保険薬局の指定に係る留意事項通知の一部改正に伴うルールの適用に当たって見解を公表 日本薬剤師会
日本薬剤師会は、9月27日、保険薬局の指定に係る留意事項の一部改正に伴うルールの適用に当たって見解を公表しました。「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」(平成8年3月8日保険発第22号)に関する取り扱いが10月1日より適用されることを踏まえ、日本薬剤師会としての見解を公表したものです。
保険薬局の指定に係る留意事項通知の一部改正に伴うルールの適用に当たって(見解)
保険薬局の指定に当たっての構造上・経営上の独立性の取り扱いについては、「規制改革実施計画」(平成27年6月30日閣議決定)を踏まえ、「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」(平成8年3月8日保険発第22号)を一部改正し、本年10月1日より適用されることになりました。
適用後は、保険薬局と保険医療機関の間にフェンスを設置する構造上の規制が改められることになりますが、これを踏まえ、保険薬局の指定に当たり禁止されている「保険医療機関と一体的な構造」に該当する具体事例が明示され、さらには保険医療機関との一体的な経営に当たらないことを確認するため、保険薬局の指定の更新に当たっては「新規指定時と同様、不動産の賃貸借関連書類等の経営に関する書類等の提出を求め、一体的な経営に当たらないことを確認すること」が明記されました。
医薬分業制度の本旨は、患者の薬物療法をより安全でより効果的にするため、処方箋の確認と調剤が、処方箋を交付する医療機関から独立した薬局において実施されなければならないものであり、保険薬局の指定に当たっては、留意事項通知で示されている趣旨・内容と照らし合わせ、少しでも独立性に疑問がある場合は指定されないよう強く求めます。
しかるに近頃、複数の公的保険医療機関が当該敷地内に保険薬局を積極的に誘致しているとの情報が本会に寄せられています。もしこうした動向が保険医療機関の経営上の観点から起きているならば、医薬分業の理念を損なうばかりでなく、保険医療機関としての矜持のほころびも懸念されます。厚生労働省は昨年10月に「患者のための薬局ビジョン」を公表し、「『門前』から『かかりつけ』、そして『地域』へ」とのサブタイトルの下、将来に向けた薬局再編の姿が明確に示され、本会のこれまでの主張が政策に反映されたものと受け止めておりますが、保険医療機関による無秩序な敷地内への保険薬局の誘致は、患者のための薬局ビジョンの趣旨に逆行するものと言わざるを得ません。
10月1日以降の保険薬局の指定に当たっては、留意事項通知が厳格に適用され、医薬分業の本旨が損なわれることのないよう強く要請いたします。