膵がんと放射線被ばくに関する医学的知見を公表 厚生労働省
厚生労働省は、6月27日、「膵がんと放射線被ばくに関する医学的知見」を公表しました。労災請求を受け、国際的な報告や疫学調査報告などを分析・検討して報告書を取りまとめたものです。
厚生労働省の「電離放射線障害の業務上外に関する検討会」(座長:国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構執行役明石真言氏)は、このたび、膵がんと放射線被ばくとの関連について、現時点の医学的知見を報告書として取りまとめました。
この報告書は、放射線業務従事者に発症した膵がんの労災請求があったことを受け、業務が原因かどうかを判断するために、国際的な報告や疫学調査報告などを分析・検討し、取りまとめたものです。
【検討会報告書の概要】
原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が医学文献の部位別レビューをまとめた「2006年報告書」と、2006年以降の医学文献を中心にレビューを行った。
1 被ばく線量について
(1) 膵がんに関する個別文献では、膵がんの発生が統計的に有意に増加する最小被ばく線量について記載された文献はなかった。
(2) 膵がんを含む全固形がんを対象としたUNSCEARなどの知見では、被ばく線量が100から200mSv以上において統計的に有意なリスクの上昇が認められ、がんリスクの推定に用いる疫学的研究方法はおよそ100mSvまでの線量範囲でのがんのリスクを直接明らかにする力を持てないとされている。
2 潜伏期間につぃて
(1) 膵がんに関する個別文献では、膵がんの最小潜伏期間について記載されたものはなかった。
(2) UNSCEARなどの知見では、全固形がんの最小潜伏期間について、5年から10年としている。
3 放射線被ばく以外のリスク要因
膵がんには、喫煙、肥満がリスク要因として知られている。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212977.html