28年度緊急薬価改定で意見表明 日本製薬団体連合会と日本製薬工業協会
日本製薬団体連合会と日本製薬工業協会は、11月16日の中医協において、対象薬剤の薬価の緊急改定を実施することが決定されたことを受け、「平成28年度緊急薬価改定」について製薬業界として意見を表明しました。
記
今回の緊急的な措置は、効能・効果の追加や用法・用量の拡大により、当初の想定を超え大幅に市場が拡大する薬剤に対して、例外的に実施されるものと認識している。
薬価の改定は、通常2年に1回、薬価調査に基づく実勢価をベースに、定められたルールに基づき行われているが、今回の措置は、薬価改定がない時期に、企業公表の売上予測を活用して薬価を引き下げるという、現行ルールを大きく逸脱したものであり、今後二度とあってはならない。
ましてや、今回の措置が毎年改定の契機になるようなことがあってはならない。
国民皆保険制度の維持は、業界としても重要な課題と認識している。一方で、後発品の使用促進により、国内市場においても新薬から十分な収益が得られなければ次の新薬開発への投資が困難となっており、薬価制度におけるイノベーションの評価は極めて重要である。
こうした中、平成28年度改定における特例拡大再算定の導入や、今回の日本発の革新的新薬に対する期中での大幅な薬価引下げという措置は、日本における新薬の研究開発意欲を削ぐことにつながる恐れがあり、ドラッグ・ラグを招くことにもなりかねないと考える。
製薬企業は革新的な新薬の創出に向けて、高いリスクを伴う研究開発投資を長期に亘り継続する必要があり、予見性の高い薬価制度の運用が重要である。
今後、中医協薬価専門部会において行われる、平成30年度薬価制度改革に向けた議論は非常に重要と認識しており、業界としても積極的に参画していく所存である。