腎機能低下患者への薬剤の常用量投与で医療安全情報 日本医療機能評価機構
公益財団法人日本医療機能評価機構は、12月17日、医療事故情報収集等事業 医療安全情報No.145「腎機能低下患者への薬剤の常用量投与」を提供しました。
添付文書上、腎機能が低下した患者には投与量を減量することや慎重に投与することが記載されている薬剤を常用量で投与し、患者に影響があった事例が8件報告されています。(集計期間:2014年1月1日~2018年10月31日)。この情報は、第52回報告書「分析テーマ」で取り上げた内容をもとに作成しました。「腎機能が低下した患者には減量や慎重投与が必要な薬剤を常用量で投与し、患者に影響があった事例が報告されています。」としています。
事例1:医師は、夜間に外来を受診した帯状疱疹の患者にバルトレックス錠を処方することにした。病歴から患者が透析を受けていることは把握していたが、減量する必要があることを認識しておらず、通常の用法・用量のバルトレックス錠500mg1回2錠1日3回を処方した。2日後、患者は呂律が緩慢になり幻視を認めたため、入院となった。
事例2:医師は、患者が透析を受けていることを把握しておらず、クラビット錠500mg1回1錠1日1回を継続して処方していた。その後、患者は嘔吐症状が強くなり、汎血球減少を認めた。クラビット錠が原因と疑われ、内服が中止となった。
<事例が発生した医療機関の取り組み>
・医師は、処方する前に患者の腎機能を把握し、患者の腎機能に応じた用量を処方する。
・薬剤師は、腎で代謝・排泄される薬剤を調剤する際は、患者の腎機能を確認する。
2018/12/25(火) 17:26