容器の取り違えによる高濃度のアドレナリンの局所注射で医療安全情報 日本医療機能評価機構
公益財団法人日本医療機能評価機構は、10月17日、医療事故情報収集等事業
医療安全情報No.191「容器の取り違えによる高濃度のアドレナリンの局所注射」を提供しました。
手術時、局所麻酔剤を注射する際に容器を間違え、高濃度のアドレナリンを誤って注射した事例が3件報告されています(集計期間:2019年1月1日~2022年8月31日)。この情報は、第69回報告書「事例紹介」で取り上げた内容をもとに作成しました。「手術時に容器を取り違え、高濃度のアドレナリンを局所注射したことにより、患者の循環動態に影響があった事例が報告されています。」
<容器の取り違えによる高濃度のアドレナリンの局所注射>
事例1:看護師は、清潔野で、「1%Eキシロ+生食」のラベルを貼った薬杯にキシロカイン調整液(アドレナリン20万倍)、「外用ボスミン」のラベルを貼った薬杯にボスミン外用液0.1%(アドレナリン1000倍)を準備した。医師は、まずキシロカイン調整液で局所麻酔を行った。看護師は、次はボスミンに浸したガーゼを使うと思い、「外用ボスミン」の薬杯を手前に置いた。医師からは再度、局所麻酔剤の指示があった。看護師は薬杯の側面のラベルを確認せず、手前に置いた薬杯から薬液を注射器に吸って医師に渡した。医師が合計4mLを注射後、患者の血圧が230/130mmHg、心拍数が130回/分まで上昇し、モニタでPVC散発、ST低下を認めた。看護師は誤ってボスミン外用液0.1%を渡したことに気付いた。
事例2:看護師は、キシロカイン調整液(アドレナリン30万倍)とボスミン外用液0.1%(アドレナリン1000倍)を同じ形状のシャーレに入れ、器械台に準備した。2つのシャーレは離して置き、キシロカイン調整液のシャーレの蓋に薬剤名を表示していた。手術開始後、医師からボスミン綿球の指示があり、看護師はボスミン外用液0.1%のシャーレをキシロカイン調整液のシャーレの隣に置いた。その後、医師から局所麻酔剤の指示があり、看護師はシャーレの薬液を吸って医師に渡した。医師が4mLを注射後、患者の血圧が270mmHgまで上昇し、看護師は誤ってボスミン外用液0.1%を渡したことに気付いた。
<事例が発生した医療機関の取り組み>
・清潔野に局所麻酔剤とアドレナリン製剤を準備する際は、容器の形状を変え、見やすいところに薬剤名を表示する。