バッグ型キット製剤の隔壁の未開通で医療安全情報 日本医療機能評価機構
公益財団法人日本医療機能評価機構は、9月15日、医療事故情報収集等事業
医療安全情報No.202「バッグ型キット製剤の隔壁の未開通」を提供しました。
バッグ型キット製剤の隔壁を開通しないまま患者に投与した事例が報告されています。2020年1月1日~2023年7月31日に26件の事例が報告されています。この情報は、第72回報告書「事例紹介」で取り上げた内容をもとに作成しました。
<バッグ型キット製剤の隔壁の未開通>
事例1:日勤看護師A は、ビーフリード輸液を外装から取り出し、隔壁を開通せずに「開通確認」のカバーを外した。ナースコールがあり、患者対応のため作業を中断した。看護師A は輸液の準備を再開し、ビーフリード輸液にアスパラカリウム注10mEqを混注した。その後、看護師Aは「開通確認」のカバーが外れているため開通済みと思い込み、準備した輸液の投与を開始した。夜勤看護師Bがビーフリード輸液の隔壁が開通していないことに気付いた。
事例2:看護師Aは、メロペネム点滴静注用バッグ1gを準備する際、上室のカバーシートと一緒に開通確認シールを剝がした。カバーシートとシールを剝がしたことで、準備ができたと思い込み、隔壁を開通しなかった。看護師Aは準備した薬剤の投与を開始した。その後、看護師Bがメロペネム点滴静注用バッグ1gの隔壁が開通していないことに気付いた。
主な背景
・バッグ型キット製剤を外装から取り出したことで準備は終了したと思い込み、隔壁の開通を失念した。
・バッグ型キット製剤を外装から取り出した後、隔壁の開通は投与直前にする予定であったが忘れた。
・隔壁を開通する前に「開通確認」のカバーを外し、その後、作業が中断した。作業の再開時、開通済みと思い込んだ。
・上室と下室の隔壁を開通してミキシングを行ったが、小室の開通は確認しなかった。
<事例が発生した医療機関の取り組み>
・隔壁を開通させてから、「開通確認」のシールやカバーを外す。
・輸液バッグ内の上室と下室を交互に押して混合していることを確認する。
・患者に投与する際に、隔壁が開通していることを確認する。
・なぜ製剤に隔壁があるのか職員に教育する。