シリンジポンプの単位の選択間違いで医療安全情報 日本医療機能評価機構
公益財団法人日本医療機能評価機構は、8月15日、医療事故情報収集等事業
医療安全情報No.201「シリンジポンプの単位の選択間違い」を提供しました。
シリンジポンプの㎍/㎏/minや㎎/㎏/hなどの単位の選択を間違えたため、意図しない流量で薬剤を投与した事例が報告されています。2017年1月1日~2023年6月30日に8件の事例が報告されています。この情報は、第72回報告書「分析テーマ」で取り上げた内容をもとに作成しました。
<シリンジポンプの単位の選択間違い>
事例1:手術の際、麻酔担当医はレミフェンタニル塩酸塩を0.05㎍/㎏/minで投与を開始する予定であった。シリンジポンプの単位を設定する際、誤って「㎎/㎏/hr」を選択し、0.05㎎/㎏/hr で開始した。シリンジポンプに「31ml/h」も併せて表示されていたが、麻酔担当医は見ていなかった。直後、患者の眼球が上転し、SpO₂が60%台まで低下したことから、16.7倍の過量投与となっていたことが分かった
事例2:人工呼吸管理中の患者をプロポフォールで沈静する際、医師の指示は5.5mL/hであったが、日勤看護師A は単位を「㎎/㎏/h」と思い込んだ。看護師A は、シリンジポンプの単位が㎎/㎏/hであることを確認した後、「5.5」と入力した。シリンジポンプに「20mL/h」も併せて表示されていたが、誤りに気付かず投与を開始した。1時間半後、夜勤看護師B が訪室した際に流量の誤りに気付き、投与を中止して医師に報告した。約3.6倍の流量で投与されており、患者の血圧が低下していた。
<事例が発生した医療機関の取り組み>
・単位を変更できるシリンジポンプを設定する際は、投与量の数値だけでなく、単位も確認する。
・設定後、シリンジポンプに表示されている流量(mL/h)を確認してから開始する。