ゲノム編集技術を用いたヒト受精肺による児の誕生に関する報道で共同声明 日本医師会と日本医学会
日本医師会(横倉義武会長)は、11月30日、中国の南方科技大学の賀建奎副教授が、HIVへの感染を抑止するために、ゲノム編集技術を用いた受精胚を使い、双子の女児を誕生させたとの報道がなされていることを受けて、日本医学会(門田守人会長)との共同声明を取りまとめ、公表しました。
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香港で開催された第二回ヒトゲノム編集に関する国際サミットにおいて、中国の南方科技大学の賀建奎副教授が、HIV(いわゆるエイズウイルス)への感染を抑止するために、ゲノム編集技術を用いた受精胚を使い、双子の女児を誕生させたとの報道がなされました。
実際に誕生したのか、その真偽は現時点では不明でありますが、日本医師会及び日本医学会は、本件に対して極めて重大な懸念を表明すると共に、今後、同様な比倫的行為が行われることのないよう、こうした研究や医療に携わるすべての者に対して強く要請いたします。
我が国において、ヒト受精胚は「人の尊厳」という社会の基本的価値を維持するために特に尊重されるべき存在であり、かかる意味で「人の生命の萌芽」として位置付けられています。
今回の行為は、産まれてきた女児らの身体的、精神的、社会的な安寧を踏み躙るものであり、この考え方に照らすまでもなく、人の尊厳を無視し、生命を軽視するものであり、国際的な倫理規範から見ても常軌を逸したものあります。
また、HIVに関しては、他にも感染を防ぐ方法があることから、本行為における医学的必要性や妥当性はなく、技術的に確立していないゲノム編集をヒト受精胚に適用することは、医学・技術的な安全面からも大きな問題があります。
さらに、生殖細胞系のゲノム編集の影響は後の世代にまで影響が及びことから、人類という種に対する影響も極めて不透明であり、無責任極まりない行為であります。
科学技術の進展は、疾病の予防や治療等に大きな貢献を果たすものと、多くの期待が寄せられることから、ヒト受精胚へのゲノム編集技術等を用いる研究等の適切な在り方やそのルールの構築について、日本医師会及び日本医学会としても、積極的に議論に参画していくなかで、そうした期待に応えていきたいと考えております。
このような非倫理的行為が今後二度と行われることのないよう、より一層注視してまいります。