調剤基本料の一元化など行政刷新会議規制・制度改革分科会が中間取りまとめ
行政刷新会議「規制・制度改革に関する分科会」は、1月26日に第6回の会議を開催し、医療などの分野に関する協議を行い、分科会の中間取りまとめを行いましたが、厚生労働省が取り組む制度改革事項として、調剤基本料の一元化、一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和などが挙げられています。
分科会は、規制・制度改革に関する調査を行うため、行政刷新会議に設置され、その中に、特定の分野に関して調査を行うため、環境・エネルギー分野の「グリーンイノベーションWG」、医療・介護分野の「ライフイノベーションWG」、そして「農林・地域活性化WG」が設置されています。
ライフイノベーションWGにおける改革に向けた基本的な考え方については、医療分野における制度改革の方向性として、「医療における地域主権の推進等を通じ、医療者の自立と主体的な経営を目指すとともに、医療資源の一層の適正配置と有効活用を図ることが必要」、「開かれた医療を実現し、グローバルゼーションの促進と国民からみて透明性の高い制度改革を進めることが必要」、「イノベーションにより、周辺産業も含め医療産業を成長させることで、国際競争力を強化し、質の高い医療を提供できる体制を構築することが必要」、とされています。
厚生労働省が所管する「ライフイノベーションWG」の規制・制度改革事項は、◇地域主権の医療への転換、◇病床規制の見直し、◇医療法人の再生支援・合併における諸規制の見直し、◇医師不足解消のための教育規制改革、◇救急救命士の職域拡大、◇医療行為の無過失補償制度の導入、◇高額療養費制度の見直し、◇医療保険におけるリハビリの日数制限の見直し、◇調剤基本料の一元化、◇ICDコーディングの改善と包括医療用病名マスターの編集、◇広告規制の緩和、◇希少疾病用医療機器の市場導入促進に向けた制度の整備、◇一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和、など38項目に及んでいます。
この中で、「調剤基本料の一元化」については、「保険薬局の調剤基本料は原則40点であるのに対して受付回数4,000回超・特定医療機関からの集中率70%超の薬局は24点となっているが、患者にとってその質的な差は認められないため、次期診療報酬改定で調剤基本料を24点に一元化することを検討する」とされています。
この問題に対するWGの基本的な考え方は、「40点の薬局と20点の薬局では質的な差は認められない。むしろ、疑義照会率及び調剤ミス発見率、更に時間に関する患者満足度などはいわゆる門前薬局の方が高いとの調査結果がある」とし、それであれば「平成22年度の診療報酬改定で病院と診療所の再診料が統一されたように、調剤基本料も統一し、一律240円にすべきである」としています。
また、「一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和」については、「販売履歴の管理、購入量の制限など、一定の安全性を確保しながらインターネット等で医薬品を販売するためのルールを制定する。同時に、店舗での販売においても、テレビ電話、FAX等を活用し、遠隔でも薬剤師からリアルタイムで情報提供を受けられる体制を確保している場合は、薬剤師、登録販売者の常駐義務を撤廃する」とされています。
この問題に対するWGの基本的な考え方は、「薬事法施行規則の施行により、これまで何ら問題となっていない販売形態が規制され、消費者の利便性の毀損、事業者間の公平性の阻害が発生している」とし、一方で、「一般用医薬品販売制度定着状況調査によれば、店舗で第一類医薬品を購入する際に文書を用いて詳細な説明があったのは50.5%にすぎず、19.8%は何ら説明がなかったなど、制度は定着していない状況が明らかになった」とし、「いかなる調査においても店舗による販売にインターネット、電話等の販売が劣後するというデータはなく、郵便等販売においても安全性の確保を前提としたIT時代にふさわしいルール作りは可能である」としています。
そして、「専門家により医薬品が適正に販売されている薬局・薬店においては郵便等販売規制を撤廃すべきであり、ルール化を急ぐべきである」とし、また「店舗での販売においては、有資格者を常駐させることは人件費コストを過大とするため、事実上医薬品の販売は、従来の業者に限られ、消費者の購買の機会を妨げている」などとしています。
更に、昭和35年の薬事法施行当時は「薬剤師が購入者に医薬品を手渡すこと」を想定しており、現在の情報機器などの進化は想像すらされていなかったこと、医薬品の専門家である薬剤師と双方向通信可能なテレビ電話・ファックス・デジタルコードなどを用いて意思疎通する販売体制を確立することを条件に常駐義務を撤廃することで、安全に一般用医薬品を販売することが可能になることを指摘しています。