令和2年度薬価調査の実施の見送りを要望 日本医師会・歯科医師会・薬剤師会
日本医師会・歯科医師会・薬剤師会は、6月10日に合同記者会見を行い、令和2年度薬価調査の実施の見送りについて要望しました。
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政府より発出された新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は、令和2年5月25日に全都道府県で解除されましたが、この未知なる感染症は長期的な知応・対策が必要であるとともに、今後は「次なる波に備えた安全・安心のためのビジョン」の方向性にしたがって、早急に医療提供体制の確保や感染予防対策などの強化に取り組んでいかなければなりません。
このような中、来年度に実施予定の薬価改定のためには本年秋に薬価調査を行い、市場実勢価格を把握する必要がありますが、医薬品の販売側である医薬品メーカーと医薬品卸業者、ならびに、購入側である医療機関と薬局においては、新型コロナウイルス感染症の発生への対応を最優先に総力戦で対応しているところであります。
医薬品卸業者においては、本日の中医協薬価専門部会で意見表明があったように、感染防止のため通常とは異なる配送体制を組んでおり、昨年と同様の医薬品流通の状態にはありません。そのため、医療機関および薬局においては、医薬品購入に係る価格交渉ができていない状況です。そして、今後も当面の間、そのような状況は続くものと予想されます。
平成28年12月に四大臣合意により「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」がとりまとめられ、市場実勢価格を薬価に反映して国民負担を抑制するために毎年薬価調査を行うこととなりました。しかしながら、現在の状況では、販売側・購入側とも薬価調査を実施できるような環境にあるとはいえず、仮に調査を実施しても、薬価改定に必要な適切な市場実勢価格を把握することは極めて困難です。また、新型コロナウイルス感染症への対応並びに感染拡大防止に医療現場全体で最大限取り組んでいるこの時期に、医薬品卸や医療機関・薬局に対し、調査に伴う事務作業負担を強いることはすべきではありません。
以上のような状況を踏まえ、来年度の薬価改定のための薬価調査につきましては、その実施を見送っていただくことを要望いたします。