腫瘍用薬の総投与量の上限を超えた投与で医療安全情報 医療機能評価機構
日本医療機能評価機構は、7月17日、医療事故情報収集等事業 医療安全情報No.140「腫瘍用薬の総投与量の上限を超えた投与」を提供し、注意喚起をしました。
添付文書に記載された総投与量の上限を超えて腫瘍用薬を投与した後、患者に影響があった事例が2件報告されています(集計期間:2014年1月1日~2018年5月31日)。総投与量は、患者の生涯にわたって投与する累積量です。
薬剤はドキソルビシン塩酸塩(販売名アドリアシン注用10、ドキソルビシン塩酸塩注射用)で、添付文書に記載された総投与量は500㎎(力価)/㎡(体表面積)以下です。事例は、2年前に子宮体癌の再発でAP療法を6コース実施。1年前に癌が再発し腫瘍摘出術の施行後にAP療法を3コース実施。この時点でドキソルビシン塩酸塩の総投与量は470mg/㎡であった。医師はドキソルビシン塩酸塩の総投与量の上限は500mg/㎡であることを知っていたが、正確な記録はなく、さらにAP療法を6コース実施した。その後、患者は心筋障害を発症し、ドキソルビシン塩酸塩の総投与量を調べたところ、620mg/㎡であった。
事例が発生した医療機関の取り組み
・他院からの紹介状や患者からの情報などで過去の治療歴を確認し、記録する。
・電子カルテのシステムを改善し、医師が処方する際に添付文書の総投与量の上限を超えるとアラートが出るようにする。
・薬剤師は、レジメンのチェックリストに総投与量を記載し、確認する。
・患者へ情報を提供するために、お薬手帳に総投与量を記載し、説明する。
2018/07/18(水) 12:59