matsuda's blog

2011年2月

一般薬インターネット販売規制緩和等と調剤基本料大幅引き下げに反対表明(日本薬剤師会)

日本薬剤師会は、217日、「規制・制度改革に関する日薬の対応方針」を発表し、「一般用医薬品のインターネット販売の規制緩和等に反対」と「保険調剤報酬の『調剤基本料の大幅引き下げ』に反対」を表明しました。

「一般用医薬品のインターネット販売の規制緩和等に反対」については、「一般用医薬品のインターネット販売の規制緩和に反対します。およびテレビ電話・FAX等の活用による店舗での医薬品販売、それに伴う薬剤師、登録販売者の常駐義務撤廃に反対します」として理由を示していますが、「保険調剤報酬の『調剤基本料の大幅引き下げ』に反対」については、「行政刷新会議・規制制度改革分科会、ライフイノベーションWGで審議されている保険調剤報酬の『調剤基本料の一元化』と称する大幅な引き下げは、地域の薬局の経営基盤を揺るがすものであり、ひいては、超高齢社会に逆行して地域医療の崩壊につながり絶対に反対です」として、次の理由を挙げています。

 

1.       従来、調剤基本料は、40点が基本であり、24点は例外で、それを24点に"一元化"という考え方は不自然です。現実に全国の保険薬局の99%は40点であり、24点は、わずか1%にすぎません。例外である1%に99%を合わせるなど暴論といわざるを得ません。

2. 調剤基本料「40点」を「24点」に引き下げた場合、地域薬局の維持に多大な影響を与え、地域の医薬品供給体制を崩壊させるものと懸念されます。

() WG報告書では、引き下げの影響率は、1.8%に留まり、薬局の継続には影響ないとしていますが、その根拠は、医療経済実態調査(平成216月調査)で、薬局の利益が6%あるから、としています。

  しかし、1.8%は薬剤費(報酬全体の約73%を占める)を含めた調剤報酬を分母としたものであり、技術料ベースでは6.7%の引き下げに相当します。

(イ)    6%といっても、金額では年間896.9万円であり、同調査で試算すれば、引き下げによる1薬局当たり(処方箋1586)の減収は、年間で304.8万円、収益の3割強に相当し、また、月額25.4万円の減収となり、それは従業員1人分の人件費に相当する大幅な引き下げです。

3. "一元化"の根拠とされるデータは、全国保険薬局数約5.5万件のうち21(2003)、同63(2004)という極めて少数の薬局に対する、78年前の調査であり、かつ、どのような薬局を調査したかの説明もない、全く根拠薄弱なものであり、統計的な意味はほとんどありません。

   加えて、WGの報告書の記載は、WGの主張に都合のよいところだけを取りあげた、極めて恣意的なものであります。

4. このまま大幅な引き下げが導入されれば、全国平均(1カ月の処方箋1586)以下の中小薬局は多大な影響を受け、平成22年改定での薬価引き下げの影響とともに、壊滅的なダメージを受けることになります。

 

     調剤基本料は基本は40点ですが、例外として24点というのは、「処方箋受付回数が月4000回以上で、かつ特定の医療機関の処方箋集中率が70%以上」ということです。

 

 http://www.nichiyaku.or.jp/contents/kaiken/pdf/110217_1.pdf

2011/02/21(月) 00:00

中医協総会で行政刷新会議中間取りまとめに意見表明

中央社会保険医療協議会の第187回総会は、216日に開催され、医療機器の保険適用、先進医療専門家会議の検討結果の報告、医療保険における革新的な医療技術の取扱いに関する考え方(その7)、医療と介護の連携(その4:在宅歯科医療、在宅における薬剤師業務)、医療技術の評価・再評価に係る評価方法等について審議しましたが、この中で、二号側委員より、行政刷新会議「規制・制度改革に関する分科会」の「中間取りまとめ」(ライフイノベーションWG関連部分)に対する意見書が提出されました。二号側委員は医師、歯科医師、薬剤師を代表する委員です。

意見書では、「さる126日に開催された行政刷新会議『規制・制度改革に関する分科会』において『中間取りまとめ』が了承され、同分科会ライフイノベーションWGが提案している38項目に及ぶ規制・制度改革事項が取り上げられているが、この中には重大な問題を抱えた事項が数多く含まれている。このような議論が安易な形で行われていることに強く抗議し、ここに意見を表明する」として、下記の4点を挙げています。

1.今回提案されている38 項目に含まれている「医療保険におけるリハビリの日数制限の見直し」、「調剤基本料の一元化」、「医薬品・医療機器におけるイノベーションの適切な評価の実施」といった事項は、社会保険医療協議会法(昭和25 年法律第47 条)に基づいて設置されている中央社会保険医療協議会において議論すべき事項である。行政刷新会議に対しては、「診療報酬改定で対応可能な事業の廃止」を結論として出した事業仕分けに関して、中央社会保険医療協議会としてさる1 21 日開催の総会において意見をまとめたところであるが、にもかかわらず規制・制度改革においても同様にこうした形で一方的な議論が行われていることは極めて遺憾である。

2.「医療保険におけるリハビリの日数制限の見直し」に関しては、中央社会保険医療協議会において利用者の実態などに関するさまざまなエビデンスに基づいて、診療報酬上の適正な評価のあり方について議論しているところである。もちろんリハビリの提供を必要とする利用者に対して適切な形で行われる体制を確保することは必要であり、そのためにさまざまな見直しを積み重ねてきたところであるが、中央社会保険医療協議会で議論してきた各種データについての評価・分析もないままに、短絡的に「次期診療報酬改定で日数制限を撤廃することを検討する」という提案を行うことは無責任である。これでは平成18 年改定でリハビリの日数制限により改善すべき患者が多数見捨てられるというリハビリ団体やリハビリ患者の要求により、期間途中で再改定された歴史を学習していない。しかも、リハビリが医療保険と介護保険の両制度にまたがって提供されている中で、医療保険と介護保険においてどのように役割分担をするのか、さらには日数制限を撤廃した後に質が高く効果的なリハビリを提供するための仕組みをどのように作るのかなどについての具体的な検討もないままに、結論として「日数制限の撤廃」だけを求めるというのでは、提案の体さえなしていない。

3.「調剤基本料の一元化」として「次期診療報酬改定で調剤基本料を24 点に一元化することを検討する」と提案しているが、そもそも調剤基本料は40 点を基本とし、受付処方箋数が多く、特定医療機関からの処方箋の集中率が高い一部の薬局だけを例外的に低くして24 点に設定しているものである。それも24 点を算定している薬局は1%程度しか存在しておらず、残りの99%の薬局を「例外」の方に合わせて40 点から24 点に引き下げるという提案にはまったく合理的な根拠がない。万が一このような見直しを行った場合には、多くの薬局の経営が悪化し、国民に不利益をもたらすことが憂慮される。

4.本意見書においては中央社会保険医療協議会の審議事項に特化して問題点を指摘したが、これら以外にも、ライフイノベーションWG の提案には重大な問題が数多く含まれている。今後、厚生労働省との協議や3 67 日に予定されている「規制仕分け」を経て閣議決定すると伝えられているが、上記の点を踏まえて、慎重な議論が行われ、一方的な結論を出すことのないよう求めるものである。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000127vk.html
2011/02/21(月) 00:00

厚生労働省が22年度わが国の保健統計発表

厚生労働省は、131日、「平成22年度我が国の保健統計」を発表しました。これは、20(施設は21)の調査結果をまとめたものです。

調査は、①患者の動向・患者の視点から(受療行動調査より)、②医療施設の動向、③保健医療関係者の動向、④保健事業の動向、⑤国民医療費の動向です。

患者調査は、医療施設(病院及び診療所)を利用する患者について、その傷病状況等の実態を明らかにし、医療行政の基礎資料を得ることを目的として3年周期で実施しています。全国の医療施設を利用する患者を対象とし、層化無作為により抽出した医療施設における患者を調査の客体として、調査の期日は、平成20年調査では、病院については201021~23日の3日間のうち病院ごとに指定した1日、診療所については1021日、22日、24日の3日間のうち診療所が指定した1日とし、退院患者については、2091~30日までの1か月間としています。調査内容は、患者の性別、出生年月日、住所、入院・外来の種別、受療の状況などです。

受療行動調査は、全国の医療施設を利用する患者について、受療の状況や受けた医療に対する満足度等を調査することにより、患者の医療に対する認識や行動を明らかにし、今後の医療行政の基礎資料を得ることを目的として3年周期で実施しています。全国の一般病院を利用する患者(入院・外来)を対象とし、層化無作為抽出した一般病院(500施設)を利用する患者を調査の客体として、20年調査では、201021~23日の3日間のうち医療施設ごとに指定した1日における患者について、病院を選ぶにあたり必要とした情報、自宅で療養できる条件、満足度等を調査しています。

また、医療施設調査では、全国の医療施設の分布及び整備の実態を明らかにするとともに、医療施設の診療機能を把握し、医療行政の基礎資料を得ることを目的として、3年周期で実施される医療施設静態調査と毎月実施される医療施設動態調査があります。医療施設静態調査は、調査年の101日現在に開設しているすべての医療施設を対象とし、医療施設における施設名、所在地、開設者、診療科目、設備、許可病床数などを調査しています。医療施設動態調査は、開設、廃止等があった医療施設を対象とし、施設名、所在地、開設者、開設・廃止等の処分などを調査しています。

病院報告は、全国の病院、療養病床を有する診療所における患者の利用状況及び病院の従事者の状況を把握し、医療行政の基礎資料を得ることを目的としています。患者の利用状況については、毎月の在院患者数等を、従事者の状況については、調査年(毎年)101日現在における従事者数を調査しています。

医師・歯科医師・薬剤師調査については、性、年齢、業務の種別、従事場所及び診療科名(薬剤師を除く)等による分布を明らかにし、厚生労働行政基礎資料を得ることを目的として2年周期で実施しています。我が国に住所があって、医師法により届け出た医師、歯科医師法により届け出た歯科医師及び薬剤師法により届け出た薬剤師からの届出票を調査の客体とし、調査年の1231日現在における医師・歯科医師・薬剤師の住所、性、生年月日、業務の種別、従事先等について調査しています。

このほかにも、衛生行政報告例、地域保健・健康増進事業報告、国民医療費も掲載されています。

 

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hoken/national/22.html

 

2011/02/17(木) 00:00

登録販売者資質向上で薬事審議会に諮問(大阪府)

大阪府は、126日に開催した薬事審議会に、橋下徹知事名で諮問書を提出しました。諮問したのは「大阪府における登録販売者の資質向上対策等について」です。

薬事審議会には、中央薬事審議会と地方薬事審議会がありますが、地方薬事審議会は、薬事法により、「都道府県知事の諮問に応じ、薬事に関する当該都道府県の事務及びこの法律に基づき当該都道府県知事の権限に属する事務のうち政令で定めるものに関する重要事項を調査審議させるため置くことができる」と定められ、条例が制定されています。大阪府では、これまで医薬分業対策や医療機器安全性確保対策などについて諮問し、答申を得てきましたが、本年は、「府民の健康な生活を確保するため、一般用医薬品の適正使用を推進し、登録販売者の資質向上を図るための総合的かつ計画的な施策」について諮問したものです。

薬事法改正により、一般用医薬品の販売制度の見直しが行われ、リスクの程度に応じて適正な選択及び使用に資するための適切な情報提供等がなされるよう、薬剤師の他に一般用医薬品の販売を行う新たな専門家として「登録販売者」の制度が創設され、一般用医薬品も第1類から第3類まで3分類されました。登録販売者試験は平成20年度から実施され、既に全国で10万人近い登録販売者が誕生しています。

改正薬事法は、平成216月に全面施行されていますが、諮問書は新たにスタートした登録販売者の資質向上を如何にして図るべきかについて、下記の通り問題点を指摘して審議会の意見を求めています。

 

医薬品は、使用方法を誤れば重大な健康被害を生じるおそれがあり、また適正に使用しても副作用のリスクを伴うことから、購入者への適切な情報提供や相談対応が重要となります。

適切な情報提供や相談対応を行うためには、一般用医薬品販売の新たな専門家となった登録販売者についても、日進月歩の医薬品に対する継続的な研修が不可欠ですが、現在、統一した研修体制は確立されておりません。

平成21年度に厚生労働省が行った一般用医薬品販売制度定着状況調査では、一部の薬局・薬店において、専門家による適切な情報提供がなかったという結果も出ており、このような状況が続くと一般用医薬品の不適正な使用による府民への健康被害の発生も懸念されます。

そのため、登録販売者の登録権限を持つ本府としても、府民の健康を守るため、登録販売者の資質向上等を図るべく、研修体制の構築や資質が不足した登録販売者への対応などの総合的な対策が必要と認識しております。

つきましては、「大阪府における登録販売者の資質向上対策等」について貴審議会のご意見の伺いたいと存じます。

 

諮問を受けた審議会としては、具体的には、「登録販売者の資質向上対策に関する専門委員会」を設置し、購入者への情報提供・相談対応のあり方、研修体制のあり方、資質が不足した登録販売者の取り扱いなどを審議する予定で、学識経験者、医療関係者、消費者代表、関係行政機関職員などから専門委員を選出し、7月下旬を目途に答申案をまとめる予定です。

 

 

2011/02/14(月) 00:00

滋賀県が県内の後発医薬品使用状況調査

政府は、患者負担の軽減や医療保険財政の改善の観点から後発医薬品の使用促進を進めており、平成1910月に「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」を策定しています。

滋賀県では、平成211月に、使用促進に向けた方針の策定を目的として、滋賀県後発医薬品安心使用促進協議会を設置して方策を検討してきましたが、昨年、県内における後発医薬品の使用状況を調査し、その結果を1月に発表しました。

協議会では、県民向けリーフレットや後発医薬品採用マニュアルを作成、配布し、普及啓発に努めてきましたが、その効果を検証し、県内における使用状況を把握することを目的としてアンケート調査を実施したものです。

後発医薬品の使用状況調査は国の方でも実施され、中央社会保険医療協議会(中医協:健康保険制度や診療報酬などについて審議する厚生労働大臣の諮問機関)で発表されていますが、滋賀県では2年に1度調査が実施されています。今回は、対象は県内の全病院(60施設)、全薬局(502施設)で、昨年101日から29日まで、郵送により調査しました。回答は、病院が55施設91.7%、薬局が390施設77.5%(非保険薬局6施設、休止中など3施設を含む)です。

その結果の概要は次の通りです。

(1)   後発医薬品の採用状況

病院=1病院当たりの後発医薬品採用品目数は、平成2012月と比べて94品目から119品目になり、採用医薬品に閉める後発医薬品の割合は10.7%から13.3%2.6ポイント増加している。

薬局=1薬局当たりの後発医薬品採用品目数は、平成2012月と比べて134品目から160品目になり、採用医薬品に閉める後発医薬品の割合は14.1%から16.2%2.1ポイント増加している。

   後発医薬品採用品目数が100品目に満たない薬局は28%(102施設)300品目を超える薬局は8.2%(30施設)であった。

(2)   後発医薬品の採用方針

病院=後発医薬品を「積極的に採用している」と回答した病院は40.0%であった。

   「積極的ではない」「どちらとも言えない」理由としては、「供給に不安がある」「メーカーの情報提供が不足している」「品質に不安がある」の回答が多く見られた。

薬局=後発医薬品を「積極的に採用している」と回答した薬局は60.3%であった。

   「積極的ではない」「どちらとも言えない」理由としては、病院と同様に、「供給に不安がある」の回答も見られたが、「患者の希望があまりない」「患者への説明に時間がかかるなど負担が多い」の回答が多かった。

(3)   後発医薬品への変更への取り組み

病院(回答数35)=病院における1ヶ月当たりの後発医薬品への変更可能処方せん枚数は、平成2012月と比べて、約23,000枚増加(30,447枚→53,321枚)しており、全処方せんに占める割合も46.4%から59.9%13.5ポイント増加している。

薬局(回答数374)=薬局において応需した1ヶ月当たりの後発医薬品への変更可能処方せん枚数は、平成2012月と比べて、155枚増加(435枚→590)しており、全処方せんに占める割合も41.8%から49.8%8.0ポイント増加している。

        実際に後発医薬品に変更した処方せん枚数は、1薬局当たり1ヶ月46枚から94枚に増加している。 

 

http://www.pref.shiga.jp/e/imuyakumu/generic/H22GEkekka.pdf

 

2011/02/10(木) 00:00

日本ジェネリック製薬協会が21年度ジェネリック医薬品シェア分析結果発表

日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は、21日、平成21年度のジェネリック医薬品シェア分析結果を発表しました。

 それによりますと、期間は平成214~平成223月の1年間で、シェアは数量(出荷数量)ベースで20.3%(20年度17.6%)、金額(薬価)ベースで8.5%20年度6.8%)となっています。

 ジェネリック医薬品の国内シェアの年次別推移を過去5年間で見ますと、17年度が数量17.1%、金額5.1%18年度が数量16.9%、金額5.7%19年度が数量17.2%、金額6.2%20年度が数量17.6%、金額6.8%21年度が数量20.3%、金額8.5%で、21年度より調査方法が変わっているため、単純な比較はできませんが、21年度に初めて数量ベースで20%を超えています。

 なお、21年度の詳細なデータを見ると、数量シェアでは、内用薬20.5%、注射薬23.5%、外用薬16.9%、全医薬品20.3%、金額シェアでは、内用薬8.4%、注射薬8.0%、外用薬10.2%、全医薬品8.5%です。

 また、22年度第1・四半期(4~6)のシェア(速報値:GE薬協の理事・監事会社等のデータ及び一部IMSのデータを基に推計)は、数量が22.4%、金額が9.2%となっています。

 

因みに、全国健康保険協会もジェネリック医薬品の使用についてデータを発表しています。

中小企業等で働く従業員やその家族が加入する健康保険(政府管掌健康保険)は、従来、国(社会保険庁)で運営していましたが、平成20101日、新たに全国健康保険協会が設立され、協会が運営することとなりました。その全国健康保険協会(協会けんぽ)は、毎月、月報に加入者数、保険給付費などの統計情報を掲載しています。

統計は一般と健康保険法第3条第2項被保険者に分けてまとめられていますが、一般分では、調剤レセプトの電子レセプトに限る数字を集計したものですが、21年度のジェネリック医薬品使用状況は数量ベースで18.3%、金額ベースで7.0%となっており、22年度の状況は、数量ベースで421.6%522.0%622.3%722.2%822.2%922.4%、金額ベースで48.0%58.2%68.3%78.3%88.3%98.3%です。また、10月のデータでは、数量ベースで22.7%、金額ベースで8.4%となっています。

 

 

2011/02/08(火) 00:00

調剤基本料の一元化など行政刷新会議規制・制度改革分科会が中間取りまとめ

行政刷新会議「規制・制度改革に関する分科会」は、126日に第6回の会議を開催し、医療などの分野に関する協議を行い、分科会の中間取りまとめを行いましたが、厚生労働省が取り組む制度改革事項として、調剤基本料の一元化、一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和などが挙げられています。

分科会は、規制・制度改革に関する調査を行うため、行政刷新会議に設置され、その中に、特定の分野に関して調査を行うため、環境・エネルギー分野の「グリーンイノベーションWG」、医療・介護分野の「ライフイノベーションWG」、そして「農林・地域活性化WG」が設置されています。

ライフイノベーションWGにおける改革に向けた基本的な考え方については、医療分野における制度改革の方向性として、「医療における地域主権の推進等を通じ、医療者の自立と主体的な経営を目指すとともに、医療資源の一層の適正配置と有効活用を図ることが必要」、「開かれた医療を実現し、グローバルゼーションの促進と国民からみて透明性の高い制度改革を進めることが必要」、「イノベーションにより、周辺産業も含め医療産業を成長させることで、国際競争力を強化し、質の高い医療を提供できる体制を構築することが必要」、とされています。

厚生労働省が所管する「ライフイノベーションWG」の規制・制度改革事項は、◇地域主権の医療への転換、◇病床規制の見直し、◇医療法人の再生支援・合併における諸規制の見直し、◇医師不足解消のための教育規制改革、◇救急救命士の職域拡大、◇医療行為の無過失補償制度の導入、◇高額療養費制度の見直し、◇医療保険におけるリハビリの日数制限の見直し、◇調剤基本料の一元化、◇ICDコーディングの改善と包括医療用病名マスターの編集、◇広告規制の緩和、◇希少疾病用医療機器の市場導入促進に向けた制度の整備、◇一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和、など38項目に及んでいます。

 

この中で、「調剤基本料の一元化」については、「保険薬局の調剤基本料は原則40点であるのに対して受付回数4,000回超・特定医療機関からの集中率70%超の薬局は24点となっているが、患者にとってその質的な差は認められないため、次期診療報酬改定で調剤基本料を24点に一元化することを検討する」とされています。

この問題に対するWGの基本的な考え方は、「40点の薬局と20点の薬局では質的な差は認められない。むしろ、疑義照会率及び調剤ミス発見率、更に時間に関する患者満足度などはいわゆる門前薬局の方が高いとの調査結果がある」とし、それであれば「平成22年度の診療報酬改定で病院と診療所の再診料が統一されたように、調剤基本料も統一し、一律240円にすべきである」としています。

 

また、「一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和」については、「販売履歴の管理、購入量の制限など、一定の安全性を確保しながらインターネット等で医薬品を販売するためのルールを制定する。同時に、店舗での販売においても、テレビ電話、FAX等を活用し、遠隔でも薬剤師からリアルタイムで情報提供を受けられる体制を確保している場合は、薬剤師、登録販売者の常駐義務を撤廃する」とされています。

この問題に対するWGの基本的な考え方は、「薬事法施行規則の施行により、これまで何ら問題となっていない販売形態が規制され、消費者の利便性の毀損、事業者間の公平性の阻害が発生している」とし、一方で、「一般用医薬品販売制度定着状況調査によれば、店舗で第一類医薬品を購入する際に文書を用いて詳細な説明があったのは50.5%にすぎず、19.8%は何ら説明がなかったなど、制度は定着していない状況が明らかになった」とし、「いかなる調査においても店舗による販売にインターネット、電話等の販売が劣後するというデータはなく、郵便等販売においても安全性の確保を前提としたIT時代にふさわしいルール作りは可能である」としています。

そして、「専門家により医薬品が適正に販売されている薬局・薬店においては郵便等販売規制を撤廃すべきであり、ルール化を急ぐべきである」とし、また「店舗での販売においては、有資格者を常駐させることは人件費コストを過大とするため、事実上医薬品の販売は、従来の業者に限られ、消費者の購買の機会を妨げている」などとしています。

更に、昭和35年の薬事法施行当時は「薬剤師が購入者に医薬品を手渡すこと」を想定しており、現在の情報機器などの進化は想像すらされていなかったこと、医薬品の専門家である薬剤師と双方向通信可能なテレビ電話・ファックス・デジタルコードなどを用いて意思疎通する販売体制を確立することを条件に常駐義務を撤廃することで、安全に一般用医薬品を販売することが可能になることを指摘しています。

2011/02/07(月) 00:00

中央社会保険医療協議会が事業仕分けに意見

中央社会保険医療協議会(中医協:健康保険制度や診療報酬などについて審議する厚生労働大臣の諮問機関)は、121日の第185回総会で、行政刷新会議事業仕分けにおける補助金廃止の議論に対して、意見をまとめました。

昨年1122日に実施された行政刷新会議事業仕分け第3弾においては、「医師確保、救急・周産期対策の補助金等」について、「診療報酬改定で対応可能な事業の廃止(中略)が結論」とされました。このことに対しては、1215日の第184回中央社会保険医療協議会総会でも議論され、批判や不満が出ましたが、121日の第185回総会において、遠藤久夫会長(学習院大学経済学部教授)が提出した原案を基に議論し、中央社会保険医療協議会としてメッセージをまとめたものです。この意見は蓮舫内閣府特命担当大臣と細川律夫厚生労働大臣宛に提出することとされています。

意見の内容は次の通りです。

1.       診療報酬と補助金は、それぞれ異なる特徴・役割を担い、その決定過程も異なるものである。

2.       診療報酬は、社会保障審議会において議論された基本方針を踏まえ、社会保険医療協議会法に基づき、中央社会保険医療協議会において、限られた保険財政の配分や個別の点数設定について、支払側、診療側及び公益を代表する者の三者が話し合い、厚生労働大臣の諮問に対し答申を行っている。

診療報酬の特徴としては、例えば、個々の診療行為に着目して支払われるため診療行為と関連の薄い施策への対応が難しい。財源の多くが保険料である、患者の窓口負担に影響を与える、などがあるが、診療報酬だけで現在の医療が抱える課題の全てを解決できるものではない。

3.       一方、補助金は、地域特性への配慮や使途の特定といった特性を持ち、それぞれの補助金ごとに支払い方法や目的がある。しかし、同じく医療機関等に支払われるという観点から、一律に診療報酬改定で対応可能な事業を廃止とすることは、単なる公費から保険料・患者負担への振替に過ぎない。

4.       中央社会保険医療協議会において、三者構成からなる委員が、特に対応が必要であるとされた分野について診療報酬で対応しているところであり、診療報酬で対応可能であるとみなして、それを理由に事業を廃止・削減しては、必要な医療を確保することができず、国民の立場からは望ましいものではない。

 

2011/02/03(木) 00:00