アラートが機能しなかったことによるアレルギーがある薬剤を投与で医療安全情報 日本医療機能評価機構
公益財団法人日本医療機能評価機構は、8月17日、医療事故情報収集等事業
医療安全情報No.165「アラートが機能しなかったことによるアレルギーがある薬剤の投与」を公表しました。
処方時にアラートが表示される条件に合った方法で電子カルテにアレルギー情報を登録していなかったことにより、アレルギーがある薬剤を投与した事例が9件報告されています(集計期間:2015年1月1日~2020年6月30日)。この情報は、第58回報告書「分析テーマ」で取り上げた内容をもとに作成しました。アラートが表示される条件に合った方法でアレルギーがある薬剤名を選択して登録していなかったため、処方時にアラートが表示されず、投与した事例が報告されています。
事例1:電子カルテは、アレルギー情報を登録する際、薬剤名をリストから選択すると同じ成分の薬剤の処方時にアラートが表示されるが、テキスト入力するとアラートが表示されない仕組みである。看護師A はアレルギー情報の登録に慣れておらず、院内のルールを知らなかったため、「クラビット」とテキスト入力した。医師がレボフロキサシン錠を処方した際、アラートは表示されなかった。レボフロキサシン錠が薬剤部より払い出され、看護師B が患者に渡した。内服1時間後、患者に呼吸困難感と眼瞼浮腫などの症状が出現した。
事例2:電子カルテは、アレルギー情報にペニシリン系の薬剤を1剤選択して登録すると、処方の際、院内採用のすべてのペニシリン系の薬剤にアラートが表示される仕組みである。通常は薬剤を検索して登録するが、医師は「ペニシリン、ケフラール」とテキスト入力した。手術後、医師は患者がペニシリン系の薬剤アレルギーがあることを失念していた。スルバシリン静注用を処方した際、アラートは表示されなかった。投与開始後、患者が上肢の痺れと息苦しさを訴えたため投与を中止した。
<事例が発生した医療機関の取り組み>
・処方時にアラートが表示される登録方法を周知する。
・テキスト入力(フリー入力)で登録すると処方時にアラートが表示されないことを注意喚起する。
・患者のアレルギー情報は、処方時にアラートが表示される方法で登録する。