中高年者縦断調査(中高年の生活に関する継続調査)特別報告の概況を公表 厚生労働省
厚生労働省は、3月23日、「中高年者縦断調査(中高年の生活に関する継続調査)特別報告の概況」を公表しました。
この報告は、平成17年より毎年調査・公表している「中高年者縦断調査」のデータが、平成27年調査(第11回調査)で10年間分蓄積され、調査対象者も全員60歳以上となったことから、パネルデータの特性を生かした団塊の世代を含む中高年世代の行動変容について、独立行政法人労働政策研究・研修機構の協力を得てまとめたものです。
この調査は、団塊の世代を含む全国の中高年者世代の男女を追跡して、その健康・就業・社会活動について、意識面・事実面の変化の過程を継続的に調査し、行動の変化や事象間の関連性等を把握し、高齢者対策等厚生労働行政施策の企画立案、実施等のための基礎資料を得ることを目的として、平成17年度を初年として実施しているものです。
調査対象は、平成17年10月末現在で50~59歳である全国の男女を対象とし、厚生労働省が国民生活基礎調査を基に調査客体を抽出しました。調査は毎年11月の第一水曜日に実施。第5回調査までは調査員による配布・回収、第6回調査以降は郵送により行いました。調査事項は、家族の状況、健康の状況、就業の状況、住居・家計の状況などです。
結果の概要は下記の項目でまとめられています。
1 中高年者の就業継続と介護
(1) 中高年者の就業継続の動向
(2) 介護の開始と就業継続確率
(3) 介護の実施と離職確率(多変量解析による推定)
2 高齢者の就業行動が健康意識の推移に与える影響
3 高齢者の公的年金受給額及び配偶関係別就業確率の観察
4 住宅と中高年期の労働供給
(1) 住宅の所有の有無別にみた就業者の1週間の平均労働時間
(2) 住宅の所有が労働時間に与える影響の推定(多変量解析による分析)
この中で健康に関する調査は次の通りです。
<高齢者の就業行動が健康意識の推移に与える影響>
1年前に集合していない者より、就業している者の方が、「健康」を維持している確率が高い。また、「不健康」が「健康」へ改善される確率も高い
男性を対象に、ある年次に健康意識が「健康」若しくは「不健康」であった者が、翌年「健康」若しくは「不健康」を維持していたのか、「健康」から「不健康」へ、「不健康」から「健康」へと変化したのかをみると、ある年次に就業していた者で「健康」であった者が、翌年も「健康」を維持している確率は92.0%、就業していなかった者では89.2%であった。一方、ある年次に就業していた者で「不健康」から「健康」へと改善がみられた者は39.1%であったのに対し、就業していなかった者では26.0%であった。
女性を対象に同様に集計を行ったところ、ある年次に就業していた者で「健康」であった者が、翌年も「健康」を維持している確率は92.6%、就業していなかった者では91.2%であった。一方、ある年次に就業していた者で「不健康」から「健康」へと改善がみられた者は41.5%であったのに対し、就業していなかった者では31.3%であった。
男女ともに、1年前に就業していない者より、就業している者の方が、「健康」を維持している確率が高く、「不健康」が「健康」へ改善される確率が高い。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/chukou18tokubetu/