耐性

どうやら梅雨入りしたらしいですね。今週も数日雨が降る予報になっています。梅雨が明ければ夏。もうすぐですね。子供達はセミの出現を心待ちに、毎週バッタを取りに公園に行っています。最初は少し『ええわ~…』と敬遠していたバッタも見慣れてしまうと意外と耐性がつくものですね(笑)

さて、今回はそんな『耐性』の話を少し。皆さんはAMR、薬物耐性という言葉をご存知でしょうか?私達が風邪の時や、ケガした時に服用する機会の多い、抗生物質。この抗生物質は細菌をやっつける為に飲みます。だいたいの細菌は抗生物質でやられてしまいますが、中には抗生物質が効きにくい細菌もいます。その抗生物質が効きにくい細菌を薬物耐性化した細菌といいます。

たとえばこんな経験はありませんか?3日間もらった抗生物質を1日分で止めてしまったり、本当は1日3回服用しないといけないのに1日1回しか飲まなかったり。耐性を持った細菌もある一定の期間しっかり量を飲むことで倒すことができるのですが、中途半端な薬の飲み方をするとしっかりやっつけることができません。すると耐性を持った細菌が生き残り体に悪さをしてしまう可能性もあるのです。つまりずっと同じ抗生物質を服用していると、その抗生物質が効かない細菌が体の中で悪さをする可能性があるのです。

近年、抗生物質が開発され、様々な細菌をやっつけることができるようになった反面、その抗生物質が効かない耐性を持った細菌がいろいろな国で問題になっています。そして抗生物質も無限にあるわけではありません。それに新しい抗生物質の開発も進んでいないのが現状です。なので薬物耐性菌を作らないこと、もし感染した際には効果がある抗生物質を残しておくことも大事になってきます。もちろんうつらないように予防することは大前提です。

最近では『適正に抗生物質を使用しましょう。』と病院でも必要がなければ安易に抗生物質を処方しないようになってきています。患者さんの中には風邪の時には抗生物質が必要、その抗生物質を処方してくれない先生は、悪い先生と言われる方もいます。しかし、風邪でも抗生物質が効果がない、必要がない場合には飲まないほうが耐性菌を作らないので今後のことを考えると一番良い選択とも言えるわけです。ちなみにほとんどの風邪の原因はウイルスなので細菌をやっつける抗生物質は効かないことも知っておいてください。