乾燥BCGワクチンの添付溶剤の品質で事務連絡 厚生労働省
厚生労働省は、11月8日、医薬・生活衛生局医薬安全課及び監視指導・麻薬対策課の連名で、各都道府県・保健所設置市・特別区の衛生主管部(局)宛に、「乾燥BCGワクチン(経皮用・1人用)の添付溶剤の品質」について事務連絡を発しました。
日本ビーシージー製造株式会社(BCG社)が製造販売する乾燥BCGワクチン(経皮用・1人用)の使用時にワクチンを溶解するための溶剤(0.15ml)中に、承認書で記載している日本薬局方における生理食塩液の規格値を超えるヒ素が検出されたことを受けて、今般、平成30年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において、ヒソの曝露による健康への影響評価及び今後の対応について議論された内容をとりまとめたもので、管内関係団体、関係医療機関などへ周知するよう求めています。
1. 生理食塩液に含有されるヒソの曝露による健康への影響評価について
問題となっているアンプル容器が使用されている生理食塩液が添付された同製品は以前より使用されていたが、生理食塩液0.15ml中のヒ素の濃度(日本薬局方生理食塩液の規格値(0.1ppm以下))が0.11~0.26ppmのワクチンを接種した場合、ICH Q3D「医薬品の元素不純物ガイドライン」でのヒ素(注射)の許容一日曝露量は15㎍/day(体重50㎏換算)であることから、仮にアンプル容器中のヒ素が全量体内に入った場合でも、ワクチン接種対象児の体重(5~10㎏)換算で、許容一日曝露量の約1/38~1/77となるため、安全性に問題ないレベルと評価された。
2. ヒ素が検出された原因及び対策について
BCG社による原因究明の結果、ヒ素が規格値を超えたのは、アンプル容器にヒ素が含有されており、生理食塩液をアンプル容器に充填した後、熱をかける工程(熔封)でヒ素がアンプル容器から溶け出て、生理食塩液へ混入したためと判明した。
当該事実の判明後、同社は市場への出荷を控えているが、11月中旬から下旬には材質を変更したアンプル容器を用いた生理食塩液(ヒ素の濃度が規格値以下であることを確認済み)を添付した製品への切り換え、交換を速やかに行うよう同社に対して指導している。
3. 今後の対応について
今後の製品については、最終製品中の生理食塩液のヒ素の濃度を確認することによって品質を確保するようBCG社に対して指導した。