鎮静に使用する注射薬の誤投与で医療安全情報 日本医療機能評価機構
公益財団法人日本医療機能評価機構は、11月15日、医療事故情報収集等事業
医療安全情報No.156「鎮静に使用する注射薬の誤投与」を提供しました。
検査・治療時の鎮静に使用する注射薬の指示が適切に伝わらず、タイミングや投与量を誤った事例が3件報告されています(集計期間:2015年1月1日~2019年9月30日)。この情報は、第57回報告書「分析テーマ」で取り上げた内容をもとに作成しました。
検査・治療時の鎮静の際、医師が投与量を決めて注射薬を投与する予定であったが、指示が適切に伝わらず、看護師がタイミングや投与量を誤って投与した事例が報告されています。
事例1:医師は、気管支鏡検査のためミタゾラム注射液10㎎1Aと生理食塩液20mLをオーダした際、「気管支鏡検査室に持参」とコメントを入れ忘れた。その後、検査室から連絡があり、看護師は注射指示を確認して検査前投薬と思い、ミタゾラム1A+生理食塩液20mLを調製した。病室で全量投与したところ、患者の自発呼吸が止まった。
事例2:16時に胆道シンチグラフィを予定していた。14時30分頃、検査室から連絡があり、看護師は医師に伝えず患児を検査室に連れて行った。10分後、検査室から鎮静が必要と連絡があった。看護師は医師のオーダを確認し、病棟に届いていたイソゾール注射用0.5g1Vを注射用水20mLで溶解して全量を生理食塩液100mLに混注し、検査室に持って行き投与を開始した。16時前に医師が検査の状況を聞いた際、看護師は検査室に行きイソゾールを投与していると答えた。医師が急いで検査室に行ったところ、患児の自発呼吸は微弱であった。
<事例が発生した医療機関の取り組み>
・鎮静に使用する注射薬は、指示画面の薬剤名に「医師施行」と表示させる。
・鎮静に使用する注射薬は、検査・治療の直前に医師が患者の状態から投与量を判断して投与することを理解する。
<事例のポイント>
・鎮静に使用する注射薬は、医師の立会いのもとで投与し、投与後の観察を確実に実施する。