医師の働き方改革に関するマスコミ報道でコメント 日本医師会
日本医師会は、9月5日の記者会見で「医師の働き方改革に関するマスコミ報道」についてコメントを発表しました。
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医師の働き方については、平成29年3月に政府決定された「働き方改革実行計画」に基づき設置された厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」において、平成29年8月に議論が始まり、平成31年3月末を目途に結論を得るべく、関係者が懸命に努力を重ねている。
平成30年9月3日に開催された本検討会においては、当面議論すべき事項と年末年始を目途に骨子案をまとめるというスケジュール案が提示されたところである。これから年末にかけて、宿日直、自己研鑽、タスク・シフティング、勤務環境改善、上限時間といった主要論点の議論が、まさに本格化することとなる。
こうしたなか、一部の全国紙に、医師の働き方に関する「残業規制、医師は緩く。救急・産科は上限見送りも。厚労省方針」という見出しの記事が掲載された。しかし、現在の検討会の審議状況からすれば、厚生労働省が方針を出すこと自体、そもそも考え難い。
また、記事本文中では「こうした診療科には上限そのものの設定を見送る可能性がある」とされていたが、そのような議論は検討会の場では全く行われていなし。
さらに、この記事を見て、それに対する意見が発信されてしまったケースも見られ、甚だ遺憾である。
検討会の議論の経過を、良識をもって見て、理解いただいているのであれば、こうした記事は出ないのでは、と考える次第である。
医師の働き方改革の及ぼす影響は医師だけにとどまらない。医師の働き方改革は、国民が安心して社会生活を送るための医療提供体制に関わる、極めて大きく、かつ重大な、日本社会全体に影響を及ぼしかねない問題である。
こうした強い問題意識を持ち、現在、関係者は真摯にかつ慎重に検討を進めている。
医師の働き方改革を報道いただくにあたっては、議論の経過をしっかりと踏まえ、議論に悪い影響を及ぼすことのないよう、細心の注意を払っていただくよう、医療界を代表して、全てのメディアの皆様へ強く要望するものである。