ポイントカード政府答弁書で日本薬剤師会が見解
日本薬剤師会は、12月3日、「保険調剤におけるポイントカードに関する政府答弁書」に対する見解をまとめ、都道府県薬剤師会会長宛に連絡しました。
これは、藤井基之参議院議員(薬剤師)の質問主意書(11月19日付)に対して、11月30日に政府答弁書が出され、これについて日本薬剤師会が見解をまとめたものです。
質問は、①一部の多店舗展開の保険薬局が、保険調剤の一部負担金の支払に対してポイントを提供していることを把握しているか、②保険薬局を利用してポイントを提供された者が、当該保険薬局又は関連保険薬局において保険調剤の一部負担金の支払に当たってポイントを充てて減額を求めることは認められないと考えるが政府見解を示せ、③保険調剤で一部負担金の支払額に応じてポイントを提供された者が、次回以降に保険調剤の一部負担金の支払以外にポイントを使用することは、患者にとって費用負担の減額の効果を与えることになり、結果として保険調剤の一部負担金の減額に当たると考えられるが政府見解を示せ、など健康保険法との関連や公的医療保険制度を含めて6項目にわたっています。
これに対して、政府答弁書は、健康保険法にはポイント提供・使用を規制する規定はないが、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則において、健康保険法の規定による一部負担金等の支払いを受けるものとされ、減額は許されないことから、ポイントの提供・使用が一部負担金の減額に当たる場合は規定に違反することとしていますが、質問にある「保険医療の質の低下」を招いたり、「公的医療保険制度の根幹を揺るがすことに繋がる」とは考えにくい、と答弁しています。
この問題に関して、日本薬剤師会では、従前から「保険調剤におけるポイントカードの利用については、一部負担金の支払時にポイントを充てて減免することはもちろん、ポイント付与(提供)の対象とすることは認められない」と表明しており、先に都道府県薬剤師会に通知していますが、今回の政府答弁に対しては「これまで厚生労働省が口頭で説明してきた考え方が改めて示されたもの」とする一方で、「国民皆保険制度は国民の税金や保険料等を財源として運用されるもので、一般的な商取引と同一視することは医療保険制度の根幹を揺るがしかねない」とし、一部負担金の支払時にクレジットカードの使用が認められていることから、今回のポイントカードとクレジットカード会社から提供されるポイントサービスが同様であるとの指摘があることも紹介し、「クレジットカード会社の提供するポイントサービスが、同会社と契約者(患者)との関係であることに対して、保険薬局のポイントカードを介して提供されるポイントサービスは、保険医療提供者と患者との関係であるという点で大きな違いがある」と指摘しています。
そのうえで「保険調剤を対象とするポイントカードを介して行われるポイントの提供及び使用は、ともに一部負担金の減免に当たる認識としており、保険調剤に携わる者として保険薬局及び保険調剤は、保険調剤におけるポイントサービスの提供は厳に慎むべき行為である」と力説しています。