公益財団法人日本医療機能評価機構は、8月30日、「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」の平成22年年報を公表しました。
ヒヤリ・ハット事例収集の開始は平成21年4月であったため、平成21年年報は4~12月分の事例1,460件を集計したものですが、今回は、1~12月の1年分を集計し、更に事例数も12,904件と増えています。その意味では、22年年報は初めての本格的な年報と言えます。
平成22年は12,904件のヒヤリ・ハット事例の報告がありましたが、報告件数は事例収集後着実に増加し、7月にはひと月あたりの報告件数が過去最高の2,051件となりました。その後、減少傾向となり、現在では毎月600~1,000件となっていますが、記述項目内容は、発生した事実がより判りやすく書かれていたり、事例の背景や要因をより深く分析した内容が書かれている事例があるなど、報告内容の質が高まってきています。参加薬局数も増加傾向が続いていますので、今後更に質の高い報告の件数が増していくものと期待されています。
報告の現況を見ますと、事業参加薬局数は3,449(平成22年12月31日現在)で、登録件数の推移を新規事業参加薬局数でみると、1月73、2月197、3月201、4月340、5月88、6月171、7月176、8月102、9月67、10月89、11月110、12月70となっています。都道府県別事業参加薬局数は、北海道426、東京都251、神奈川県212、新潟県202、静岡県151、福岡県142、山口県126、福島県108、栃木県104、大阪府100などです。
総報告件数は、事業参加薬局3,458、このうち報告のあった薬局582で公表件数は12,904件で、月別に見ますと、1月が1,847薬局140件、2月が2,044薬局186件、3月が2,244薬局475件、4月が2,582薬局1,023件、5月が2,670薬局1,519件、6月が2,841薬局1,646件、7月が3,014薬局2,051件、8月が3,116薬局1,745件、9月が3,183薬局1,280件、10月が3,272薬局966件、11月が3,380薬局955件、12月が3,449薬局918件となっています。
報告された12,904件のうち、実際に薬を患者に交付した「実施あり」の事例は2,002件15.3%で、そのうち、その後、患者が「軽微な治療」を要した事例は168件1.3%でした。実施あり・治療なし880件6.8%、実施あり・不明954件7.4%です。
事例の概要は、「調剤」に関するものが12,222件94.7%で、医師へ「疑義照会」を行った事例は656件5.1%、特定保険医療材料が23件0.2%となっており、平成21年には報告がなかった「医薬品の販売」が3件0.0%でした。調剤に関する項目は、数量違い4,877件、規格・剤型間違い1,614件、薬剤取り違え1,372件、調剤忘れ701件、薬袋の記載間違い677件、分包間違い335件などです。その他(調剤)として報告された事例は2,249件ですが、レセプト用コンピュータの入力間違いに関する事例が多数でした。
発見者は、「同職種者」が8,007件62.1%で最も多く、「他職種者」が3,014件23.4%、「当事者本人」が1,262件9.8%、「患者本人」が431件3.3%、「家族・付き添い」が150件1.2%で、患者本人や家族、付き添いの人が気付いた事例が581件4.5%でした。当事者は薬剤師が11,770件63.4%、登録販売者が407件2.2%、事務員が6,182件33.3%となっています。
詳細は、機構のホームページで参照できます。
http://jcqhc.or.jp/