matsuda's blog

2022年7月

下肢閉塞性動脈硬化症患者の弾性ストッキング着用で医療安全情報 日本医療機能評価機構

公益財団法人日本医療機能評価機構は、715日、医療事故情報収集等事業 医療安全情報No.188下肢閉塞性動脈硬化症の患者の弾性ストッキングの着用」を提供しました。

下肢閉塞性動脈硬化症の患者に弾性ストッキングを着用させた事例が7件報告されています(集計期間:201811~2022531日)。そのうち6件は、着用後に下肢に虚血症状を生じています。この情報は、第48回報告書「個別のテーマの検討状況」で取り上げた内容をもとに作成しました。「下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の患者に弾性ストッキングを着用させ、影響があった事例が報告されています。」

<弾性ストッキングを着用させた主な背景>

患者のASOの把握不足:医師・看護師は診療録を確認しておらず、患者がASOであることを把握していなかった。

知識不足:医師・看護師は、ASOの患者が弾性ストッキングを着用することのリスクを知らなかった。看護師は、ASOの患者に弾性ストッキングの着用が禁忌であるという知識がなかった。

着用の可否の未検討:医師・看護師は、弾性ストッキングの着用の可否を検討していなかった。看護師は、術前は弾性ストッキングを着用させると思っていた。

事例1:初療を担当した救急科の医師は、救急搬送された患者にASOがあることを把握し、診療録に記載した。入院後、消化器科の主治医は初療時の診療録を把握しておらず、弾性ストッキングの着用を指示した。看護師も、初療時の診療録を確認しておらず、患者に弾性ストッキングを着用させた。3日後、患者が足の痛みを訴え、確認したところ足趾の付け根に発赤を認めた。

事例2:内科主治医は、患者に左下肢深部静脈血栓症を認めたため循環器科にコンサルトした。その際、患者がASOであることを伝えなかった。循環器科医師は、弾性ストッキングを着用させるよう回答した。主治医・看護師は、ASOの患者が弾性ストッキングを着用することのリスクを知らず、着用させた。4日後、看護師が患者の左下肢の皮膚が暗赤色となっていることに気付いた。

<事例が発生した医療機関の取り組み>

・医師・看護師は、患者に弾性ストッキングを着用させる前にASOの既往がないか確認する。

・医師・看護師は、弾性ストッキングの添付文書の【警告】【禁忌・禁止】を確認し、着用の可否を検討する。

 

https://jcqhc.or.jp/

2022/07/15(金) 15:12

薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループのとりまとめを公表 厚生労働省

厚生労働省は、711日、「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」のとりまとめ「薬剤師が地域で活躍するためのアクションプラン」を公表しました

同ワーキンググループは、令和36月の「薬剤師の養成及び資質向上に関する検討会」のとりまとめにおいて抽出された薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関する課題の検討を行うことなどを目的として開催されたもので、薬局薬剤師の業務及び薬局の機能のあり方や具体的な対応の方向性(アクションプラン)を取りまとめたものです。

厚生労働省では、関係者とも連携のうえ、取りまとめに記載された具体的な対策(アクションプラン)を踏まえ、検討を進めていく予定です。

<とりまとめ概要>

◇基本的な考え方

①対人業務の更なる充実:処方箋受付時以外の対人業務の充実が必要。また、対物業務を含む対人業務以外の業務の効率化が不可欠。

ICT化への対応:各種医療情報を活用して、薬局薬剤師DXを実現していくことが必要。

③地域における役割:地域全体で必要な薬剤師サービスについて、地域の薬局全体で提供していくという観点が必要。

◇具体的な対策(アクションプラン)

1.対人業務の充実

〇処方箋受付時以外の対人業務(①調剤後のフォローアップの強化、②医療計画における5疾病、③調剤レビュー、④リフィル処方箋への対応等)を推進すべき。

〇好事例を均てん化するための方策や課題の収集、分析を行うべき。

2.対物業務の効率化

〇調剤業務の一部外部委託、処方箋の40枚規制、院外処方箋に関する問合わせの簡素化等の議論。

〇調剤業務の一部について、とりまとめの内容を踏まえて具体的な安全基準等を検討する。

委託可能な業務:一包化(直ちに必要とするものを除く)、委託先:同一3次医療圏内の薬局

3.薬局薬剤師DX

〇薬局薬剤師DXの先進的な取組について、好事例の共有が必要。

〇データ連携基盤の構築を進めていくことが必要。

〇薬局以外の場所でのオンライン服薬指導を可能とする方向で検討。

4.地域における薬剤師の役割

〇他職種や病院薬剤師との連携:①退院時のカンファレンス等への参加の促進、②他の医療提供施設への情報の発信等。

〇健康サポート業務の推進のための取組:健康サポート機能のエビデンスの収穫・周知や自治体等と連携した取組等。

〇薬局間連携:薬局間を調整するまとめ役の薬局について、地域連携薬局の拡充又は発展形(機能強化型)で検討を進めることでどうか。

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26701.html
2022/07/11(月) 16:56

令和2年患者調査の結果を公表 厚生労働省

厚生労働省は、630日、令和2年(2020)患者調査(確定数)の結果を公表しました。

患者調査は、医療施設を利用する患者について、その傷病の状況などを調査し、今後の医療行政の基礎資料を得ることを目的としています。調査は3年ごとに実施しており、今回は、全国の医療施設のうち、病院6,284施設、一般診療所5,868施設、歯科診療所1,277施設を抽出し、これらの施設を利用した入院・外来患者約211万人、退院患者約104万人が対象となりました。入院・外来患者は令和210月の医療施設ごとに指定した1日、退院患者は令和29月の1か月間を調査期間としました。

令和2年調査については、新形コロナウイルス感染症の影響下であること、総患者数については推計方法の見直しを、退院患者の平均在院日数及び在院期間については算出に必要な入院年月日に所要の対応を行っています。

【調査結果のポイント】

◇推計患者数

調査日に全国の医療施設で受療した推計患者数は、「入院」1,211.3千人「外来」7,137.5千人である。

(1)    施設の種類・性・年齢顔級別

「入院」1,211.3千人について、施設の種類別にみると、「病院」1,177.7千人、「一般診療所」33.6千人、性別にみると、「男」558.6千人、「女」652.8千人、年齢階級別にみると、「65歳以上」904.9千人、「70歳以上」805.5千人、「75歳以上」663.6千人となっている。

「外来」7,137.5千人について、施設の種類別にみると、「病院」1,472.5千人、「一般診療所」4,332.8千人、「歯科診療所」1,332.1千人、性別にみると、「男」3,050.0千人、「女」4,087.5千人、年齢階級別にみると、「65歳以上」3,616.8千人、「70歳以上」2,963.9千人、「75歳以上」2,077.3千人となっている。

  推計患者数の年次推移をみると、入院では平成20年から減少しており、外来では平成23年からほぼ横ばいとなっている。

 年齢顔級別にみると、入院ではいずれの年齢でも平成29年に比べ減少しており、外来では平成23年以降ほぼ横ばいとなっている。

(2)    傷病分類別

推計入院患者数を傷病分類別にみると、多い順に「精神及び行動の障害」236.6千人、「循環器系の疾患」198.2千人、「損傷、中毒及びその他の外因の影響」134.5千人となっている。

推計外来患者数では、多い順に「消化器系の疾患」1,270.8千人、「健康状態に影響を及ぼす要因及び保険サービスの利用」1,001.3千人、「筋骨格系及び結合組織の疾患」906.0千となっている。

(3)    在宅患者の状況

調査日に在宅医療を受けた推計外来患者数は173.6千人であり、これを施設の種類別にみると、「病院」22.3千人、「一般診療所」110.3千人、「歯科診療所」40.9千人となっている。

在宅医療の種類別にみると、総数では「往診」52.7千人、「訪問診療」105.7千人、「医師・歯科医師以外の訪問」15.2千人となっている。

年次推移をみると、在宅医療を受けた推計患者数は、平成20年からは増加しているが、令和2年では減少している。

(4)    入院(重症度等)の状況

入院(重症度等)の状況をみると、「生命の危険がある」5.6%、「生命の危険は少ないが入院治療を要する」76.7%、「受け入れ条件が整えば退院可能」11.6%、「検査入院」0.9%となっている。

◇受療率

全国の受療率(人口10万対)は、入院960、外来5,658である。

1)性・年齢顔級別

性別にみると、入院では「男」910、「女」1,007、外来では「男」4,971、「女」6,308となっており、年齢階級別にみると、入院では「65歳以上」2,512、「70歳以上」2,899、「75歳以上」3,658、外来では「65歳以上」10,045、「70歳以上」10,665、「75歳以上」11,167となっている。

(2)傷病分類別

傷病分類別にみると、入院では、高い順に「精神及び行動の障害」188、「循環器系の疾患」157、「損傷、中毒及びその他の外因の影響」107となっている。外来では、「消化器系の疾患」1,007、「健康状態に影響を及ぼす要因及び保険サービスの利用」794、「筋骨格系及び結合組織の疾患」718となっている。

3)都道府県別

都道府県(患者住所地)別にみると、入院では「高知」が1,897と最も高く、次いで「鹿児島」1,810、「長崎」1,679となっている。また「神奈川」が654と最も低く、次いで「東京」669、「愛知」695となっている。

外来では、「香川」が6,729と最も高く、次いで「佐賀」6,599、「山形」6,353となっている。また、「沖縄」が4,393と最も低く、次いで「石川」4,656、「千葉」4,829となっている。

◇退院患者の平均在院日数

1)施設の種類・年齢顔級別

令和29月中の全国の退院患者について、在院日数の平均である平均在院日数を施設の種類別にみると、「病院」33.3日、「一般診療所」19.0日となっている。

年齢階級別にみると、「65歳以上」が最も長くなっている。

2)傷病分類別

退院患者の平均在院日数を傷病分類別にみると、長い順に「精神及び行動の障害」294.2日、「神経系の疾患」83.5日、「循環器系の疾患」41.5日となっている。

3)推計退院患者数の構成割合

退院患者の在院期間別に推計退院患者数の構成割合をみると、病院は「014日」が66.8%、「1530日」16.2%、一般診療所は「014日」が81.4 %、「1530日」が8.5%となっている。

◇入院前の場所・退院後の行き先

入院前の場所についてみると、推計退院患者1,340.9千人のうち「家庭」が87.0%となっている。

また、退院後の行き先についてみると、「家庭」が82.4%となっている。

◇傷病分類別の総患者数

総患者数を傷病分類別でみると、多い順に「循環器系の疾患」20,411千人、「消化器系の疾患」17,619千人、「内分泌、栄養及び代謝疾患」11,479千人となっている。

 

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/index.html

 

2022/07/01(金) 16:51