中央社会保険医療協議会が事業仕分けに意見
中央社会保険医療協議会(中医協:健康保険制度や診療報酬などについて審議する厚生労働大臣の諮問機関)は、1月21日の第185回総会で、行政刷新会議事業仕分けにおける補助金廃止の議論に対して、意見をまとめました。
昨年11月22日に実施された行政刷新会議事業仕分け第3弾においては、「医師確保、救急・周産期対策の補助金等」について、「診療報酬改定で対応可能な事業の廃止(中略)が結論」とされました。このことに対しては、12月15日の第184回中央社会保険医療協議会総会でも議論され、批判や不満が出ましたが、1月21日の第185回総会において、遠藤久夫会長(学習院大学経済学部教授)が提出した原案を基に議論し、中央社会保険医療協議会としてメッセージをまとめたものです。この意見は蓮舫内閣府特命担当大臣と細川律夫厚生労働大臣宛に提出することとされています。
意見の内容は次の通りです。
1. 診療報酬と補助金は、それぞれ異なる特徴・役割を担い、その決定過程も異なるものである。
2. 診療報酬は、社会保障審議会において議論された基本方針を踏まえ、社会保険医療協議会法に基づき、中央社会保険医療協議会において、限られた保険財政の配分や個別の点数設定について、支払側、診療側及び公益を代表する者の三者が話し合い、厚生労働大臣の諮問に対し答申を行っている。
診療報酬の特徴としては、例えば、個々の診療行為に着目して支払われるため診療行為と関連の薄い施策への対応が難しい。財源の多くが保険料である、患者の窓口負担に影響を与える、などがあるが、診療報酬だけで現在の医療が抱える課題の全てを解決できるものではない。
3. 一方、補助金は、地域特性への配慮や使途の特定といった特性を持ち、それぞれの補助金ごとに支払い方法や目的がある。しかし、同じく医療機関等に支払われるという観点から、一律に診療報酬改定で対応可能な事業を廃止とすることは、単なる公費から保険料・患者負担への振替に過ぎない。
4. 中央社会保険医療協議会において、三者構成からなる委員が、特に対応が必要であるとされた分野について診療報酬で対応しているところであり、診療報酬で対応可能であるとみなして、それを理由に事業を廃止・削減しては、必要な医療を確保することができず、国民の立場からは望ましいものではない。