バイエル薬品は、2月24日、中学生向けがんの特別授業「生きるの教室」アンケート調査結果として、中学生935名を対象にがん教育の効果を検証する調査結果を発表しました。自治体主催の自走式授業の生徒への教育効果と改善の必要性が明らかになりました。
バイエル薬品は、2011年より5年間にわたり、がんの予防と治療の啓発を通じ、生きることの意義をより深めてもらうことを目的に、特別授業「生きるの教室」を実施してきました。かねてよりがん教育に取り組んでいる東京大学医学部附属病院放射線科准教授/緩和ケア診療部長の中川恵一先生を講師として学校現場での継続的な実践経験は、がん教育の先駆けとして評されています。これまでの「生きるの教室」を通して示された生徒たちへの顕著な学習効果は、厚生労働省のがん対策推進協議会や文部科学省の検討会で発表され、国のがん教育の具体的な推進に影響を与えてきました。
昨年は、本内容を踏襲する形で、バイエル薬品がサポートし、自治体主導の自走式授業に取り組みました。大阪府、滋賀県、高知県の3府県の中学校を対象に、まずはモデル授業実施校(各府県1校計3校)にて、医療関係者やがん経験者の招聘など一部をバイエル薬品が支援し、その後、自走式(各府県2校計6校)にて授業を実施しました。
なお、自治体主導による「医療関係者・がん経験者を招いての授業」の実施は、2014年に「がんに関する教育のあり方に関する検討会」を設置した文部科学省でも推進されており、バイエル薬品ではその効果を検証すべく、受講した中学生935名を対象にアンケートを実施しました。
調査の主な結果は以下の通りです。
●自走式授業実施校(6校)において、受講前後で、「がんの正しい知識の促進」、「がんの自分ごと化」、「がんについて家族と話すきっかけづくり」に対する、中学生の意識・行動が有意に上昇
1-1生徒の「がん」に対する正しい理解を促進:がんに対するイメージは
「予防ができる病気」受講前24%、受講後54%
「生活習慣が原因の1つとして考えられる病気」受講前29%、受講後68%
「早期に発見すれば治る」受講前67%、受講後84%
1-2生徒が「がん」の自分ごと化を促進
「がんについて考えたことがある」受講前51%、受講後69%
1-3生徒が家族と「がん」について話題にするきっかけを提供
「がんについて家族と話したことがある」受講前40%、受講後43%
「がんについて家族と話したことがない」受講前60%、受講後57%
1-4「がん」検診を受けることの大切さの理解を促進
「家族にがん検診を進めたことがある」受講前13%、受講後24%
●自走式授業校よりもモデル授業校(3校)の方が、中学生の受講後意識・行動変容は高まる結果に
2-1生徒の「がん」に対する正しい理解を促進:がんに対するイメージは
「予防ができる病気」モデル授業70%、自走式授業53%
「生活習慣が原因の1つとして考えられる病気」モデル授業81%、自走式授業67%
「早期に発見すれば治る」モデル授業90%、自走式授業83%
2-2生徒の「がん」の自分ごと化の促進度
「がんについて考えたことがある」モデル授業73%、自走式授業68%
2-3生徒が家族と「がん」について話題にすることの促進度
「がんについて家族と話したことがある」モデル授業58%、自走式授業43%
「がんについて家族と話したことがない」モデル授業42%%、自走式授業57%
「生きるの教室」:「日本のバイエル設立100周年企画」の社会貢献活動として2011年より開始しました。日本の未来を担う子どもたちに、命の大切さを伝え、がんの予防、早期発見の重要性と治療の啓発を通じて、生きる力を育むことを目的とした意見創発型授業で、2011年の開始以降、全国の中学生を対象にパイロット校を2015年までに合わせて24校(約2,790名)で実施しました。「生きるの教室」は、医師や患者会などから、がん教育の先駆けとして、国の議論の一つの流れを作る取り組みを行ったと評価されているほか、活動初年度より、日本癌治療学会学術総会で継続的にシンポジウムのテーマとしても取り上げられています。
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