開しました。
この調査は、医療用医薬品や製薬産業(会社)に対する患者・生活者の理解や認識の実態を把握し、医薬品や製薬産業に対する信頼感を高めるための広報活動の基礎資料とすることを目的として実施したもので、2017年(平成29年)に調査続く第12回目の調査です。
調査地域は首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)と京阪神圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)で、満20歳以上の男女を対象とし、標本数は2,000人、インターネット調査により2018年(平成30年)6月26日~28日に調査しました。
全配信数は20,036件で首都圏12,844件(64.1%)、京阪神圏7,192件(35.9%)、調査参加者数は3,518人で首都圏2,203人(62.6%)、京阪神圏1,315人(37.4%)、回収サンプル数は2,000人で首都圏1,315人(65.8%)、京阪神圏686人(34.3%)でした。回答者のプロフィールは、地域別では東京都区部17.8%、横浜市・川崎市9.8%、その他首都圏38.2%、大阪市5.2%、京都市・神戸市5.5%、その他京阪神圏23.6%です。性別では男性48.8%、女性51.2%、年代別では20代13.0%、30代15.8%、40代19.6%、50代14.6%、60代16.0%、70歳以上21.1%です。
<処方箋の情報とイメージ>(カッコ内は2017年調査との比較)
■医療関係者から処方薬についいての説明を受けた人の割合(説明実施率)は94.5%(1.0ポイント増)、説明満足度は92.4%(0.1ポイント増)。
■副作用経験率は36.4%(2.3ポイント減)、副作用関心度は59.6%(0.6ポイント増)。
■処方された薬のメーカー名の認知意向率は29.5%(2.5ポイント減)、高認知率(「全て知っている」+「大体知っている」)は23.6%(2.0ポイント増)。
■入手したい処方薬情報上位は「薬の副作用」「薬の効能・効果」「薬の飲み合わせの注意」「薬の種類・成分・特長」、医療関係者からの説明上位は「薬の服用方法」「薬の効能・効果」「薬の種類・成分・特長」、患者側の情報ニーズとのギャップが大きいのは「薬の副作用」「薬の飲み合わせの注意」「薬のメーカー名」「薬の保管方法」。
■医師・薬剤師以外での処方薬の情報源は「インターネット(ウェブサイト)」が圧倒的に多い。インターネットの情報入手先は「製薬会社」と「民間の情報サイト」がメイン。
■製薬会社の「くすり相談窓口」の認知は18.3%、利用者満足層の割合は91.1%。利用者ベースでみると、認知経路はインターネット63.8%、利用率は12.3%、利用理由は「くすりに関しては製薬会社が十分情報を持っている」68.9%、問い合わせ内容上位は「効能・効果」「服用方法」「成分・特徴」、対応満足度は「とても満足」37.8%、「まあ満足」53.3%。
■新薬とジェネリック医薬品の認知91.8%(0.8ポイント増)。服用薬が新薬かジェネリック医薬品かの認知は「全ての薬について認知」33.4%、「一部の薬について認知」46.4%の合計79.8%。選択意向は「ジェネリック医薬品」52.8%(1.6ポイント減)、「医師に任せる」31.0%(1.6ポイント増)、「新薬」10.4%(0.5ポイント減)、選択理由は新薬が品質74.6%、信頼71.6%、ジェネリック医薬品が価格85.4%。
■処方薬への信頼層は87.4%(3.3ポイント減)、処方薬のイメージは「医師が処方してくれるので安心」91.0%(2.8ポイント減)、「市販の薬よりもよく効く」88.9%(3.0ポイント減)、処方薬への信頼感は「そう思う」20.5%、「まあそう思う」67.0%。
<製薬産業のイメージと期待>(カッコ内は2017年調査との比較)
■製薬産業に対する信頼感は85.2%(0.8ポイント減)。イメージ上位は、「技術力が高い産業」91.5%(1.0ポイント減)、「社会的に必要性が高い産業」91.4%(2.5ポイント減)、「研究開発に熱心な産業」87.1%(2.2ポイント減)、「高収益をあげている産業」86.7%(1.3ポイント減)、「将来性がある産業」86.7%(2.8ポイント減)。
■製薬産業や製薬会社を知る情報トップ3は「インターネット(ウェブサイト)で」34.7%(01.ポイント減))、「テレビ、ラジオのニュースや番組で」34.5%(2.1ポイント減)、「新聞の記事で」28.6%(4.2ポイント減)。
■製薬会社からの情報入手意向は70.1%(0.5ポイント減)。
■新薬開発について(同意率)は「長い年月や莫大な費用をかけても新薬開発は必要」91.3%(1.7ポイント減)、「製薬会社は新薬開発について内容を知らせるべき」82.1%(3.5ポイント減)、「欧米等が進んでいるので、日本がやることはない」26.8%(1.1ポイント減)→否定73.2%(1.1ポイント増)、「十分な治療薬がない疾患への治療薬を開発することは社会的に有意義」89.4%(2.7ポイント減)、「資源が少ない日本にとって新薬の開発はこれからも必要である」90.8%(2.2ポイント減)。
■新薬創出時の業務連携先への金銭支払いについて、支払いについての認知率は46.5%、支払いを公開していることの認知は21.7%。支払情報公開についての評価率は67.6%(「評価できる」+「ある程度評価できる」)。
■「治験」について「ある程度知っている」「治験という言葉は知っている」の双方を合わせた認知層の割合は85.0%(0.6ポイント減)。
■「治験」に対する考え方では、「新薬開発にとって必要不可欠である」が59.4%(0.6ポイント減)で最も多く、次いで「開発中の薬を投与するので不安がある」32.3%(0.8ポイント減)、「治験に伴う副作用等のリスクを説明してもらっているか不安がある」27.8%(±0ポイント)と続く。また、「治験に関心を持っている」は24.0%(0.6ポイント減)。
■「治験」への参加意向は32.7%(1.2ポイント減)。参加しても良いと思う理由は「社会の役に立つ」59.2%(1.7ポイント減)、「新しい薬を試すことができる」49.1%(2.5ポイント減)。参加したくない理由は「不安がある」61.0%(4.5ポイント減)。
■製薬産業、製薬会社への期待点としては「よく効く・早く効く薬の開発」「「安全な、副作用の少ない薬の開発」「新薬の開発/更なる研究開発」「薬価の引き下げ」「情報開示」などが上位。
■どのような病気に効く薬を作って欲しいかでは「がんに効く薬」が圧倒的に多い。
■どのような薬を作って欲しいかでは「副作用のない薬/安心・安全な薬」トップ。
<生活者の健康と薬・医療とのかかわり>(カッコ内は2017年調査との比較)
■「入院」及び「通院」したことがある受診経験率は76.0%(2.9ポイント減)。
■処方薬の服用経験率は88.2%(1.9ポイント減)。
■かかりつけの薬局のある人は35.1%(3.0ポイント減)。
■「患者参加型医療」に対する認知は254.%(2.0ポイント増)。
■「患者参加型医療」に必要なこと上位5項目は、「セカンドオピニオンを受けやすくする」41.1%、「診療(カルテ)情報を患者に開示する」39.2%、「医師及び薬剤師が疾患や治療法の情報を説明し患者側が選択する」38.3%、「医師、薬剤師、製薬会社が医薬品や副作用の情報を提供する」36.9%、「インフォームド・コンセントを徹底する」36.3%。
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