「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会」最終とりまとめを公表 厚生労働省
厚生労働省は、12月28日、「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会」において取りまとめられた「最終とりまとめ」を公表しました。
平成29年1月、C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品が流通し、奈良県内の薬局から患者へ調剤された事案が発覚し、同年3月に「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会」(座長:赤池昭紀京都大学名誉教授)が設置され、6月に、医療用医薬品を念頭に偽造品流通の再発防止の観点から直ちに対応すべき具体的な対応を中心に中間とりまとめを行いました。
中間とりまとめを踏まえた具体的対応としては、1.「秘密厳守」の取引の根絶、2.開放した医薬品の販売・授与のルールの明確化、3.品質に疑念のある医薬品を発見した時のルールの明確化、4.その他((1)封の見直し、(2)都道府県が実施する薬事監視の充実・強化、(3)インターネット販売への監視強化、個人輸入手続の厳格な運用、(4)通報窓口の活用等による健康被害に係る情報収集、国民への情報提供及び啓発、(5)卸売販売業者や薬局の関係者への情報提供及び啓発、(6)医療機関への情報提供)が示されました。
10月以降の検討会では、中間とりまとめにおいて今後更に関係者の間でより丁寧な検討を行った上で対応が必要とされ、5つの検討事項について、偽造品流通の再発防止の観点から進むべき方向性を取りまとめました。
1. 流通過程における品質の確保等に向けた取組
2. 規制の法令上の位置付けのあり方
(1) 卸売販売業者の業務を行う体制に関する検討
(2) 他の薬局への医薬品の販売・授与を業務の中心とする薬局の業態の位置付けに関する検討
(3) 薬局開設者や管理薬剤師の責任や責務等の在り方に関する検討
3. 封緘方法等に係る適切な情報共有に関するルール作りに向けた取組
4. 一連のサプライチェーンにおける共通ルールの策定に向けた取組
5. 情報システムの整備に向けた取組
そして、「最終とりまとめに記載した取組は、医療用医薬品を念頭に置いているが、要指導医薬品や一般用医薬品においても、偽造品が発生することが否定できないことに留意し、必要な取組を検討するべきである」とし、監視指導体制の強化を求める一方、「今回の事案では、医薬品流通や調剤・交付等に関わる者において、流通改定で偽造品が混入することに対する意識が低かったことは否定できない」、そして「今後も、消費者がインターネットを介して購入する際に偽造医薬品が混入する懸念がある」として、現場で医薬品の流通等に携わる者も含め、関係者は医薬品の流通経路に偽造医薬品が混入するおそれがあることを常に認識し、意識を高く持ち、必要な注意を払うことが求められることを指摘。併せて、一般国民も、海外から医薬品等を購入する場合には、偽造医薬品が混入するリスクやそれを服用することによるリスクを十分理解する必要があることを指摘しています。
そして、「今般の偽造品事案も契機にして、医薬品の品質確保が薬剤師の基本的な使命の一つとであるという原点に立ち返り、医薬品の流通や調剤・交付等に関わる全員が、それぞれの果たすべき役割に、決意を持って取り組むこと」への期待を表明しています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000189913.html