徐放性製剤の粉砕投与で医療安全情報 日本医療機能評価機構
公益財団法人日本医療機能評価機構は、1月15日、医療事故情報収集等事業
医療安全情報No.158「徐放性製剤の粉砕投与」を公表しました。
日本医療機能評価機構医療事故防止事業部では、平成16年度より医療事故情報及びヒヤリ・ハット事例の収集・分析等を行う医療事故情報収集等事業を実施しています。同事業では、特に周知すべき内容として医療安全情報を作成し、事業参加医療機関等に対しファックス等により提供するとともに、ホームページに掲載しています。
今回の内容は、徐放性製剤を粉砕して投与した事例が4件報告されています(集計期間:2014年1月1日~2019年11月30日)。この情報は、第53回報告書「分析テーマ」で取り上げた内容をもとに作成しました。徐放性製剤を粉砕して投与したことにより体内に有効成分が急速に吸収され、患者に影響があった事例が報告されています。
事例1:研修医は、患者が経鼻栄養チューブを挿入していることを知らず、ニフェジピンCR錠20㎎を処方した。看護師は薬剤部より届いたニフェジピンCR錠を粉砕して経鼻栄養チューブから投与した。1時間後、血圧が80mmHg台に低下した。病棟薬剤師が患者の急激な血圧低下の原因を射調べたところ、徐放性製剤を粉砕して投与していたことに気付いた。
事例2:患者は、肺高血圧症に対し、ケアロードLA錠を内服していた。入院後、患者は気管挿管され、経鼻栄養チューブが挿入された。看護師は、ケアロードLA錠を粉砕して経鼻栄養チューブから連日投与していた。毎回、投与後に血圧が低下したため、ケアロードLA錠の添付文書を確認したところ、徐放性製剤であり、粉砕して投与したことにより急激な血圧低下をきたしたことに気付いた。
<事例が発生した医療機関の取り組み>
・徐放性製剤は、有効成分の放出が調節された製剤であり、粉砕してはいけないことを理解する。
・処方されていた錠剤を病棟で初めて粉砕する際は、粉砕しても良いかを薬剤師に問い合わせるか、添付文書で確認する。