薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業「共有すべき事例」を公表 日本医療機能評価機構
公益財団法人日本医療機能評価機構は、10月26日、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業「共有すべき事例」2023年NO.10を公表しました。
「秤量間違い」
事例の詳細:小児の患者にサワシリン細粒10% 1日6g1日3回毎食後が処方された。患者家族が後発医薬品を希望したため、入力者はレセプトコンピュータにワイドシリン細粒20% 1日3gと入力した。調製者は、調剤指示書を見て、取りそろえる薬剤をワイドシリン細粒に変更することを確認したが、含量規格が20%の製剤へ変更されていることに気付かず、ワイドシリン細粒20%を処方箋に記載された1日6gで秤量した。監査者が、調製されたワイドシリン細粒20%の1日量の力価が処方量の2倍になっていることに気付き、調製者に再調製するよう伝えた。
「背景・要因」
薬剤師歴が1年目の調製者は、サワシリン細粒からワイドシリン細粒に変更して調剤する際に含量規格が異なる製剤へ変更が可能であることを知らず、同じ10%の製剤だと思って調製した。また、薬剤棚に注意喚起を促す「含量規格注意」などの掲示がされていなかった。
「薬局から報告された改善策」
複数の規格が販売されている薬剤のうち、注意が必要な薬剤の棚に「含量規格注意」の札を付けた。
「レスキュー薬の投与量」
事例の詳細:患者にオキシコドン徐放カプセル5㎎ 1日1カプセル1日2回7日分とオキノーム散5㎎ 1回1包疼痛時20回分が初めて処方された。通常、オキノーム散をレスキュー薬として使用する際の1回量は定時投与するオキシコドン塩酸塩経口製剤の1日量の1/8~1/4であるが、処方されたオキノーム散の1回量が、オキシコドン徐放カプセルの1日量の1/2であることに処方監査時に気付いた。レスキュー薬の用量について疑義照会を行った結果、オキノーム散2.5㎎に変更になった。
「推定される要因」
処方医は、処方を入力する際、規格を確認しなかった可能性がある。
「薬局での取り組み」
調剤を適切に行うために、日頃から薬剤に関する知識を深めておく。初めて取り扱う薬剤を調剤する際は、添付文書やインタビューフォームを確認する。処方内容に疑義が生じた場合は処方医に確認する。
<疑義照会・処方医への情報提供>
「患者の生活状況(自動車の運転)」
事例の詳細:鼻汁が出るため医療機関を受診した患者に【般】オロパタジン塩酸塩錠5㎎ 1回1錠1日2回朝・就寝前が処方された。患者から、自動車の運転を行う仕事に就いていることを聴取した。オロパタジン塩酸塩錠5㎎「ZE」の添付文書に「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の捜査には従事させないよう十分注意すること。」と記載があるため、処方医に疑義照会を行った。その結果【般】フェキソフェナジン塩酸塩錠60㎎ 1回1錠1日2回朝夕食後に変更になった。
「推定される要因」
医療機関で患者の具体的な生活状況まで聴取していなかった可能性がある。
「薬局での取り組み」
初回来局時に新規患者アンケートを用いて生活状況の確認を行っているが、その後も定期的に確認し、患者情報を更新する。自動車の運転等に注意が必要な薬剤が処方された際は、その都度、自動車の運転等を行う可能性があるか確認する。
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