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抗がん剤投与前の血液検査値の未確認で医療安全情報 日本医療機能評価機構

公益財団法人日本医療機能評価機構は、516日、医療事故情報収集等事業 医療安全情報No.186「抗がん剤投与前の血液検査値の未確認」を提供しました。

注射薬による抗がん剤治療の際、血液検査値を確認せず、中止すべき抗がん剤を投与した事例が6件報告されています(集計期間:201811~2022331日)。この情報は、第66回報告書「分析テーマ」で取り上げた内容をもとに作成しました。「血液検査値を確認せず、中止すべき抗がん剤を投与した事例が報告されています。」

事例1:患者はmFOLFIRINOX2コース目の治療のため、2日後に入院することになり、外来で血液検査を行った。その後、外来担当医は検査値の確認を失念した。入院当日、病棟担当医は、外来担当医が血液検査値を確認したうえで入院を決めたと思い、検査値を確認しないまま抗がん剤の投与を確定した。14時過ぎ、抗がん剤の投与を開始した。19時、病棟薬剤師より、2日前の検査値で好中球数が693/μLであったと指摘があり、抗がん剤の投与を中止した。

事例2:患者に外来でアバスチン+アリムタ療法を行っていた。医師は、来院後の血液検査でクレアチニンが2.07/L(予測CC:21mL/min)であることを確認しないまま、抗がん剤の投与を確定した。今回は4コース目の投与のため薬剤師による面談の対象ではなく、薬剤師は検査値を確認しなかった。外来化学療法室の看護師は、検査値を確認する手順になっておらず、指示通りに患者に抗がん剤を投与した。2週間後、患者が発熱を主訴に受診し、精査の結果、発熱性好中球減少症、急性腎不全と診断された。

<事例が発生した医療機関の取り組み>

・医師は、血液検査値の評価を行ったことをカルテに記載後、抗がん剤の指示を確定する。

・薬剤師は、レジメンの種類、投与量、検査値、前投薬などを把握するチェックリストを作成し、抗がん剤を調製する際に確認する。

 

https://jcqhc.or.jp/

2022/05/17(火) 11:37