がん患者と家族に対する緩和ケア提供の現況調査結果を公表 厚生労働省
厚生労働省は、4月25日、「がん患者と家族に対する緩和ケア提供の現況に関する調査」の結果を公表しました。
終末期に限らず、がんなどと診断された時から患者と家族のあらゆる苦痛を和らげ、生活の質を向上させるための「緩和ケア」を提供する病院について、調査結果を取りまとめたものです。
今回の調査は、効果的な取り組みを自治体や医療機関などに情報提供することを目的に、「地域がん診療連携拠点病院」の中で、緩和ケアを提供する体制に工夫がされている5つの病院を対象として実施したものです。
地域がん診療連携拠点病院は、二次医療圏内において、全国で等しく専門的な質の高いがん医療を提供するため、がん診療の連携体制構築や患者と家族の相談支援を実施、がんの診療体制や診療実績などの要件に基づき、全国で348の病院(平成29年4月1日現在)が指定されています。
今回対象となった5つの病院は、日本海総合病院(山形県酒田市)、川崎市立井田病院(神奈川県川崎市)、聖隷三方原病院(静岡県浜松市)、市立豊中病院(大阪府豊中市)、松江市立病院(島根県松江市)です。
【調査結果のポイント】
1. 患者の各状況(診断・通院・入院・退院・在宅療養時)に応じた支援体制を構築
・「がん看護外来」-告知を受けた早期から専門知識を持つ看護師が相談対応
・「緩和ケア外来」-化学療法など積極的治療の段階から痛みを緩和
・「緩和ケアチーム」-患者と家族の心身の苦痛に多職種が対応
・「緩和ケア病棟」-患者が自分らしく過ごせるよう環境に配慮
・「在宅ケア体制」-退院後に在宅で療養する患者を緩和ケア医師が訪問診療
2.「がん相談支援センター」において各種の取り組みを実施
治療・療養、経済面、就労などに関する患者と家族の悩みに相談員が無料で対応
・「がんサロン」「患者会」-がんの患者と家族が情報交換し気持ちを共有
・「アピアランスケア」-がんの治療に伴う外見の変化への悩みに対応
厚生労働省では、今回の報告書は事務連絡やホームページへの掲載を行い、がん対策を推進する自治体や医療関係者などへ情報提供します。また、こうした情報提供を通じて、緩和ケアが「よりよく生きるひとつの方法」との理解が国民に広まることを期待しています。