医療経済実態調査結果報告で見解 中医協で支払側委員
11月24日に開かれた中央社会保険医療協議会総会で、第21回医療経済実態調査結果報告に関する見解が支払側委員、診療側委員から示されました。支払側委員の見解は次の通りです。
<第21回医療経済実態調査結果報告に関する分析>(健康保険組合連合会)
主な分析結果
【全体の損益差額率】
●一般病院は前回調査に比べて全般的に低い水準であった。
・国公立を除く全体では、平成26年度と平成28年度を比べると-0.3%の赤字から0.1%の黒字へと改善している。
・国公立を除いた全体と国公立のみを比較すると、平成28年度の損益差額率に11.2ポイントの差がある。
・療養病床60%以上の病院は安定して黒字を確保しており、特定機能病院とこども病院は赤字ではあるが前回調査と比較して改善した。
・病床規模別ではすべての規模で赤字だが、公立病院を除くと50床~199床規模の病院で黒字を維持している。
●一般診療所、歯科診療所は前回調査と比較すると低下しているが、前々回との比較では概ね高い水準を維持している。
●保険薬局の改定年度の損益差額率は前回・前々回調査と比較して高い水準となり、安定的に黒字が続いている。
【公立病院と他の開設者の経営状況比較】
●公立病院の損益差額率は赤字が続いており、他の開設者と比較しても損益差額率の低さや減少傾向は顕著である。また、補助金等を含めた総損益差額率においても赤字が続いている。
●医療法人では、各費用項目の構成比率に大幅な変化はなく、公立病院に比べて少ないし医師数、看護職員数でありながら、多くの医師事務作業補助者や看護補助職員を活用して医師や看護職員の生産性を高めることで、損益差額率はほぼ横ばいを維持している。
●医療法人と比較すると、公立病院の赤字の要因としては主に以下の点が挙げられる。
・職種別の年収が看護職員、医療技術員、事務員、技能労務員等で公立病院の方が2割~7割強高い。
・収益に占める医薬品費・委託費・減価償却費の割合が高い(医療法人19%、公立病院32.4%)。
【一般診療所の損益差額率】
●個人・医療法人、有床・無床別のいずれにおいても黒字を維持している。
・特に個人では、無償診療所を中心に損益差額率の水準が上昇傾向にある。
●診療科別に見ても、すべての診療科で黒字である。
【保険薬局の損益差額率】
●保険薬局は、継続して黒字であり、法人の店舗数別では、店舗数が多くなるほど損益差額率も高くなる傾向にある。
・なお、法人20店舗以上の施設数は前回調査と比較して75%以上増加し、保険薬局の大規模化進展が窺える。
●立地別では、大病院前や病院敷地内、診療所敷地内、医療モール内等の門前薬局の損益差額率が他の立地よりも高く10%を超える水準にある。