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後発医薬品の採用及び使用の課題に関する調査結果を公表 日本ジェネリック製薬協会

日本ジェネリック製薬協会は、519日、「後発医薬品の採用及び使用の課題に関する調査」の調査結果を公表しました。

後発医薬品の使用促進については、平成276月に公表された「経済財政運営と改革の基本方針2015」で、新たな後発医薬品の数量シェア目標(平成29年央に70%以上とするとともに、平成30年度から平成32年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする)が設定され、平成28年度診療報酬改定では後発医薬品の使用に関する評価の見直しが行われました。この結果、使用促進は着実に進み、後発医薬品の数量シェア(新指標)は66.4%(平成281012月、日本ジェネリック製薬協会調べ)まで上昇しており、後発医薬品数量シェア80%達成も視野に入ってきている状況です。

そのような中、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」が策定され、今後の後発医薬品のあり方にも大きな影響をもたらす状況となっており、日本ジェネリック製薬協会にとっては、今後の後発医薬品及び後発医薬品メーカーのあり方や課題を早急に把握し、対応していくことが焦眉の急です。

今回の調査は、今後の後発医薬品の採用及び使用の課題について医療機関及び医師を対象とした調査を行い、今後の課題を明らかにした上で、協会として取り組んでいくための基礎資料を整備することを目的として実施しました。

調査は、「医療機関票」と「医師票」の2種類の構成により実施しました。調査客体は、医療機関票が全国の医療機関(診療所・病院)から無作為抽出した診療所2,000施設、病院1,500施設の合計3,500施設、医師票が前記の医療機関票の対象病院1,500施設に勤務し、医薬品の採用検討に携わる医師各2名の合計3,000名です。

調査実施時期は平成29217日~310日で、回収は医療機関票が288件(回収率8.2%)、医師票が169件(回収率5.6%)でした。

【主な結果概要】

    1つの成分・規格の医薬品について、後発医薬品(AGを除く)が何品目必要か

 1つの成分・規格の医薬品について後発医薬品(AGを除く)が「必要」と回答した施設(医師)に対して、1つの成分・規格の医薬品について後発医薬品(AGを除く)が何品目必要かを尋ねたところ、施設票と医師票のいずれについても「35品目」の回答が最も多かった。一方、6品目以上の回答の合計が施設で13.1%、医師で7.6%となっており、現状、1つの成分・規格の医薬品について後発医薬品が多く出される状況の中、後発医薬品の品目数を減らして欲しいとの意図が読み取れる。

 また、施設の種別にみると、いずれについても「35品目」の回答割合が最も多いが、「1品目」または「2品目」との回答割合がDPC病院等で2割あるのに対して、その他の病院や診療所で3割を超えており、その他の病院や診療所において後発医薬品の品目数の低減意向が強い傾向を示していた。

また、施設数における長期収載品、AG、後発医薬品(AGを除く)の品目数の組み合わせの意向をみると、それぞれ「1品目・1品目・35品目」の組み合わせが最も多く、次いで「1品目・1品目・2品目」などとなっており、医師票においても同様の回答傾向であった。

    後発医薬品の情報収集・提供体制として最も望ましいもの

 後発医薬品の情報収集・提供体制として最も望ましいものについてみると、施設票では「後発医薬品メーカーのMRが今まで通り医療機関に訪問するのが望ましい」が最も多く、次いで「後発医薬品メーカーのMRが今まで以上に医療機関に訪問するのが望ましい」、「公的な機関が情報収集・提供する体制が望ましい」などとなっていた。

 一方、医師票では、上位3位までの回答は同じであるものの、「公的な機関が情報収集・提供する体制が望ましい」が最も多く、次いで「後発医薬品メーカーのMRが今まで以上に医療機関に訪問するのが望ましい」、「後発医薬品メーカーのMRが今まで通り医療機関に訪問するのが望ましい」となっており、施設票とは順番が逆転していた。

 このことから、全体としてはMRを通じた情報収集・提供体制を望んでいる意識が読み取れるものの、病院の医師の中では「公的な機関」へのニーズが比較的高いことが窺われる。

    長期収載品や後発医薬品に関する必要な情報

 施設票において、長期収載品や後発医薬品に関する必要な情報をみると、「長期収載品と後発医薬品の安全性のデータ」が最も多く、次いで「後発医薬品の添加物に関する情報」、「長期収載品と後発医薬品の生物学的同等性試験(BE)のデータ」などとなっており、医師票も同様の回答傾向であった。

 また、施設種別にみると、DPC病院等で「後発医薬品の配合変化試験、粉砕後の安定性、簡易懸濁法に関するデータ」との回答が最も多かったのに対して、その他の病院や診療所では「長期収載品と後発医薬品の安全性データ」との回答が最も多かった。

    リスク管理や安定供給の観点から、必要と考える原薬(有効成分)の製造所の場所

 リスク管理や安定供給の観点から、必要と考える原薬(有効成分)の製造所の場所についての意向をみると、施設票と医師票のいずれにおいても「国内」が最も多く、次いで「国内と海外の両方」であった。なお、「海外」との回答はなかったことから、「国内」の製造所に対して信頼している状況が窺える。

 ただし、「国内、海外は気にならない」との回答も一定程度あり、「国内と海外の両方」と「国内、海外は気にならない」の回答を合計すると、施設票、医師票のいずれも5割を上回っており、国内、海外にあまりこだわりを持っていない回答を多くあった。

 また、施設種別にみると、「国内」との回答割合はDPC病院等やその他の病院が3割程度であるのに対して、 診療所は5割弱と比較的高い傾向であった。

 

http://www.jga.gr.jp/

2017/05/22(月) 16:07